表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

28/84

まだ行かないの?



 ちゃぽーん! 



「ふ~~~。いい湯だぁ」


 やっぱり声は出ちゃうよね。こればっかりは仕方ない。至福の悲鳴だね。


 ここからのぉ、《光闇魔力循環の癒やし》だ。どんっ!


「ふぃ~~~~~」



 こ、これは。止められない止めたくない。癒やし風呂。これは良い。お湯と魔法の相乗効果。身体回復あんどリフレッシュ。いい魔法に仕上がりました。



 それにしても、ミラのあのラッシュ。かってに命名『ミラッシュ』。直撃でもないのに、オイラの自慢の防御壁に亀裂を入れてくれちゃいましたね。ちょびっつショックを受けてます。どうしたもんかね、明智君。いや、じっちゃん?


 あの熱量と風圧でヤラレたのか? まあ、防御壁とは言っても、〈雷〉魔法の不思議パワーで使った〈土壁〉を、同じく〈雷〉魔法の不思議パワーで〈強化〉させてるだけだしな。


 それでも、銃弾を至近距離で受けても耐えられたらんだから、対物理防御力はそれなりにあると思うんだよなぁ。



 やっぱ(ひね)りが足りないのか? 不思議パワーに頼り過ぎ? かと言って、対魔法防御を付与するとか出来ないしなぁ。そんな塗料が売ってればいいのにね。水漏れ防止みたいに、魔法も通しません、とか。鏡面仕様にしたら、カキーンって魔法跳ね返したりしないかな?


 それとも、フライパンみたいにフッ素加工とか? 色んな加工や何層にも重ねて、耐熱性、耐久性を上げたり使い勝手を良くしたり? 食材もこびりつきませんって感じ? 壁で肉とか焼いちゃうか?


 うーん。悩ましい。


 フライパンのコーティングって言っても、ダイヤモンド、大理石を使ったマーブル、テフロン、チタンなんかもあったけど、結局はフッ素樹脂加工の1種だし。それとは別にセラミック加工なんかもあったよね。


 加工されたフライパンは、どんだけお高い物を買っても数年でフッ素加工は剥がれるし? 平均で1、2年の耐久年数なんだよね。あくまでも消耗品。


 加工されていないフライパンは、10年以上は持って当たり前? 一生物なんて言う人もいるからね。でも、手入れが大変なんだよな。


 どちらにもメリット、デメリットがあるからね。それを理解した上で使わなきゃいけません。



 ん? あれれ~~? 俺は何を考えてたんだっけ?

 防御壁を有効利用する方法? 防御壁を使った巨大フライパンの作成方法だったっけ?



 違った。結局何をやっても完璧な物なんて出来ないんだから、オイラと防御壁は使いよう? そもそも、1つの防御壁で全ての攻撃を完璧に防ごうと考える事自体がナンセンス? ノンセンス? ()と完璧の()は違うからね。



 結局、オイラの防御壁には、そんな便利な加工はできないし、耐久年数なんて気にしない? また作ればいいんだし。アイテムボックスにも素材は山ほど収納されてるし。何なら、壁の表面に〈磨き〉を加えて、鏡面仕様も作っとくか。気持ちだけでも対魔法防御特化? あはははは。マジで跳ね返したりしてね?



 うん。無理だった。やっぱり検証は必要でしょ? 小さな事でも気になっら検証してみるのが、オイラの悪い癖?



 別に防御壁に厚さ制限がある訳じゃない。アイテムボックスにも余裕がある。なら、やる事は簡単だ。


 今回は、対物理防御特化、対魔法防御特化、合板タイプの3種類をご用意してみました。


 対物理防御特化は、今までの防御壁を更に圧縮、カッチカチのガッチガチに。


 対魔法防御特化は、気持ちだけ。対物理防御特化の防御壁を使い、丁寧にじっくり〈磨き〉をかけて仕上げました。お色は3種類。これは冗談です。そんな面倒な事はしてもいいのかも? 売れるかな?


 合板タイプは、超厚防御壁、【対魔・対物・対魔】の3枚重ねでいかがでしょう。綺麗な仕上がりです。圧縮してあるとは言え、合わせて1m弱の厚さだからね。掘り進めたとしても、相当時間は掛かるよね。あはは。



 何やかんや作ってみたけど、結局使うのは『合板タイプ』の1つだけ。名付けて【強化防御壁】。合わせ防御壁とか極厚防御壁よりは強そうだから? そう。大した意味はない。いつもの事でした。《スルー》


 また良い仕事をしてしまったようだ。今日も乾杯して寝ましょうかね?


 出た! 何でも乾杯すれば良いと思ってる星人。



 至福のお風呂タイムからの乾杯。生きてるって、こういう事を言うんだね?



「ミラ。アリー。そろそろ寝るよ? 今日はそれくらいにしといたら? 少しずつでも、ゆっくり継続的にやっていった方が身に付くのも早いって聞いた事があるからね。1度に、急激に根を詰めて検証するよりは、身体への負担も少なくなるからね。

 切りの良い所で、ぼちぼち止めておいた方が良いかもよ?」


「ふむ。言われてみればそうかもしれんのじゃ。今日はここまでにしておくのじゃ。有意義な検証だったからの。これからも続けてやっていく事にするのじゃ」


「はい。私も、今日はここまでにします。魔力量増加の訓練と合わせて、『呼吸法』も毎日ゆっくりやっていきます」


 うん。2人とも素直で良いね。俺と一緒で、まだまだ成長期だからね。慌てても仕方ない。焦って根を詰めて体調を崩すよりも、少しずつでも前に進んでいった方がモチベーションも保たれると思うからね。


 うん。おやすみ。よしよし、よしよし。


 サラサラ、もふもふ




  * * *




 ちゅん、ちゅん、ちゅん



 おはよう。今日も爽やかな鳴き声をありがとう。


『ジャンボシイタケ』食べてみる? 自然を愛するエルフの3人にも好評だったからね。もしかしたら気に入るかもしれないよ?

 焼きたてをマジックバッグに収納してあるからね。香りも良いでしょう? 美味しいよ? 


 ここに置いておくからね。ささやかな感謝の気持ちだから、気にしなくていいからね。熱いから気を付けて食べるんだよ? 捕まえようとしたり、攻撃したりなんてしないから安心してね?



 今日は、餌を上げてみる事にした。食べてくれるといいけどね。『ジャンタケ』。今まで、マズいと言った人はいないから。もしかしたらイケルかも?



 ふっ。


 だからと言って、特に何かあった訳じゃない。


 今日は、小屋に隷属の首輪を着けた野郎が2人。うん。それでも眠れたから不思議だね。睡眠は大事だよ?



『土魔法の鉄壁のモーク』さん、スペードのナンバー『5』、2人ともまだ熟睡中。穏やかな寝顔だから、二日酔いに苦しむ事もないのかな?


 さてさて、皆さんが起きてくる前に、小屋の周りに展開させた防御壁を回収しておきましょうかね。朝起きてきて、初めてでこれを見たら驚くと思うから。爽やかな朝の目覚めを台無しにしない為にもね? 俺ってば優しくない? ないのかな?




「おはよう、アリー。よく眠れたみたいだね。朝から良い笑顔だね」


「はい。おはようございます。もう、ぐっすりです。身体も少し軽くなった気がするくらい快調です」


「そっか。それは何よりだね。じゃあ早速だけど、皆さんの朝食の準備しちゃおうか」


「はい。私のお仕事なのに、いつもありがとうございます。一緒に準備するのも嬉しいです。えへへ」


 うん。朝からのその満面の笑顔。今日も良い日になりそうだ。




「おはよう、ミラ。ミラもよく眠れたみたいだね。食事の準備も出来てるから、朝食を済ませたら早めに出発しようか」


「あい、おはようなのじゃ。昨日もよく眠れたのじゃ。いつもすまんのう。おぬしらに任せきりなのじゃ」


「おはようございます、ミラさん。これは私のお仕事ですから、気にしないで下さい。タビトさんも手伝ってくれましたし、楽しい時間でした。えへへ」



「お、おはようございます。昨日はすいませんでした。見張りの事も忘れてお酒まで頂いて、すっかり眠ってしまいました。遠慮せずに起こしていただければ良かったものを、交代もせずに申し訳ありません」


 起きてきたのは、『土魔法の鉄壁のモーク』さん。それほど飲んでもないし、緊張から解放されたからだろうか、一切目を覚ます事無く朝までグッスリだったね。


「おはようございます。モークさん。気にしなくて大丈夫ですよ。結果として助ける形にはなりましたけど、宿泊費用と飲食代、見張り代も含めて後で請求しますから。

 えっと、見張り代は時給800エーンとして、1人4800エーン。時間は、6時間って事でオマケしておきましたよ? あはは。冗談ですからね?」


 女性陣と居る時は、あまり言葉は喋らない印象だけど、普通に話しができる堅実タイプのお兄さん。ついからかいたくなってしあうオイラは優しい人?


 だって、奴隷狩りからも助けたし、食事もお酒も宿泊施設も提供したからね。これくらいの可愛い冗談は有りって事で《スルー》して欲しい今日この頃です。


「ぐっ。これは、どのように返せばいいのでしょうか。私には理解が難しい問いかけです」


 おっ。出た。それって『グッコレ』か? 新しいね。朝からグッジョブだよ、『鉄壁のモーク』さん。もう壁は崩れたか?


「ははは。冗談ですよ。そんなに身構えなくても大丈夫ですから。まだ緊張しているみたいだったから、少し打ち解けようと思って冗談を言っただけですからね」


「おお。そう言う事でしたか。それはそれは、お気遣いありがとうございます。それでも、何から何まで提供していただいているのは確かな事です。お支払い出来る額でしたら、2人とも相談して、しっかり支払いは致しますので、それでよろしくお願い致します」


「これ。おぬしの冗談は、冗談には聞こえんのじゃ。わしが聞いておっても、本当に請求されておるかと思ったのじゃ」


「はい。私もそう思いました。咄嗟(とっさ)に言った冗談にしては、請求項目も金額も具体的過ぎました。本当に請求するのかと思いました」



 えー。俺ってば、こんな冗談でも本気にされちゃうの? おう。《スルー》は俺にしか通用しないんだった。ごめんよ、『鉄壁のモーク』さん。悪気は無かったからね。別に本気でお金を貰うつもりも無いからね。


「ははは。本当に冗談だから勘弁して下さいね、モークさん。朝の爽やかコミュニケーションって事にしておいて下さい」


「あ。はい。それでよろしいのでしたら、私は構いませんが。本当によろしいのでしょうか? なら良いのですが、色々とありがとうございます」



 続きましては、『物知り氷結のリーン』さんと『穏やか清浄のシーン』さんのご登場です。


「おはようございます。皆さん。ごめんなさい。いつの間にか眠ってしまったみたいで。話してる途中からの記憶が無いのだけれど、私、失礼な事言ったり、やったりしなかったかしら?

 見張りもせずに、お酒に酔って寝てしまうなんて初めての事だったから、申し訳なく思っているわ。ごめんなさい」


「皆さん、おはようございます。昨日は失礼しました。私も見張りの事を忘れて眠ってしまいました。ごめんなさい。

 起こして下されば良かったのですが、恐らく気を遣って下さったのでしょう。ありがとうございました」


「おはようございます。リーンさんに、シーンさん。今モークさんにも話してたんですが、別に気にしなくていいですからね。皆さん、お酒はあまり強くないって事も分かりましたから。


 リーンさんには、色んな貴重な話をして貰いましたし、シーンさんには、浄化魔法の事を教わりました。モークさんは、あれ? 何かあったかな?


 あははは。これも冗談ですよ。そんな2人の護衛として、文句も言わずにずっとつき合って聞いてくれてた訳ですから、感謝してますよ。だから、そんなに落ち込まないで下さいね」


「まったく、おぬしが言うと、冗談には聞こえんのじゃ。モークよ。おぬしもおぬしなのじゃ。もっと打ち解けて話せば良いのじゃ。タビトもそれを望んでおるのじゃぞ。そんな堅苦しい物言いじゃから、タビトにからかわれるのじゃ」


「はい。そうですよ。情報はとても貴重なものです。いつもタビトさんが言っています。そんな貴重な情報を提供していただいたのですから、そんなに(かしこ)まらなくても大丈夫です。タビトさんは、そう言うのは好きじゃないと思います」


 おう。2人とも、ないすフォローだ。流石だね。ありがとう。その通りだからね。よく分かっていらっしゃる。堅苦しいのは得意じゃない。砕け過ぎてるのも嫌だけど、人生程々が1番だ。貴重な情報に対する対価としては、これでも安すぎると思ってるくらいだからね。俺ってば、やっぱり優しいでしょ?




「……」


 ナンバー『5』が小屋から出て来たよ。ここに居る皆がそちらに視線を向けるが、何も言わずにやって来る。奴隷狩りの実行部隊だった『スペード』としては、その奴隷狩りをした相手を前にして、どんな顔をして挨拶をしたらいいか、その応対に困るのだろうか。それとも朝の挨拶はしないのが闇の組織『カーズ』の常識か?


 奴隷狩りされた側の3人も同様で、視線を『5』には向けるが、何も言おうとしない。うん。そうだよね。エルフの3人は、さっきは普通に挨拶してたから、朝の挨拶をするのは常識みたいだし。やはり、襲われた方としては、襲っきたその相手を前にて、にこやかに朝の挨拶なんて出来ないだろう。


 気まずい空気。冷ややかな雰囲気がこの場を支配する。



 こんな時こそエフェクトだ。さて、どのエフェクトにしようかな? バーサクモードは逆効果。ミラまで加わって、逆に盛り上がっちゃいそうだからな。うん。即却下。いっその事、〈水〉でみんなびしょ濡れにしちゃおうか?


 あっ、エフェクトは俺自身に使うものだから、びしょ濡れになるのは俺だけだ。何のオチだっつーの。笑えんし。やっぱり、こういう時には、差し障りのない共通の話題に限るもの。



「さっ。みんな揃ったみたいだから、朝食を済ませてしまおうか。早めに出発して、アシャズの町を目指すとしよう」


「おお。そうなのじゃ。早速朝食にするのじゃ。もう腹が減っておったからの。おぬしらも、そんな所でいがみ合っておらんと、早くこっちに来るのじゃ。折角温かい朝食を準備してくれておるのじゃ。温かい物は温かいうちに食べる方が、より美味しいのじゃぞ」


「はい。そうですよ。温かいうちに食べた方が、より美味しく感じられますから。いつまでもそんな所で(にら)み合ってないで、早くこっちに来て下さい」



 うん。ありがとう? 流石のミラ・アリークオリティ。2人のタッグの前には、この場の冷たい空気なんて関係ないんだね。全く気にしないってのも凄いと思いますよ? その表情は、そういう事だよね? 言った後に全く見向きもしてないからね。


 2人の連係プレーにも益々磨きが掛かってきたのかな。


 果たして、オイラはそこに入れるのだろうか? 3人による、流れるような連係プレー。見る者を魅了してしまうような三重殺。そう。トリプルプレー。


 オイラのハート次第かな?




 ……続く



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ