VS1マン
カッキーーーーーン...
僕は大会でヒットを打つことができました。
結果は一回戦負けだったけど、部活動では、仲間やチームプレーの大切を学ぶことができました。また、僕は・・・
・・・と、書かされた作文。
中学の卒業アルバムに載っているこの作文を読んでも何も
感じられないのは自身の不真面目、怠慢といったものが
原因なのだろう。
高校1年。入った野球部も秋にはやめて髪がのび始める。
「野球部頭寒そ~wwww」
まぁ、さむいわな。剥き出しなわけだし。
部活をやっていた頃の記憶をほのかに味わう。
ピンポーン、、、
「かいと~!!!!」
甲高い声。インターホンを押してノータイムで俺をデカい声で呼ぶ。インターホンの意味ないじゃんか、、、
「は~い」
やる気の無い返事をして、ドアを開ける。
「どうしたのかいと。調子悪い?」
「全然?」
この幼馴染とは学校でもよく話す。そのときに俺のことを「かいと」と下の名前で呼ぶもんだから、勘違いされることこの上ない。しかもそいつの顔がそこそこに整っていることから、男子からの目線がグサグサと突き刺さる。
「そっか、よかった!」
「杏樹お前今日どうした?バレーは?」
「今日監督インフルでさ~wwwスパーしにきた!」
スパーっていうのは、格闘技の練習試合みたいなもの。
俺は杏樹のすすめで極真空手を始めた。
奴は茶銀で、俺はオレンジ帯。俺の方が格下。
ほとんどの人たちが白帯と黒帯しか知らないと思うけど、
実は色々ある。
「急だな。ちょっとまっててよ。」
俺の家の和室は結構広くて、スパーができるくらいには面積がある。
「来ていいよ~」
「よっしゃ~!!!!!!」
道着に着替えて脛あてを着ける。
「三分でいいか?」
「いいよ~!!!!」
杏樹の元気な返事と同時にスパー開始。
杏樹が距離を縮めながら右足で下段廻し蹴りを打とうとする。
俺はそれをガードすべく左膝を上げて脛で受けようとする。
パァァァァァァアアアアアアアアアン
俺の視界が傾く。