遂にチートが始まった!?
急に短くなりました。
「な!?」
爆発を辞めて俺を持ち上げた奴の顔を見た俺は驚いた。
「主、生きてたのか!!」
全身土だらけで服も破れ、頼りないウエストの滑らかな曲線がくっきり見える。
「ん?主?あれ?この卵喋った?」
ん?あれ?俺の声が聞こえた?何故?
俺は追加されたスキル一覧を見る。
攻撃系のスキルと自分に掛けるような物が並んでいる。
別に会話スキルのような物もないし、なんでだ?
「ねぇ、君喋れるの?」
ぬ、主が話し掛けてきたぞ!どどどんなキャラで行こうか!?
ここは威厳たっぷりに…
「お、おう。喋れるぞ!」
やっちまったぁぁぁ!!!
テンパって噛み噛みだよ!このバカ!オタンコナス!すっとこどっこい!
「へー!モンスターって生まれる前から喋れるんだ!凄いんだね!」
この子もしかして結構天然?まあいいや!結果オーライだよ!
「僕の事助けてくれてありがとね!僕はフランって言うんだ!」
「そうなのか。俺は、俺はまだ生まれてないから名前は無いな」
俺がそう言うと主は笑顔が弾けるように笑った。うっかり惚れそうになるが主は男だ。
いや待てよ、俺が雄って確証も無いのでは?
一人称俺で良いのか?
「じゃあモンスターさん!僕と主従契約して!」
突然何言い出すのこの子!?
主従って?女王様と下僕とか?俺にそんな趣味無いよ?ああ、男同士だから主と従者か。あれ?俺魔物だから契約獣みたいな?カッコイイ!
「召喚獣のような感じか?」
「え!?ぼぼ僕そんな高位な魔法使えないよ!」
ほう、召喚ってこの世界だと高位魔法なのか。
うむうむ、いいぞ。少しずつだがこの世界の知識が増えていく。
異世界転生したらまずは新しい知識の習得が必要だよな。丁度言語は日本語と同じらしいから後は世界の仕組み関連の知識が必要だな。
「なあ主。俺この世界のこと全く知らないんだが説明してくれるか?」
「え!もしかして契約してくれるの!?」
喰い気味に答えた主の勢いに少し気圧されながらもなんとか耐える。よく頑張ったぞ俺!
「まあこれもなにかの縁だ、良いぞ契約してやる」
そうは言っても俺、契約とか知らないんだけどな!
そんな俺の不安もつゆ知らず、主は元気な声を発する。
「モンスターさんありがとう!」
ガサガサッ! ―ビクビクッ!
突然の物音にびっくりした俺らは同時に震え、一緒になって笑った。
なんだかんだで始まった仲だがここから上手くやれるのだろうか?
村へ帰る旅路、暇つぶしに色々教えて貰える事になった。
「説明って言ってもどこから話そう?」
本気に迷っているらしく困った顔でぽりぽり頬を掻く主。
まあこの世界が当たり前の主が説明出来る訳がないか。俺だって昔の世界の説明って言われたら困るし。
「じゃあとりあえず魔法について説明して貰えるか?」
まだ卵の俺は知っていて損は無いだろう。
「うーん、魔法ねぇ…。実はあんまり研究が進んでないんだ。自分が持ってる魔力を消費すると力を発揮する事は分かってるんだけど…」
ふーん、残念だな。あれ?でもさっき転移は上位だからって?
「魔術にはランクがあって使う人の方がレベル高くないと発動出来ないんだ」
なるほどな。弱い内は強い魔法が使えないんだ。言ってしまえば実力主義と言うことか。
「ん?ランクってどうすれば上がるんだ?」
「それはモンスターを倒すんだよ」
「じゃあ何回も同じ技使ったら上がるのか?」
俺がそう聞くと主は突然笑い出した。
な、なにか変な事言ったか?
「ふふっ、変な事聞くんだね。上がるわけ無いよ。本当にモンスターを倒さないといけないよ」
「そ、そうか、じゃあ強い奴に付いていって倒して貰うのはどうだ?」
パワーレベリング出来るなら俺の技を使って主のランクも上げれると思うが。主見た感じひ弱だし、俺が守らないと!
主によるとパワーレベリングは出来ないようだ。モンスターに50%以上ダメージを与えていないといけないらしい。
つまり基本1人で倒すことになる訳か。
強い奴は本当に強い世界って凄いな。あれ?
「なあ、なんで俺みたいのと契約するんだ?主のランク上がらないんじゃないか?」
「契約したモンスターの手に入れた経験値は契約主と共有なんだよ。だから大体皆はモンスターと一緒になるんだ」
ほお~、それなら合点がいくな。なら俺は全力で強くならなきゃな。
「よし!帰り道で沢山モンスター倒そうぜ!そして強くなって村に帰ろうぜ!」
俺ってば天才過ぎでしょ!シールドバシュ使えば大体倒せそうだし。
「まだ契約してないから無理だよ(笑」
…な、なにぃぃ!!