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転生なんてこんなもん

 目が覚めるとそこは闇の中だった。目と思われるものを動かしているから実際は開けれていないのかもしれないが。まあ、多分ここは闇の中なのだろう。


 俺はつい先程、事故に遭い死んだ。死んだはずだ。

 今の状況をみれるほどの意識はあるし、目をはじめとした体の感覚もある。なんなら頭がキンキンに冴え渡っているまである。

 体のことは今は別にいいか。


 うーむ、ここは何処だろうか。硬い何かの中のようだが、丸みのある輪郭を考えると卵といった所か。


 ふむ、何故俺は卵の中に居るのだろう…?


 俺は真っ暗闇の中でゆっくり考えていた。

これはもしかして、巷で噂の"転生"とかいうヤツなのでは?と。

 いや、実際そうだろう。死んだのに意識も感覚もあるとかあり得ないし。うん、そうだな。一々考えるのも面倒いし転生した事にしよう。

 おい、まじかよ!俺も遂にラノベ化されるん!?


 よし!じゃあ、話を進める為にも早速外の世界に飛び出しますか!


 俺は意気揚々に殻のように硬い、目の前のナニかを殻に負けない程硬く握った拳で殴りつけそして地獄を見るのだった。


―ガンッ!!

硬ってぇぇ!? え、ええ!?待って待って、卵って中の子供が出られるぐらいの硬さじゃないの?なんでこんな硬いの?

 何、俺のレベル低すぎるの?いや、卵の中でどうレベルあげるの?


 俺は状況を確認するため今度は優しく殻に手を当てる。

 うーん、ひんやりザラザラってとこかな。あれ?卵って温めなきゃ…あ。

 ええ!?こんなん無理ゲーかよぉ!誰かー!温めてー!


 …ってうお!?


 急に動き出した空間。中に居る俺には揺れに耐えることしか出来なかった。


一定のリズムで上下に揺れる卵。


 これはあれか、運搬しているのか、俺を。

 卵 運搬 調理 いただきます。へぁ!?

 俺食べられちゃうの?転生してからまだ外出てないのに?やだよ?

 いや、せめて外みせて!

 かわい子ちゃんになら食べられても良いから!ほら、この殻を透視するとかそういう能力頂戴!


『"透視"能力は転生ボーナスにより取得可能です。取得しますか?』

 どなた!?何?いきなり頭の中に直接聞こえたんだけど!


 ひょっとして天の声とかいうやつか?

 もしかしてゲーム世界転生?え、1番楽しいやつじゃん!?

 …ご、ごほんっ。

 えーと、それでその転生ボーナスは何個貰えるの?

『転生ボーナスは最大一つまで取得可能です。"透視"能力を取得しますか?』

 あっ、1個なの。1個か~…悩むけど、卵硬いし、俺の死に様決める事だし取得しようかな?

『それでは"透視"能力を取得します』

よろしくお願いしまぁぁす!!


…一度言ってみたかったんだ。


 遂に俺は転生あるあるのチートスキルを手に入れてしまったようだ。

 おいおいまじかよ、これスキル無双したら次はハーレム作れるのちゃう?

 ハーレムかぁ、ハーレム…


 ぼかぁねぇ、むかっしからねぇ、女にモテなかったんだよぉ!!


 失礼、取り乱してしまった。

 それでスキルってどう使うんだろ? ステータス表示も無いし…

 おーい、天の声さーん!


 …うんともすんとも言わないな。

 おいスキルどう使うんだよ!

 早くしないと逃げられちゃうよ、俺のハーレムぅ!


 天の声さんから何の説明も無いので、とりあえず殻を凝視してみる。

 軽く見る。 ・・・チラッ。

 念じて見る。 …ふぬぬぬ・・・。

 だめだ!見えん!

 何故だ!何故見えん!というか何故説明がない!

 なにか、なにかあるはずだ。


 ・・・はっ!そういえば昔、誰かが言っていたな。考えるな、感じろと。

 力んでもしょうがないな。相手は魔法だ、流動的ななにかがあるのだろう。

 ふむぅ、試しに流れを感じてみるか。


 心を無に、脳味噌からじわじわと力を流し、眼の内側の筋を通して伝わる力を感じて・・・


 ・・・見る!


 仄かな灯りに照らされぼんやりと見渡せる岩の通路。ゴツゴツとした壁でここが洞窟の中だとすぐに分かった。


 横に目をやれば煌々と燃える松明が見える。二人一組なのだろうか。いや違う。2人共小走りだし、服はボロボロで武器を持っていない。おそらく俺を盗んでるうちに襲われたのだろう。それでも俺を置いて逃げないのは大事な物だからか。

 しばらく走り、闇の中に一筋。目の前の松明より明るい光が見える。出口だ。卵を持つ主の勢いが俄然変わる。


 不意に、灯りがぐらついた。刹那狭い洞窟内に怒号と松明が自分達の前に飛ぶ。投げ出された松明は自分達と出口の間に転がり、怒号は狭い通路に反響していた。

 持つ主に力が入り、走る速度も上がった。


 ―ああ、と俺は勝手に納得してしまった。


松明を飛び超えた俺らは一気に洞窟の外へ飛び出した。


 飛び出したとき出口にあった石に躓いた"主"は勢いそのままに地面へ転がった。一緒に投げ出された俺は大木にぶつかったのだが、傷一つつかずに主の元へ転がり帰る。

 あ~、目ぇ回ったぁ。

 急いで起き上がった主はすぐに俺を抱きかかえ、洞窟へ向き直り全身で叫んだ。

 「あ、兄貴ぃ!」

 しかし返ってくるのは反芻する主の声だけ。

 ・・・ん?あれ?日本語?


 そんな俺の疑問も背後からの咆哮にかき消されてしまう。

 「な、グレートベア!?ついてない!」

 そこには3メートルは超えるだろう、大きな熊が仁王立ちしていた。


 ガキンッ―――!!

 前足での右払いを俺を盾に防ぐ主。

 ・・・っほええぇぇ!!無理だ!割れちまう!

 ガキンッ―――!!

 左での2撃目をまたも俺で防ぐ主。

 うぎゃぁぁっ!!


『称号"盾を持つ者"を取得しました』


 あい!?なんだって?天の声さんワンモア!

 しかし沈黙する天の声。絶対そうだと思ってました!


 目の前には体勢を低くして構える熊の姿。

 !! やべ!次のは流石に死ぬ! おい主!何してやがる、早く横に!


 話す事が出来ない俺の言葉は主に届くはずもなく、主は熊を見据えて構えていた。


 力を溜め終わった熊は大地を抉りながら正拳突きを放った。

 ズッ、ドオォォン・・・ッ!!

 突きの威力は絶大で押された空気は塊となり、俺らを襲う。

 主は俺を盾に攻撃から身を守ろうと暫く耐えたものの、圧倒的な力を前にあえなく吹き飛ばされた。

 飛ばされた主は地面に打ち付けられ、ピクリとも動かない。

 ああ、やはり無理だったか…。

 動かなくなった主を尻目に放物線を描き、洞窟の入口の真上。そして、動かない主の真上の岩壁に突き刺さった。


 イテテ…あー目ぇ回った。

 それになんだこの殻。ヒビ一つもついちゃいねぇ。硬すぎるにも程があるだろ。

『称号"盾を使う者"を獲得しました "盾を持つ者"を吸収します』

 そういえばさっきから天の声さん何か言ってたな。

 何?称号?なにそれスキルとは違うん?

 てか俺卵なんですけど!戦ってすらいないんだけど!


 ある程度の攻撃を防ぐ事が条件なの?この殻ならどれ位まで耐え…待って、という事は中から全力で殻殴って攻撃称号手に入れながら防御系も…。


 ドラゴンが生まれたてでも強い理由が分かりました。


 岩肌に突き刺さった俺。

 突き刺さったとは言っても、ぴったりフィットする窪みに入っただけだけど。

 垂直な壁に向かって垂直に刺さる俺。

 なにが言いたいのかって?


 地面が前にある上動くことも出来ないんだよ!

 誰か助けて!


 この殻の性能を持ってすれば落ちても割れて中身が飛び出す、なんてことは無いだろう。

 だがな、どんなに丈夫な殻を持っていてもな、衝撃だけはもろに喰らうんだよ!

 熊に散々叩かれて痛いほど分かったよ!

 実際痛いよ!


 することも無いので下を眺める。


 動かない主に近付く熊。

 うぇ、食べちゃうのかな?俺がどうこう言えないけど外に出して貰ったしどうにか助けたいな。

 動けないけどね。


 熊は主の傍に立った。おい、あの熊なにする気だ。

 つい何も出来ない自分に苛ついてしまう。

 何か、何か俺に出来ないのか!

 俺が何も出来ない内に熊は主を掴み上げる。


 どうにかここから降りれれば真下に居る熊にぶつかる事が出来るんだが…


 「ぐがあぁ!!」

 なんだこのでっかい鳥!おい突くな!割れるだろ!


 大鳥はとんでもない力で俺を叩いてくる。

 その衝撃は周囲の岩に亀裂を入れて俺を支える岩壁の脆くさせた。


 おい、やめろ!この馬鹿鳥!洒落にならねぇ!


 ―バキッ!


 度重なる攻撃で崩れた岩肌。俺は砕けた岩と共に地上に落ちていく。

 ぎゃああ!!ちきしょー、あの鳥驚いて逃げやがった!

 どうすんだよこれ!岩に呑み込まれたら俺もう見つかんないじゃねぇか!

 誰か見つけてくれると良いけど、流石に無理だろ!

 ぎゃあああああっ!!


 ―ガラガラッ・・・


『レベルが上がりました。7つの新スキル、2つの称号を手に入れました。』


 イテテ。頭ぶつけちまった。 殻の中でね!

 ん?レベルが上がった?なんで?


 崩れた岩は堆く小山を作り、俺はその上にちょこんと乗っていた。

 もしかして熊巻き込んだ?いや、それより主は!?

 死んでたとはいえ岩に巻き込まれたとなれば浮かばれないでしょう。

 むー、どうにか骨の一つ拾ってあげたいんだけど…。どこにいるんだろ?

 あ!透視で探せば良いじゃん!

 ど~こにいるっかな~?


 うーん周り岩しか見えない。この岩厚いから?

 どうする?


 そういえば新しいスキル貰ったな。何か使えそうな物はっと。


 シールドバッシュ?

 これ攻撃スキルだ。岩砕けるかな?でも俺盾持って無くね?嘘っ、殻?

 まあいいや、そこらへんの岩に"シールドバッシュ"!!


 ―ボゴォッ!


 殻全体が爆発したように振動して周囲の岩が砕け散り、消し飛んだ。



    (((゜д゜;))ガクブル



 強すぎね? チート?やった!やっとまともなチートスキル手に入れたぞ!


 や~ほら、ね。俺ってこういうね、ちゃんと強い訳よ。


 ボゴンボゴンと周囲の岩を砕いていてふと頭に浮かんだ。

 あれ?これ主ごと爆破してね?



 …ま、いっか。墓穴と言うことで。死人に口なしって言うし?バレないバレない♪

 俺は引き続き岩を砕き始める。てい!


 キュピンッ!

 軽快な音が俺の脳内に響いた。

『使用回数が一定値を超えました。シールドバッシュはlv2に上がります』

 ほえ~。何回か使うとレベル上がるんだ。てかレベルあったんだ。


 レベルが上がった事もあり、岩の粉砕はサクサクと進む。

 岩は粗方粉になって、疲れた俺が一休みしていた時だった。俺はなにかにひょいっと持ち上げられた。


 んな!?何事!?

 っっっっひゃっっっはろぉおおですぅぅ!!

 

 あっ、すみません取り乱してしまいました。

 初めましての方も多いかと思いますので、挨拶を。

 初めましてKuraheと申す者です。Kuraheは『くらーえ』と読みます。主な生息地はTwitterなどでふわふわしております。

 あらすじにも書いていますが、この作品は現在投稿中の『200字転生物語』をまとめたものになります。


 いかがでしたでしょうか?お楽しみ頂けました?各話毎に話を完結させることをしていたのでくっつき具合が微妙だったと思い、大変心苦しいです……。

 まだまだ話は続きます。このまま、まとまった話を読んで行くか、200字転生物語の方を毎日読むか。皆さんの生活リズムに合わせて読むスタイルを変えて頂けるととても嬉しく思います。


 それでは、ここらで後書きを閉じさせて頂きます。  また!

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