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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

びっくりしました

作者: 作者this

四月のある日、私たち一行は森で狩りをしていた。

その森は、我らの言葉では「魔界の入り口」と、

南方に住むズース人は「北の果ての暗い森」と呼んでいる。


事件は、この森で最も深く暗い、

「危険域」に私たちが足を踏み入れてからおよそ30分経った休憩時間に起こったのだった。

5年前まで使われていた小高い丘に建つ石造りの櫓についた私たちは、

10分ほど休息をとることとなった。

この狩猟隊の副隊長であるフォルゲ・シャスベは私と同郷出身であり、私より3つ年上である。

その彼が私を呼んだので、私は隊列をかき分け、副隊長が指揮する擲弾投擲部隊へ向かった。


副隊長のキャンプに着くと、彼は直属の部下とこの狩猟隊で唯一のズース人であるベルル博士の3人で、古びた地図を囲んで会話をしていた。

彼は私に気づくと彼の部下に何やら指示を出す、するとその部下は足早にこの場を去った。

副隊長が「久しぶりじゃないか」と言ったその時、

私の背後40メートルほどで誰かが大きな悲鳴をあげた。


「魔物だ」誰かが叫んだ、振り返るとそこには世にも恐ろしい魔物の姿があった。

それを見た私はめまいを感じ、副隊長は顔に冷や汗をかき、博士の顔は引きつっていた。

魔物の外見は、まさに伝承のそれそのもので、赤黒いうろこに包まれた円柱形の体から、

12本の黒い足が生え、それぞれの足の先端に3つの狼の顔と一組の繁殖のための器官を備えた、

まさにおぞましい姿だった。

さらに魔物は、体全体から水蒸気を立てながらゆっくりこちらへ近づいてきた。


「落ち着け、落ち着くんだ」副隊長が必死に叫んだが、狩猟隊は大混乱に陥った。

投擲部隊のある者は逃げ、ある者は独断で魔物に対して擲弾を投擲した。

不運なことに、投擲された擲弾の一つが火薬満載の馬車の近くに落ち、大爆発が起きた。


隊員はあちらこちらに逃げまどい、狩猟隊は瓦解した。

私と副隊長と博士の3人は、

みな同じ左足首と右手の甲をひどく負傷してしまい取り残されてしまったのである。


「逃げなくては」私がそういうと、ほかの2人もうなずいた。

ところがここは「危険域」と呼ばれるほどの森の奥地で、道はとても険しい。

私たちはけがの痛みに耐えつつ、魔物から逃げようと試みた。

だが、湿った岩は想像以上に滑りやすく、

けがをしていたことも相まって私たち3人は次々と水場に転落してしまった。

魔物が近づいてくる。

服が水を吸って重くなり、動きが鈍る。

3人は「もはやこれまでだ」と何度も口ずさんでいた。


そのとき、突如として魔物が立ち止まり雄たけびを上げ始めた。

「一体何をする気だ」私がそう言うと。

「とにかく今のうちに逃げよう」と副隊長が言った。

私たちは意識が朦朧としつつも生存本能に従って逃げようとした。


だが。


突然大勢の話し声があちらこちらから聞こえてくる、しかし何を言っているのか聞き取れなかった。

また、突然大きな爆発音がした、笑い声がした、悲鳴がした。

「なんか変だぞ」という感覚だけを理解でき、それ以外のことは意味が何も分からなかった。

猛烈にまぶしいと感じた、これは何色だ。

赤だと思ったら青だった、いやこれは青じゃなくて緑?

これほど濃い色を見たことがない、だけど、これは何色だ。


考え続けると私は夜の砂漠にいた。

私の目の前に私の顔面が落ちていた。

私はそれを顔にはめ込んで安堵した。

「これでのっぺらぼうにならずにすむ、よかった」

急に我に戻った私は怪我がないことに気が付いた。

そして、周りに誰もいない。

でも、服が濡れている。


夜空の星が点滅し始めた。

空からあの魔物が降ってきた。

魔物がゆっくりとこちらへ近づいてきた。


一体目が立ち止まると、二体目が降ってきて、それが立ち止まると次のが降ってくるといった具合に、

合計十体の魔物が私を囲んだ。

私は身構えていたが、魔物らは襲ってこなかった。


長い時間が過ぎた後、魔物は赤・青・緑に光り始めた。

私の顔面が取れた。

私は魔物によって分解されていることに不安を感じなかった。


私はベットで寝ている、枕元にはデジタル時計がある。

「どうやら再構成されたみたいだね」私は彼女にそう言う。

面白いジョークを言ったつもりなのに時計は反応しない。

私は時計を投げ捨てた。


「首が動かない」

「寝違えたのじゃないかな」

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