みんな無力に平等に
千体の仏像。ひとりひとり異なる表情。
それらを見つめるひと、ひと、ひと。
みんな同じ方向を見逃しまいと見ている。
国も言葉も違うはずなのに、
思想も信念も違うはずなのに。
仏像たちにはそれすらも超える力があった。
今、この空間には過去も未来もない。今、この空間には人種も思想もない。
過去の自分も未来の自分も仏像様の前で拝んでる。
きっとみんなそう。
こうやって一方向を向いていることができるなら
きっと世の中は一つになれて、平和になっていくのにね。
もし、平等ということが、みんなが一つになるために必要なことなら。
きっとこれ以外に一つに成れる瞬間って、宇宙人が侵略してくるぐらいじゃないとこないんじゃないかな。
平和なんて来ないんじゃないかな。
平等になんてできないんじゃないかな。
戦争が起こって、不平等がある世界に生まれた僕たちは、それでも平和とか平等とかを求めている。
どうやって求めたところで、そんなの来るはずもないのに。
でも、それでも、みんなが笑える世界はとても、面白いとおもうのにな。
そう思いながら観音様を眺めてみると、私の前では皆平等だ。と言ってくれるみたいで
ただただやさしく見守ってくださる。
仏様はみんなを平等に無力にしてくれるんだと。そう思った。
みんな無力に。みんな平等に。