表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
学校を守り隊!! でぃふぇんす おぶ すくーる   作者: 時 とこね
後書きに代えて
41/42

百八日目 ただいま。

 季節は廻り、夏になる。今にも茹で上がりそうな炎天下の中を、蝉の声が波になって溢れている。少年はその中を前方目指して歩いて行く。


 「あっちいな……。」


 彼は学校へ向かっている。今は夏休みだが、彼にはやることがあった。


 取り敢えず、暑いので体育館横の剣道場に入る。


 「あ、龍人!」


 剣道場にはいつものメンツが揃っている。少年は片手を上げて軽く挨拶した。


 「よ!」


 「どうしたんだよ?」「おお、久しぶり!」


 少年の所にアタルとマモルが寄って来る。


 「他の人ならぶっ飛ばしてるけど、龍人は特別だよ。」


 美菜は剣道場の奥で正座している。今では立派な部長になっていた。


 「おいおい、それでいいのかよ……。」


 カケルは怠そうに欠伸をした。笑いながら言う。


 「だって龍人は私の恋人だもん。」「いつからそんな話になってんだよ!?」


 龍人がツッコむ。


 「違うのか?」「違うにきまってっだろ!」


 マモルは純粋にそうだと思っていたそうだ。アタルはしみじみと言う。


 「そっか……。じゃあ、まだ優燈の事、待ってんだな。」


 「ああ、あいつが帰ってこないとさ。みんなで、遊びに行けねぇからな。」


 それを言うと、龍人がすこしうつむき加減になった。みんなはそれを見て元気を出す。


 「その内、帰って来るわよ!」

 「おうよ!」

 「あの優燈だもんな。」

 「俺たちも待ってるぜ!」


 「お前ら……。ありがとな。」


 「何よ、龍人が寂しそうにすること無いじゃない!」

 「ほらやめろ。そんな顔されるとこっちまで悲しくなるから。」


 「へ、そうだな!」


 仲間たちに励まされ、龍人は笑顔になった。


 それからここで気付く。


 「そう言えばデゥエスとか穂乃佳たちはどこ行ったんだ?」


 「ああ、デゥエスは買い出しに行ったわよ。穂乃佳たちはお昼ごはん買いに。」


 「穂乃佳たちはともかく、あいつが買い出しに行くって珍しいな。」


 「私との勝負に負けたら飲み物買ってくるって言ったから、勝ってあげたのよ。」

 

 「お前もだいぶキャラ変わったな。」


 「元からよ。」


 「そっか。」


 龍人は少しの間三人を待ったが、残念ながら時間が来たようだ。


 「んじゃ、俺はそろそろ行くかな。」


 龍人が筆箱を持って立ち上がった。三銃士は疑問に思う。


 「龍人が夏休みに学校って珍しいよな。」「そうだな。」

 「何でお前学校に来たんだよ?」


 「あ? 補講だよ。」


 「あ。」察し


 「そっか。勉強も頑張ろうね!! いつでも教えてあげるから。龍人ならね。」


 「ギクッ!」「先に読まれてたな。」「全くお前は。」


 「お前らもだいぶ変わったな。」


 「そうか?」「そうでもないと思うが。」「そうなんだろう。」


 「はよ行ってくる、んじゃ……。」


 少年が剣道場を出ようとした時、突然、疾風のような時音が現れた。


 「龍人龍人龍人!!」


 「うお! 時音か!? どうした!?」


 「龍人龍人龍人!! 外外外!!」


 「へ、外?」


 「うんうんうん! そとそとそと!!」


 ぱたぱた動く時音に連れられて外に飛び出す少年、みんなも後を追った。そこには




 「……!!」




 少年は筆箱を投げ出して走って行った。




 「……。」




 彼は何も言えずにいた。眦が熱くなり、それを必死にこらえていた。




 「ちょっと、カッコ悪いよ?」


 「っるせぇよ!!」


 少年の前には少女が居た。天使のような白衣を纏い、彼に微笑みかけている。少年は手の甲で顔の汗を拭った。




 「おかえり……」




 季節は夏。肌色のグラウンドに、地平線は緑豊かに、空の遠くに入道雲がそびえ、黒い影を作る。眩しくて色の見えない二人がいた。少女は微笑んで少年に抱き付き、少年は優しく抱き返した。




 「ただいま……!!」




8/9 時

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ