三日目 眩しいたいよう その2
時音を探しに行った四人組は、誰も居ない街中を静かに進んでいた。四人とも護身のために竹刀を持っているという異様な光景。彼らがこれからどこに向かうかというと、これといって目的地があるわけではない。まあ、たぶんどうにかなるよ。と気軽に構えていると、前から敵の兵士が近づいてきた。
「あ。」
と思って、四人は竹刀を構える。剣道部が竹刀を構えると物凄く様になるので困る。彼らは敵兵がどんな戦い方をするのか龍人からちょこっとだけ聞いていたが、実際にどんな風になるのかまでは分からない。ただ、人数で有利なことに変わりはない。
四人は一斉に攻撃を仕掛ける。だが、敵はそれをひらりとかわす。そして、四人の中で一番弱い穂乃佳に狙いを定め、白刃の剣で一突。穂乃佳が間一髪でかわすも、敵兵は身を翻し彼女に襲い掛かる。
「あ、終わった……。」
穂乃佳がそう思った瞬間、彼女と敵との間に三銃士のアタルが割って入り、敵の刃の攻撃を食い止めていた。
「あ、アタル!」
「穂乃佳早く下がれっ!」
穂乃佳は急いで下がった。一方のアタルだが、なんとかつばぜり合いに持ち込んだものの、体勢では敵の方が有利で、徐々に追い詰められていく。そこでアタルが号令をかける。
「今だ!!」
敵兵の両側、カケルとマモルが竹刀を振り上げて敵を打つが、敵兵はすばやく引いて距離を取った。
「ぐげげげげげ!!!」
敵が気色悪く笑う。四人は気持ち悪くて引いた。敵兵は相変わらず笑止まず、結局最後は後ろからの竹刀の一撃で「パンッ!」と破裂して、黒い小さな板が地面に落ちた。
「あ。」
と四人が思う。そこには、迷子のはずの時音が竹刀を構えて立っていた。敵兵に止めをさしたのは彼女だったのだ。
「し、時音ーっ!!」
「サッ」
そう言って抱き付こうとする穂乃佳を、時音はナチュラルにかわした。
「ひどーい! で、その子はだれ?」
時音の後ろには一人の少女が、おどおどしながら横回転していた。
「あーどうしようどうしようどうしよう。」
「ど、どしたの?」
さすがの穂乃佳も戸惑いを隠せない。とりあえず声をかけてみた。すると少女はこう答えた。
「11にするか7のままか、決められない。11はレヴューでもあまり性能が良くないって言ってたし、今の機種に適合するかもわからないし、かといってこのまま9を使い続けていたらサポートが切れるだろうし、変えるべきか変えないべきか決められない。あーどうしようどうしようどうしよう。」
「えーと、どゆこと?」
穂乃佳が時音に訊くと、時音は首を捻った。
「ちんぷんかんぷん」
とりあえずその少女を学校に連れて帰ることにした。