二日目 あおいなにか
翌日
朝早くから学校に来た龍人と優燈、そして、みのる。三人は教室に集まって会議をしている。
「だから、ここはこうだと思う。それでも、十人は必要だと思う。」
みのるの話を真剣に聞く龍人と優燈。作戦は大体で出来てきていたが、問題は人数。
「やっぱり三人だとキツイか。」
龍人がため息をつく。敵の軍勢はかなりの大多数なのに対し、こちらはたったの三人。学校が休みになったので、こんな日にわざわざ登校してくる人もいないだろう、と龍人は考えていた。そこに扉が開かれた。廊下から二人の学生が入って来る。
「おはよう。あれ、三人だけ?」
「コク。」
「あ、今日がっこー無かったんだっけ?」
「コク。」
「じゃあ帰ろ……。」
そう言いかけた時、新たに教室に入って来た女子二人は龍人たちによって囲まれて、逃げ場を失っていた。物理的にではなく、訴えかけるような瞳に睨まれていた。
「こ、怖い……。」 「ブルブル」
☆二二 ☆二二 ☆二二 ☆二二 ☆二二 ☆二二 ☆二二 ☆二二
「ほへー。みんなをまとめるのって大変だねー。」
素直でのほほんとした感じの彼女は須藤 穂乃佳である。これと言って特徴があるわけではないが、クラスの中では割と清楚な方ではある。
「コクり。」
こちらの効果音だけで会話している彼女は柚木 時音という名前。キャラ的には夜月と被っているが、実際は彼女の方が感情豊かに表現する。滅多に喋らないところは同じか。見た感じは小学生みたいだ。
こうして、三人から五人に増えた。それでも、あと五人必要なのだ。龍人とみのるが頭を悩ませていると、穂乃佳はアッと思い出したように
「剣道場に、四人いたよー!」
と言ったが、ほかのメンバーは懐疑的だった。何となくのほほんとしているから、信用が無いみたいだ。龍人が彼女に訊く。
「本当なのか、それ?」
「ほんとうだって!」
穂乃佳は全身を使って表現する。何となく必死そうだ。それをフォローするように優燈がすたすた廊下に出て行って、
「いまから見に行こうー!」
と教室の全員に呼びかけた。穂乃佳と優燈、何となく似ている気がする。
取り敢えず見に行くか、ってことになった。
~~◯~korokoro~~◯~kurukuru~~◯==SYUIIIINN!!
さて、剣道場には四人の剣士が居りました。彼らは厳しい修行を一日も欠かさずにおります。四人はそれぞれ、向かい合って鎮座しておりましたが、立ち上がり、二人一組で向かい合う。礼をして入り、礼をして竹刀を構える。その構えの見応えは、センスの一言では筆舌に尽くしがたいものである。人間がどれほどの時代を重ねても自然の造形美を最も評価する所以は、長い月日の経過には天才ですら届かないものがあるからに違いない。つまりは、彼らの努力の賜であった。
剣道場で鳴り響く竹刀と竹刀のぶつかり合う音、足音、剣士の叫び……。その全てを遮ったのは五人のクラスメイト。一人が「やめい!!」と括り、一瞬で沈黙した。どんな人でも、練習中の剣道道場に入ると、その迫力に圧倒されるものだろう。それでも、穂乃佳と時音はすっかり慣れた様子で、一礼してから剣道場に上がった。
「ねぇ、ひま?」
穂乃佳が突拍子もなく訊いてきたので、四人は先程までと打って変わってげらげらと笑いだした。ようやく中学生らしくなってきた。というより、穂乃佳と時音は剣道部所属なので、すでに打ち解けているだけだ。
「今日はがっこー無かったんだね。だからみんなずっと練習してたのか。」
穂乃佳がうなずく。隣で優燈もうなずく。
ついでに時音もうなずく。
「何のノリだよ!」
龍人がツッコむ。剣道着の四人はおかしくなって笑った。どんな魔法を使ったのだろう。
こんな感じで、四人を仲間にすることは難しくなかった。
「昨日のあいつらが攻めてくるって本当だったんだね。」
四人の中で一番強くてまとめ役、一 美菜は、全国大会出場の腕前を持つ父親を持つ期待の新星。学校でも優遇されているとか噂が立つぐらいだ。彼女は努力家なので、勉強も出来るし、運動神経もいいし、惜しいことがあるとすれば、いつも穂乃佳と時音と一緒にいることぐらいかな。「いいじゃんかー。」
「なんか、盛り上がって来たな。うちのクラス。」
剣道部の男子は総勢三名(女子の方が強いので、男子の肩身が狭いせい)で、彼らは雰囲気で三銃士と呼ばれている。特に誰かが秀でているというわけではないが、攻守のバランスに優れて、面打ちを得意とするのが彼、生田 アタル。
「そして、我々の力が必要となった!」
剣道部の男子で最もカッコイイと言われる程度のカッコよさを誇る、道田 カケル。彼は攻撃に優れていて、胴を打ちたがる性格を持つ。それ以外で勝つとこをほとんど見ないほどだ。好きな刀剣は洞田貫。
「しかし、ほとんど剣道部員じゃね?」
剣道部の男子で最もオタク、いや、ヲタクなのが家尾 マモル である。彼の家には無数のフィギュアがあるといわれている。また、ヤモリが好きなことから、将来は優秀な自宅警備員になると、クラスの中で噂されている。守りが固く、小手を得意とする。
こうして、九人の人物が揃った。彼らは自分たちの学校を救うことが出来るのか、そして、彼らの運命や、いかに!?
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「って、なんもしてねぇ。」
九人は教室に戻った。そこで軽い打ち合わせをして、必要なものをそろえることになった。それが終わると雑談して、夕方になると帰っていった。
「なんか、たのしいな~。」
部活に入っていない優燈は、この新鮮な経験をうれしく思っていた。その陰で、夕焼けの中に、まだ青い何かがゆっくりうごめいているのを彼女は感じていた。
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本日の成果
仲間がふえた!
作戦の実行人数まであと一人!
連載開始!!
お疲れ様です。
この先、キャラクターがもっと増えるかもしれないので、キャラクターまとめた表みたいなのを出すかもしれないです。
ではでは。




