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学校を守り隊!! でぃふぇんす おぶ すくーる   作者: 時 とこね
別二章 七日目の鐘
18/42

午後0時30分 レッドエンド


 「何見てるの?」


 龍人は驚愕して飛び跳ねた。


 「いや何も見てないぞ!!」


 龍人が慌てふためくのを、優燈はほくそ笑んで眺めてた。


 「顔が赤くなってるよー?」


 「ふ、ふざけんなよ!!」


 優燈は口元を布団で覆って顔の半分を隠し、龍人をあざ笑うような質問をぶつけた。


 「ずーっと私のこと見てたもんねー?」


 「ずっとじゃねえよ!!」


 優燈はクスクス笑って、焦る龍人に切り返した。


 「じゃあ、ちょっと見てただけで赤くなったの?」


 「う、うるせえよ!!」


 龍人は顔から火が出そうなほど真っ赤になっていた。そしてついに保健室から出て行ってしまった。優燈はそれを確認すると、布団を口元から離した。龍人を散々からかっていたが、実は自分も真っ赤になっていたからだ。初々しい限りである。


 「ふぅ。良かった。」


 ただ、それを陰から見ていた者がいる。窓の外から声がする。


 「いいなー。」


 「イチャイチャ」


 「らぶらぶだねぇ!」


 穂乃佳と時音と美菜だった。


 「ふぁうっ!!」


 優燈は仰天して裏声になった。恥ずかしくなって布団を被って丸まった。


 「あ、照れてるー。かわいいー!」


 「アツアツ」


 「優燈ちゃんも恥ずかしかったんだね。」


 穂乃佳と時音と美菜は笑った。今まで良く分からない事が多かった優燈も、人並みに恥ずかしいと思うものだと知ったから。三人は優燈にからかったことを謝って、屋上に向かった。


 「ふぅ。恥ずかしかった……。」


 優燈はため息をついて、周りを確認した。今度は誰も居ないようだ。


 「でも、龍人が心配してくれてて、嬉しかったな。」


 布団の中で呟いた。彼女はまた顔が赤くなった。思い出す度ににやけてしまうのだ。さすがに暑くなってきたので外に顔を出す。


 「あ!」


 「ふふふ。元気があって良かったぁ!」


 目の前に保健野先生が居た。


 「せ、先生?」


 「なぁに?」


 優燈が恐る恐る訊ねる。


 「いつから居たの……?」


 それを聞いて保健野先生は笑顔で答える。


 「誰にも言わないわよ?」


 優燈はその言葉の意味がすぐには分からなかった。


 それがしばらく経ってようやく分かった。


 優燈は叫んで、先生に抱き付いて哀願した。


 「先生、誰にも言わないでー!!」


 保健野先生は優燈の反応が面白くなって、少し好奇心がわいた。


 「え、優燈ちゃんの弱点だし、みんなに教えてあげようかなー?」


 「やめてー!!」


 優燈が顔を真っ赤にして必死に叫ぶものだから、保健野先生も楽しくなってしまって、いい笑顔で笑った。ただ、優燈はあまりに必死になったので眦に涙すら浮かべている。


              ガシャンっ!!


 保健室の扉が開いたかと思ったら、三銃士が現れた!!


 「大丈夫だ、先生!!」

 「俺たちがしっかり聞かせて貰った!!」

 「みんなにも知って貰う!!」


 保健野先生と優燈はぽかんとして停止した。


 そして、三銃士は逃げ去った。


 優燈は急いでその後を追う。叫びながら追う。


 「お願いだから言わないでっ!!」


 三銃士を必死に追いかける優燈。その顔は真っ赤だった。優燈だけに夕日のように真っ赤だった。


 タイトル回収。


 楽しいひと時はすぐに過ぎ去る。


 優燈はもう一つの夢を見た。


 周囲が赤い。焼けるように赤い。


 その中に一人の人影。黒い人影。


 優燈はそれを呼び止めた。


 その者はゆっくりと近づいていく。


 優燈が後ずさりしてもすぐに追いつく。


 その者が近寄って、ようやく分かった。


 その者は背景の赤でくり抜かれたような目と口を持つ。


 怪物のような人間の容姿。


 優燈は叫ぶ。その正体は、かつての天使。












             堕天使の姿だった。














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