正午 ホワイトアウト
忍び寄る陰に人は無力
汝道を示す為に存在す
業火に肉体を晒し
流水に精神を流し
落雷に言葉を預け
暴風に全てを捧ぐ
汝聡明故その身を慎む
汝剛健にて自身を欺く
汝孤高にして頂き臨む
汝頂点にありて諫む者
忍び寄る陰に人は無力
汝道を示す者
業火流水落雷暴風
汝天を制す者
聡明剛健孤高頂点
汝邪を狩る者
その名は……
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そこで優燈は目を覚ました。
真っ白な保健室の中で、自分の鼓動の音で、体が震えていた。
少しして、自分の呼吸が荒いことに気が付いた。
優燈は全てを確認してから、ゆっくり深呼吸した。
保健室には誰もいなかった。開け放たれた窓から風が入って、端のカーテンをゆらゆら揺らす。波打つように揺れる。
不思議な気持ちになって、起き上がってそのカーテンに埋まる。体が飛んでいきそうな高揚感。ずっと前に感じたようなそんな感じだった。もっと簡単に言えば、空を飛んだような。この世界に降り立ったようなそんな感じだった。
優燈は感情に収まりがつかないと知ると、拳を作って自分の胸に当ててみた。小さな心臓が必死で動いていることが分かった。
普段おかしなことばかりしていた自分だが、こうなってしまっては仕方がない。
優燈は静かに、ベッドの中に戻った。
彼女が寝息を立てる頃、龍人が保健室に戻って来た。
「まだ寝てるのか?」
彼は気遣うよう、小さな声で優燈に語り掛けた。彼女はすっかり寝てしまっていた。
龍人は、優燈の寝顔を眺めていた。
「寝てるとこ、初めて見たな。」
ため息をついて、龍人は笑みを零した。




