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学校を守り隊!! でぃふぇんす おぶ すくーる   作者: 時 とこね
別二章 七日目の鐘
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早朝7時 圧勝する

 龍人と優燈は最前線で戦い、三銃士が中心に向かって突撃する。遠距離攻撃の準備を進めるみのる達は、みのるとサキの屋上に向かうグループと、穂乃佳と時音のみんなを起こしに行くグループに分かれた。


 みのるとサキは全ての投球マシーンにボールを装填できるだけ装填し、すぐにでも発射できるように用意した。後は人数が揃うのを待つだけであったが、ここでサキが校舎から不思議な機械を運んできた。


 「それは一体何?」


 みのるが訊くとサキは答えた。


 「はーいぃ!! こちらは、折り畳み椅子を発射する破壊兵器にございます!!」


 「いつの間にそんなものを?」


 「ずっと隠れて作っておりました。皆さんに迷惑をお掛けするわけにもいかず、かといって投球マシーン十台では火力不足ではないかと思いまして。」


 みのるはその完成度に驚きを隠せないでいた。それを見た彼女は不安げに訊ねる。


 「余計なお世話でしたか?」


 「いや、そんなことは無いよ。」


 みのるは微笑み返した。サキはほっと胸を撫で下ろす。


 「もし人数が居れば使おう。主力は投球マシーンだ。」


 「はーいぃ!!」


 サキは嬉しそうに敬礼した。


 一方体育館では穂乃佳と時音がなかなか起きない味方にラッパ攻撃をしていた。


 「これって意味あるのかなー?」


 「コク」


 ピピピピピ……ピピピピピ……


 電話がかかって来た。みのるからだ。


 「はい、もしもし。」


 「穂乃佳、頼みがあるんだけど、みんなを起こしたら体育館にあるパイプ椅子を運んできて。」


 「了解!」


 「それから、一人多くこっちに回して。」


 「分かったー! みのるも頑張ってねー!」


 「うん、じゃあ。」


 プツ、つーつー。


 電話が切れてから穂乃佳は気合を入れ直した。


 「よし、頑張ろうー!!」


 「ジリジリ……。」


 なんだか嫉妬しているような時音が眠っていた味方をラッパでぶん殴った。


 「バシッ!!」 「はうあ!!」


 この方法で味方全員を叩き起こした。


 味方というのはこの学校の生徒で、美菜達が助けた人たちだった。彼らは前日から作戦に協力すると言っていたので、叩き起こした。何時からとかは聞いていないのでオッケー。


 「じゃあ、野球部は屋上行ってー。アメフト部はグラウンドの敵を倒してー。」


 「ペコリ」


 二人がお願いすると、十二人の男子たちはやる気に満ち溢れて、ユニフォームに着替えた。七人が野球部、五人がアメフト部であった。


 「ここで着替えないでよ……。」


 「ファー」


 二人は呆れた。とそこで、穂乃佳が思い出したように


 「あと、屋上行く人はパイプ椅子をいっぱい持って屋上に行ってねー!」


 と言い残して、屋上に向かった。




ー=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=




 「ったく、切りがないな!」


 屋上から見て左翼で戦う龍人、そこにアメフト部の加勢が一人はいる。


 「……。」


 右翼で戦う優燈は無言で相手を塵に変えていく。そこにアメフト部の加勢が一人はいる。


 「ほんとに、何やってんだか。」         

「人を殴るのは良くないって言われたけど。」   「クシュン!!」

「人じゃないから大丈夫じゃね?」        「時音大丈夫?」


 中央で戦う三銃士、そこにアメフト部の三人が加勢する。後の六人集である。


 彼らの力によって、前線はそれなりに持ちこたえていた。しかし、敵の圧倒的な数に押され始めていた。戦闘が始まって十数分の出来事だ。


 ブルブル……ブルブル……。


 「こんな時に電話か。」


 龍人は隙を見て電話を取った。それはみのるからで、砲撃の準備が出来たから一旦退くように、とのこと。龍人は声を張り上げた。


 「お前ら、一旦退くぞ!!」


 「アイさー!!」


 グラウンドの味方は一斉に走り出して校舎の方へ。敵は急いで追うことはせずに、じりじりと戦線を押し上げてくる。


 「あいつら走ってこないんだな。」


 龍人たちは無事に下足室に戻ってきた。それを確認したみのるは砲撃開始の合図を出した。


 「見えるかなー?」


 ガラス張りの下足室の扉から、優燈は外の様子を見る。


 無数のボールが次々降り注いで敵を撃破していく、たまにパイプ椅子が空を飛んで、物凄い威力で着弾するのも見えた。


 「パイプ椅子も飛んでるねー。」


 砲撃が終了するころには敵の姿はほとんどなかった。あまりにもあっけないなと、六人集が話している頃、龍人はみのるからの電話に出ていた。


 「偵察部隊?」


 龍人が訊き返すとみのるはそうだと答えた。


 「向こうは生身の兵士でこそないけど、指揮官まで機械ってことは無いと思う。」


 「まあ、さすがにな。」


 龍人はため息をついた。


 「偵察ってことは、こっちの戦い方とかが流れたのか。」


 「かもね。」


 「不利になるな。」


 「それは、無いと思う。」


 龍人の言葉を、みのるは真っ向から否定した。龍人は頭を掻いて思いついた。


 「小手調べ、みたいなもんか。」


 「多分ね。そうじゃなかったらあんな突撃の仕方しないよ。」


 屋上では投球マシーンのセッティングと装填作業が行われている。ついでにパイプ椅子の補充も。テントが風にはためく。


 「向こうは勝った気でいやがるのか。」


 「うん。このまま、物量の差で押し切るつもりだろうね。」


 それから話題はこれからの連絡だった。あと数分するとテニス部とソフトボール部が到着する。そしたら穂乃佳と時音、野球部は前線に向かう。みのると空久保さんは機械の使い方を教えるためにしばらく残る。


 こうして、前線で戦うのは計19名。六人集は中央、野球部の内の4名はそこに合流、後の十勇士である。アメフト部の残り、野球部の残り、計5名は右翼に展開し、龍人と優燈と穂乃佳と時音は左翼に。


 「このハーレム野郎……。」


 と恨んだ男子が全員だった。が、これはこれで仕方のないこと。先ず、左翼と右翼の戦力差だが、今いるなかで一番強いのが龍人とアタル(三銃士)。ついでカケルとマモルなのだそうだ。力の差を平たんにすることが目的。龍人と女子三人なら右翼と戦力差はほとんどない。中央は最も重要なので別。


 三銃士に六人集、さらに十勇士と、まとめやすくしてある。これは作戦の指示を通りやすくするため、そして、左翼が最も支援しにくい場所にある。投球マシーンを設置できる場所が右翼よりになってしまうからである。一応左翼にも攻撃は届くが、ほとんど当てにならない。さらに左翼の後方には体育館と保健室がある。これらは重要な場所、左翼は絶対に落とせない。かといって、右翼の後方には撤退場所の下足室。違いはやはり、支援できるかどうか、右翼が劣勢になれば支援することが出来る。左翼は違う。


 要は、みのるがその人に重要な地点、それも自分の手の届かないようなところを任せられるか、信頼しているかの問題なのだ。一週間、毎日準備に明け暮れた仲間になら、任せられると感じたのだ。


 「頼むよ、みんな。」


 グラウンドではどうだろうか。屋上からは、地平線の方に黒い影が迫って来るのが見える。第二弾、もとい、本体の第一波が静かに迫って来ていた。

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