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第六十話 人工知能は自由意志の夢を見るか

…(゜Д゜;)!?

すみません予約投稿を一日ミスって予約してたみたいです…orz

このあほめ…(--#)

昨日二話投稿されています

最後まであほ作者でごめんなさい(ノД`)


最終話です

まさかの六十話ぴったり


惨劇を示唆する描写がありますので

苦手な方はご注意下さい

 

 

 

 自分の思考に沈んで黙り込むわたしに、マッドサイエンティストは無言で対応した。黙々と、自分の目的をこなして行く。沈黙を破ったのは、わたしの方だった。

 

 機械人形なんてものと関わり出してから、ずっと考えていたこと。

 

 「なぁ、マッドサイエンティスト。あんたは機械人形にこころがあると思うか?」

 「ぁん?」

 「機械人形と人間に違いはあるのか?」

 

 わたしには、わからない。

 

 「アイツラは本来、自由意思なんて持ってないんだ。戦うためだけの機種なんだから、人間に愛想振り撒いたり笑ったり泣いたりなんて機能必要なかったんだ。人間のことなんて、殺し方さえ知ってれば良かった」

 

 だって、わたしは機械人形とおんなじ。

 黙って命令を聞いて、敵を殺し続けてれば良かった存在なんだから。

 

 「なのに、あいつらはわたしに生きて欲しいって言うんだ。殺すための機械が、生かしたいと望むなんて、嘘だろ?あり得ない」

 

 今だって冷静に考えてる。

 ここはこの国の首都だ、吹き飛ばせば好い被害が出ると。

 首都を消せば何十万、下手すれば何百万の人間が死んで、戦争だって続けられなくなるかも知れないと。

 

 冷徹な殺戮人形らしく、そんな思考を巡らせてるんだ。

 この付近に何万の、軍と関係ない平民だっていると知ってるくせに。

 

 ここで自爆する効果を、機械的にはじき出してる。

 生きろと言われても、生きられるなんて少しも思えないんだ。

 

 「わたしが生き残れるわけないんだって、あいつらだってわかってるはずなのに」

 「ぁあ?」

 

 あいつらがどれだけ願おうと、この身体で長生きなんて無理なんだ。

 

 「なぁ、マッドサイエンティスト、わたしは、生きるべきなのか? 」

 

 与えられた命だからと、後生大事に取って置くべきなのだろうか。そうして、生かされた義理を果たすべきなのだろうか。

 義務を果たせるだけの権利なんて、持ってないのに?

 

 途方に暮れるわたしに、顔を顰めたマッドサイエンティストは素気ない言葉を返した。

 

 「俺が知るか」

 「違いない」

 

 わたしは納得して笑った。わたしが死ぬべきか生きるべきかなんて、他人に決めて貰うことじゃない。

 

 「わたしの運命は、わたしが決める」

 

 それが、ひとの、自由意志を持つ存在の義務で権利だ。

 

 けれど、

 

 「決められる運命なんて、残ってやしないけどな」

 

 わたしに自由意志など、こころなどあるのだろうか。わたしにこころがあるとかたることは、機械人形(あいつら)にこころがあったと断言するよりはるかに嘘臭い。

 

 「お前、死にたいのか?」

 

 マッドサイエンティストがわたしの方を向いて問うて来た。

 口調こそ軽かったが、どことなく、真剣な表情だった。

 

 「積極的に生きたいと思ったことがないのは、確かだな。死にたいと思ったことも、あったよ。死にたいと思って死なせて貰えるような、恵まれた立場じゃなかったから生きてるけどな。わたしの生存を決めるのは、わたしじゃなかった」

 

 わたしの命を握っていたのは、わたしが顔も知らないようなやつらだった。

 

 唐突に、マッドサイエンティストがわたしの両肩を掴んだ。

 

 「生きろ」

 

 噛んで含めるが如く、低い声で言う。

 

 「お前が決められないなら俺が決めてやる。生きろ」

 

 いつの間にか、抱き締められていた。戦場に立っていたころのわたしとは、比べものにならないほど、非力な腕。暖かくて、柔らかい、生きた腕。

 

 「お前は、今まで人間じゃなかった。でも、お前には人間になる権利がある。お前のために犠牲になったやつらのためにも、人間になれ。生きろ。俺が、幸せにしてやる」

 

 やっぱり、こいつはマッドサイエンティストなんかじゃないなと思った。なんの価値もない戦闘奴隷に、こんなことを言ってしまうなんて。

 

 「生きて、幸せに、かぁ」

 

 それは間違いなく、φ(ファイ)が、そしてθ(シータ)たちが、わたしに望んだことだった。

 

 無茶を言う。

 

 こころない願いだ。

 

 なにも知らないマッドサイエンティストならばともかく、すべてを知るかれらが口にするには、あまりにも酷で非道な願い。

 

 叶えられない願いを託されるほど、辛いことはないと言うのに。

 

 やっぱり、機械人形にこころなどないんだろうか。

 

 かちり

 

 なんの前触れもなく、唐突に、頭の中で歯車のはまる音が響いた。

 

 ああ

 

 時間だ。

 

 気の抜けたような溜息が、口からこぼれた。

 

「なぁ、マッドサイエンティスト。悪かったよ」


謝罪の言葉を口にしながら、わたしはマッドサイエンティストを抱き返した。戦争奴隷として強化された手足を失ってなお、研究を生業とする彼より強いこの力。


突然の謝罪に、マッドサイエンティストが訝しげな顔をした。


どうしても、笑いが込み上げてしまう。本当の狂人と言うのは、わたしみたいなやつを言うんだろう。


「でも、わたしはちゃんと警告したからな。判断ミスしたのはそっちだ」


多分わたしの手足もθたちも、解体されずにどこか付近にしまってあるんだろう。わたしはちゃんと、殺せ、処理しろと、言ったのに。

舌を抜けと、伝えたはずなのに。


出来るなら、自分の意思でない言葉を発する前に、もう少し、彼と、かれらと、言葉を交わして置きたかった。

叶わないし、叶わなかったけれど。


「タイムリミットだ、マッドサイエンティスト。アンドロイドはアリストテレスになれない」


かち


脳の奥で何かが動いた。


「…だって、逆らえるはずないんだ。わたしたちの頭には、そう言うデータが書き込まれてるんだから」


力ない笑みと共にこぼした言いわけめいた言葉は、はたして彼に届いただろうか。


爆発音にマッドサイエンティストが目を見張った。わたしはその身体を固く抱き込んで、


「ばいばい」


意識が吹き飛ぶのと、身体が吹き飛ぶの、どちらが先かはわからなかった。


仕方ないのだ。本来もう少し使っても良かった機械人形を廃棄処分にしたのは、効果もわからない自爆テロなんて上が計画したのは、無垢なかれらをわたしが汚したからだ。上層部はわたしを許さない。


 最後に命令に逆らったかれらと、最後まで命令に逆らわなかったわたし、果たしてどちらに自由意志が、こころがあったと言えるだろうか。それとも戦争奴隷にも機械人形にも、自由意志など存在しないんだろうか。

 

 わたしにはわからない。だって、わたしを守るために死んだ機械人形かれらの方が、命の恩人を巻き込んで自爆する人間ワタシなんかより、よほど人間らしいと感じてしまうんだから。

 

 

 

 その爆発は近隣数十kmを跡形もなく吹き飛ばし、蒸発させた。

 

 爆発の中心となったのは首都、それも重要な国家的研究機関が集まる一角で、首都の広範囲を失った痛手は計り知れなかった。

 突然の爆発の上現場も痕跡も跡形なく消え去ってしまったため、爆発の原因はわからず、実験ミス、敵国のテロ、内部闘争などさまざまな仮説が飛び交った。

 

 大勢の研究者、技術者の死亡がのちに報道されたが、その施設に保護されていたあるひとりの戦争奴隷と、そこにあったはずの多くの壊れた機械人形についての記録は、どこにも残されることがなかった。

 

 この爆発による損害のために国は戦争継続を諦め、敵国に無条件降伏、長く続いた戦争に終止符が打たれた。後世の歴史研究家の中には、この爆発のお陰で戦争の損害がかなり抑えられたのだと語る者もいると言う。





無事完結出来ました

後味の良いラストにならなくて

本当に申し訳ありません…orz

最後まで付き合ってやったのにふざけんな!と言う苦情には

全力で謝罪させて頂きます

ごめんなさいm(__)m


最初からこのラストに向けて突き進んでいました

ハッピーエンドにならないどころの話じゃなかった…orz


読んで下さる方の納得の行くお話に出来た自信は皆無ですが

この重苦しいお話を最後まで書き上げられたのは

アクセスして下さる方々のおかげです

拙いお話にお付き合い下さりありがとうございましたm(__)m


明日小話を投稿予定ですので

そちらも読んで頂けると嬉しいです

閑話以上に本編と関係のない内容です

ほのぼの(?)です

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― 新着の感想 ―
[一言] 頭のネジが外れた国に支配されるなんて未来は暗いですね……。
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