第二十二話 いのちの代償 1 (a視点/三人称視点)
途中でaから初登場キャラの三人称への視点切り替えがあります
戦闘描写です
苦手な方はご注意下さい
途中で話が切れています
切りよく読みたい方は
「いのちの代償1~3」まで更新されてから読むことをお勧めします
わたしたちは、ミミズクの警告を無駄にした。そう言う、ことなんだと、思う。
視界が揺らぐほどの熱気。あちこちで響く爆音。うずくまり、動く様子のない仲間たち。
目の前に倒れるのは、身体の背中側半分が消滅したφ。
対するわたしには、一切の怪我がない。
呆けて膝を突いたまま、茫然とφを見つめる。
「ふぁ…い…?」
「ァト…」
機械の目が、わたしを捉える。
壊れかけた身体でぎこちなく、笑みを浮かべた。
唇から漏れた声は、ノイズで酷く掠れていた。
「ッナタガ…ブジデ…ヨカ…タ」
「ふぁい…、なんで…」
「…a、アイ、シテ…イマス…」
崩壊しかけた身体で這い進み、ぼろぼろの腕で、わたしの頬を撫でた。
まるで、いつかの、フクロウみたいな…。
ずり落ちる手を掴んで握る。機械は、握られた手を見て笑みを深めた。
雑音だらけの聞き取りにくい声が、ひび割れた言葉を紡ぐ。
「ホン…ト、ハ…アナタト…モット…ズット…イッ、ショ…ニ…」
生キタカッタ。
最後の一言が耳に入らぬまま、わたしの意識はそこで途切れた。
φが最後まで言い切れたのか、その前に活動停止したのか、それすら、わからない。
作戦失敗、エルゲブルグ壊滅、兵・住人ともに生存者なし。敵兵は過半数が生存、すでに露営地の設営を開始している。
その知らせに参謀補佐のエームは視界が真っ白に染まったような気分を覚えた。
エームの上司である参謀のガイスラーが多くの反対を押し切って強行した、街ひとつを囮にした作戦。肉を切らせて骨を断つはずだった作戦が、全く意味を為さなかった?そんな、馬鹿な。
「…詳細は。衛星映像があるはずだろう。持って来い」
報告に来た部下に命じて、頭を抱える。
失敗してはいけない作戦だった。何かひとつでも功績を示せなければ、ガイスラーの首が飛び、ガイスラー派に分けられるエームの出世の道も閉ざされるだろう。
見せられた映像に、ほぞを噛む。
半ばまで敵は策にはまっていた。だと言うのに、突然立て直して街から離脱。あまつ、念のためと潜ませておいた飛行兵対策の伏兵を、狙って殲滅したのだ。
「…頭の切れる指揮官がいた、と言うことか?」
指示を出しているのは誰かと再度映像を見直すが、どうやら数十名の兵が同時に命令を出しており、指揮官が特定出来ない。
「っち、何か他に…」
目を皿にして映像を眺める。
ふと、何かが引っ掛かって目を留める。
「…なんだ?」
気になった箇所を再度よく見直すが、負傷でもしたか動けなくなった兵が爆風を防御するだけだ。
「クソヤロウ。機械人形だか機械化兵だか知らねぇが、バケモンどもが…」
悪態を吐いて映像を進めようとして、はっと気付く。
「待てよ?爆風を防御出来るなら、なんでコイツは動けなくなっているんだ?」
目を凝らしても兵に負傷は見られない。映像を戻しても、この兵の負傷は確認出来なかった。何か攻撃を受けたわけでもなく、突然動けなくなっているのだ。しかも、
「復活、した…?」
赤毛の長髪が近付いて何か渡したあと、暫くすると動けなかったはずの兵が起き上がり、危なげなく飛行して離脱したのだ。
「なぜだ?一体、何が…」
他の兵も同じような奴が居ないかと着目して映像を見直せば、他にも理由が見当たらないまま動けなくなった兵がおり、更にその殆どが赤毛の手で何かを渡されて復活していた。
もしやと思って赤毛の行動を追えば、率先して命令を出しながら動けなくなった兵を助けていた。
「こいつが指揮官か?だが、兵はなぜ…。おい、この兵が何を命令してるかすぐに解析しろ」
解析結果を手にしたエームは思わず笑んでいた。
これは、確実に、功績として認められる。
「冷却液、ね。奴らの弱点は、オーバーヒートか」
恐らく奴らの防御装置は、弾丸や爆風は防げても熱は遮断できないのだ。だから熱風にやられてオーバーヒートを起こし、動けなくなった。
こんな弱点を、利用しない手はない。
エームは立ち上がり、新たな作戦を提案すべく親愛なる参謀の元へ歩みを進めた。
拙いお話をお読み頂きありがとうございます
明日、引き続きエーム視点の「いのちの代償 2」を
明後日、a視点に戻った「いのちの代償 3」を更新予定で
「いのちの代償」は三話で完結の予定です
続きも読んで頂けると嬉しいです




