第漆話 犬の友達
ウソ予告ゴメンなさい。
『……最近どうですか?、ポチさん?』
『おぅ、ボウズのお陰で主人が病院連れてってくれてなぁ、すっかり良くなったぜ!』
『よかった~。まったく、ポチさんは元気だけが取り柄なんですから、具合が悪いときはちゃんとそう言うアピールをしなきゃダメですよ?』
『バーロ!、ボウズの癖に生意気だぞ!。……まっ、ありがとよ。』
俺は近所に住んでいる柴犬のポチさんと喋っていた。
ポチさんはスゴい元気なんだけど元気過ぎるからちょっと元気が無いくらいじゃ誰も体調が悪いなんて思わない。
俺は散歩中にたまたまポチさんと会って、ポチさんがお腹が痛いと言っていたので俺は一度家に帰って人の姿に戻った後、ポチさんの飼い主に病院に行くように勧めた。
そして結果はやっぱり病気であった、獣医の沢村先生は、
「早く見つかって良かったよ。」
と言っていた。
そんな事をポチさんと喋っていると背後から、
「……あら?、宮原さんのワンちゃんじゃない!、一人でお散歩?」
と言う声がした、俺がふりかえるとそこには近くに住む大学生の宮野愛が立っていた。
……実は俺は近所では一人でお散歩出来る偉いワンちゃん、として有名なんだ。
宮野さんはエリーゼと言う名前の大きな雌の犬を飼っている。しかもこのルナさん、どうやら俺の事が好きらしくて……。
『こんにちは、陸くん。』
うわっ、スゲェ顔を近づけて来たよ!?
『あっ、はい!?、コンチハ……。』
そこで俺はエリーゼさんにオドオドしながら言った、するとルナさんはクスッ、と笑うと、
『君は本当に可愛いねぇ。……私ね、君が人の時からずっと好きだったんだよ?』
と言いながら顔を俺にすりよせてきた。
――ああぁ……、いい臭い、ヤバイこれフェロモンってやつ?、スゲェお尻嗅ぎたい!、嗅ぎたい嗅ぎたい嗅ぎたい嗅ぎたい……って、ダメだっ!
『俺には心に決めた流菜って言う女の子がいるんですっ!』
俺はエリーゼさんにそう言うと一目散に駆け出して行った。
俺が居なくなった後エリーゼさんは、
『……あららら、もう少しで落とせるかと思ったのに……、残念。』
と言い、それを見ていたポチさんは、
『まったく、お前と言う雌は……。』
と言って溜め息をついた。
ちなみにその様子を終始見ていた宮野愛はキョトンとしながらエリーゼに向かって、
「エリーゼ?、あの子になんか言ったの?」
と言った。