第弐話 陸、俺の日常
――「あー、天国、天国……。」
そう言いながら兄は俺の腹毛をモフモフしてくる、俺はついつい気持ちよくて身を預けてしまう。
俺の名前は宮原陸、今年の春、高校生になった、俺は体質なのかニホンオオカミになっちまう、それに慣れてないからなかなか戻れない。
俺のこの体質を知っているのは空兄さん、真夏姉ちゃん、三郎父さん、加代子母さん、沢村先生(この人は獣医師で俺のことを診察してくれる)、それからひょんなことから変身した俺を見た親友の広瀬翔輝の6人だ。
兄は触り心地がいいのかあいかわらず俺の腹毛をモフモフしながら、
「しかしお前獣臭くね?」
と言ってきた、俺はそっけなく、
「ほっとけ……。」
と言う。それは学校とかで『お前獣臭くね?』とか言われて気にしてんだよ!
兄はハ八ッ、と笑うと、
「あ、気にしてたか、ゴメンゴメン。」
と言った。と、その時1階から
「ご飯よ~。」
という母親の声がした。
――「どう?、美味しい?」
母さんが飯食ってる俺に聞いてきた、俺は、
「ん?、美味いよ。」
という、母さんはニコニコしながら、
「そう、良かった。」
と言った、母さんはもう40歳のはずなのに20歳くらいにしか見えない、父さんは俺と同じ質問をされて、
「ああ……。」
といった。
母さん、父さん、2人ともなんか訳のわからない俺みたいなのを本当の家族として育ててくれた、俺にとってかけがえの無い存在なんだ。
――「ウィー、ヒック、るぅいぃくぅ~。」
そういいながら食後に俺に抱きついてきたのは俺の姉、真夏だ、……ってゆーか姉ちゃん胸がァ!
く、苦しい、姉ちゃんの息が超酒臭い、酔ってるよ……。
この人は……。
姉は、
「んふふ~。きゃんわいいねぇ~、陸タンはぁ、今日お風呂はいって、一緒に寝ちゃう?」
と二ヘラと笑いながら言った、それを見た兄は苦笑しながら
「おいおい……、そんな事したら陸が夜まで狼になっちまうよ、で食われてまうぞ、姉貴。」
と言った、姉は、
「キャ~、こんわぁぃいぃ~。」
と言って俺の事を離した、それから、
「ビール、注水!」
と言いながらまたビールを飲んでいた。
風呂に入る、ただ狼の体では自力で体を洗うことが出来ないので兄に洗ってもらう。
俺はこの姿では浴槽に大量の毛が残るので俺専用のタライにお湯をいれて入る。
頭の上にタオルをのせ「極楽極楽~。」と言いながら風呂に入っていた俺を見た兄は俺の写真をとりながら「風呂好きなわんことか……。」と言って笑った。
風呂から上がったあと兄は、
「さっきの写真ブログに出して良いか?、かわいいからさ~。」
ときいてきた、まあ人の姿じゃないしいいかってことで俺はOKした。
しかし俺はこの決断が間違っていたことを学校に行った時、俺は知るのだった……。
改定しました。