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くすぐり調教

その夜、高岡春海はある建物の前に来ていた。

普段なら、この時間帯は学校の宿題をやっているのだが、一時間ほど前春海に一通のメールが届いたのだ。その内容は、

『今日の八時ちょうどに×××の×××××に学校の夏服を着て、ひとりで来い。』

というものだった。もちろん、春海はこんな訳のわからない怪しいメールは無視するつもりだった。が、そのメールの一番最後にこんな内容も付け加えられていた。

『なお、無視したならばこの画像をネットにばらまく。』

春海は画像を開いてみると驚愕した。自分のスカートの中を盗撮したであろう画像が何枚もあったのである。そこには白をベースとした水玉模様のものや薄いピンク色のものなどが写っていた。

「何これ!?こんなのいつのまに、これなんて昨日はいてたやつだよ。

(こんなのネットに流されたら、外歩けなくなっちゃうよ。)

春海は少し怖かったが、自分のパンツを世界に晒されたくないという気持ちの方が勝り、今に至るのである。

そこは、何の変徹もない普通の家だった。

「本当にここでいいのかなぁ?見たところ、怪しい場所もないようだし。少しここの家の人に聞いてみよう。」

そう言って、春海が家のドアノブに手をかけたとき、何者かが春海の後ろから口を塞ぎ、春海は意識を失った。








「う、うーん」

「ようやくお目覚めね。高岡春海さん?」

上の方から、聞いたことのある声が春海の耳に届いた。春海が目を開くとそこにいたのは、2年2組の榊原恭子だった。

「榊原さん!?どうしてあなたがいるの!?」

「どうしてって言われても、私があなたを呼んだからとしか言いようがないのだけれど。それより、自分の今の状態を確認したら?」

そう言われて春海は気づいた。自分は今台の上にX字で磔にされていたのだ。その拘束は頑丈でいくら春海が力をいれても少しも体を動かすことができなかった。

「さ、榊原さん!何でこんなことするの!?あとで、どうなっても知らあははははははははは、ちょ、や、やめて、く、くすぐったいよ〜きゃはははははははははははは。」榊原はいきなり春海の脇の下をくすぐり、その言葉をさえぎった。そして、くすぐりをやめ春海にニッコリと笑いこう言った。

「あなた、並木君のことが好きなんでしょ?」

春海はいきなり図星を突かれて顔を真っ赤にした。

並木君。本名、並木雄二。春海と同じ2年4組で顔はいわゆるイケメン、性格はとても優しく、成績優秀、運動神経抜群という学校で女子に一番人気のある男子である。その裏表のない性格ゆえ、男子からも厚い信頼を受けており友達もたくさんいる、つまるところ学校の人気者である。春海も並木雄二に好意を抱いている女子の一人であり、その思いは伝えられぬまま1年と数ヶ月が経っていた。

「実はね、私も並木君のことが大好きなの。あなたの何倍も何倍もなーん倍もね。」

そう言って、恭子は春海を睨む。春海はその視線にビクッと怯えた。もともと、春海は気の強い方ではなかったが視線だけでは普通ここまでは怯えない。春海のその反応が恭子の内に宿る春海に対する強い恨みを物語っていた。

「それなのに!!何で!?並木君はあなたのことが好きなのよ!!!!!!意味わかんない!!」

春海はその言葉にドキンとした。

(え、え?な、並木君て、わ、わ、私のこと好きだったの!?え、え〜〜〜!!!!!!!!!!)

これなら、告白しておくんだったと後悔する春海だった。

「ほ、本当に並木君は私のことが好きなの!?」

春海はこのことを聞いた瞬間、しまったと思った。こんなことを聞いては、相手の恨みの炎に油を注ぐだけだ。案の定、恭子はその質問を聞いた瞬間、ますます殺気を膨らませた。

「本当よ。並木君はあなたのことが好き。何度も言わせないで。」

とても強い怒気を含んだ言葉に春海はまた縮み上がった。

「なんで、なんで、なんで、なんで、なんで!!!!!!!!私はこんなにきれいなのに!!学校でも優しくて美人で成績優秀で通っているのに!!なんで、私じゃなくてこんな娘なの!?」

確かに、恭子は美人だ。しかも、学校で1、2を争うくらいに。春海は本当にそう思っている。並木君が恭子よりこんな私を好きだなんて正直、今でも実感がわかない。しかし、恭子の怒り狂いッぷりからすると本当に私のことが好きなのだろうと思う。恭子の気持ちも少し分かる気がする。好きな人を他の人にとられるという気持ちは。ここまでするかは別として…

「さ、榊原さん。ご、ごめんね?大好きな並木君を奪っちゃうようなことして。で、でも!私も並木君が大好きなの!榊原さんと同じ位、本当に大好きなの!!榊原さんの気持ちも分かるよ。私だって、並木君が他の人と付き合ったら悲しいもの。だけど、こんなことするのは間違ってるよ。こんなのただの憂さ晴らしだよ。何にも解決にならない。だから、お願い!この拘束を解いて。今ならまだ、誰にも言わないから。」

春海にしては、とても勇気を振り絞った言葉だった。普段なら、ここまで熱意のある言葉は恥ずかしくて言えない。ここまで言えたのは、恭子に対する申し訳なさと並木君が自分のことが好き、ということを知った高揚感からだった。春海は恭子の様子をうかがった。恭子の表情は俯いていて、見えないが何かぶつぶつと呟いている。

「さ、榊原さん?」

春海は恐る恐る声をかけた。その時、恭子はいきなり顔を上げた。その表情は、先ほどまでの怒気を含んだものではなくとても穏やかなものだった。それを見て、春海は安心した。

(よ、よかった〜。榊原さん、怒ってなかった。)

先ほどの思いが伝わらない可能性も考えていた春海だったが、この分なら大丈夫だろうと安心した。

「あっ、そ、そうだ!榊原さん!あの、私のぱ、ぱ、ぱ、ぱぱんちら写真も消して!あれも、誰にも言わな」

突然、恭子が春海の顔に近づき、言葉を遮った。顔と顔の距離は数センチ。恭子の息が顔に当たる。その顔はにこにこと笑っていた。そう、にこにこにこにこと笑っていた。春海はその笑顔に恐怖を覚えた。その笑顔は何かイタズラを思いついた時の子供のものだったからだ。

「さ、榊原さん?ど、どうしひゃうっ!」

恭子の指が春海の首筋を撫でた。

「高岡さん?並木君はね、あなたの可愛らしい所が好きっていってたの。」

「さ、榊原さん、いきなりなに言って…」

「あなたの顔は本当に可愛いわ。裏で密かに噂されるだけあってね。それは私も認めてあげる。並木君があなたの顔を可愛いと言うのも仕方がないと思うの。だって、本当に可愛いんだもの。」

「だ、だから、何をいっているのって聞い」

「でもね。」

春海はその静かだがものすごい怒気を含んだ一言に遮られた。

「性格も可愛いって言ったのよ、並木君。あなたの顔だけじゃなく、性格すら好きって。」

恭子の言葉遣いがまた、荒くなっていくのが分かった。

「何で!?性格まで好きだったら、この女の全てが好きって言ってる様なものじゃない!!!!何で私じゃないの!?何でこの女なの!?」

春海はだんだん怖くなってきた。このままだと、殺されてしまうのでは?と思うくらいに。それくらい、恭子は狂気に満ちていた。今も私に対する憎悪の言葉を叫んでいる。春海は必死に拘束を解こうとしたが、手首、足首を拘束している計4つの拘束具はぴくりとも動かない。唯一、拘束されていない腰らへんは動かせるがあまり意味がない。そうこうしている間に恭子は我に返り、春海の様子を見ていた。

「無駄よ、春海さん。その拘束具はそんなことじゃ、軋ませることですらできないわ。」

春海は自分の行為が無駄だと理解すると、暴れるのをやめた。

「さっきの続きなんだけど、私も考えたの。顔は仕方がない、じゃああなたの何を変えればいいのかを。」

そして、恭子はにやりと笑うと言った。

「そして気づいたの、あなたの性格を変えさせればいいんだって。」

春海は意味がわからなかった。性格を変える?そんなことが可能なのか?まあ、性格を変えれば少なくとも並木君の私への興味を多少薄めさせることは可能だろう。しかし、性格なんてものはなかなか変わるものではないし、春海自身ここ数年の間に自分の性格が変わったという自覚はない。逆に考えると性格が変わるほどの衝撃を今、春海に加えようとしているのである。春海は恭子に恐る恐る聞いた。

「さ、榊原さん、いったいなにするつもりなの?」

恭子はその質問にただ一言答えた。

「拷問。」

春海は絶句した。

「ご、拷問!?そんなの日本では禁止になってるよ!?捕まりたいの!?」

「うるさいわよ。そもそも、ばれなきゃ捕まらないわ。」

ばれない自信でもあるのだろうか、恭子は春海の言葉に耳を傾けない。

このままではまずいと、春海は恭子を脅しにかかる。

「さ、榊原さん、まさか、わ、私が解放された後、だ、黙ってると思ってるの?け、警察にこのこと話しちゃうからね!!」

けれども、恭子はその言葉を鼻で笑って返した。 「ふふっ、春海さんにしては頑張ったんじゃない?おどおどしている様子が可愛かったわ。」

その馬鹿にした言い方がついに春海を怒らせた。「ほ、本当に警察に言うよ!!もう謝っても許さないんだから!!」

それでも恭子態度を崩さない。

「さっきから警察、警察うるさいわね。もう始めていいかしら?拷問。あと、言葉には気を付けるべきね。あなたは拷問を受ける側で私は拷問をする側なのだから。言ってる意味分かるわよね?」 怒りで忘れていたが私は今から拷問を受けるのだった。春海は不意に怖くなってきた。拷問というといろんなものを思い浮かべる。爪はぎ、水責め、電気責め、三角木馬などどれも恐ろしいものである。そして、X字で拘束され寝かされているという状況を考えると、水責めか爪はぎかもしれないという推測が頭のなかをよぎった。いや、さっき少し見た部屋の様子を見ると電気責めかもしれない。部屋のなかは、よく分からない機械で埋め尽くされていたのだ。

(ど、どうしよう〜、このままだと本当にヤバいよ。何でこんな目にあってるのわたし。)

拷問のことを考えているうちに恐怖が蘇りいつもの気弱な春海に戻ってしまった。

「さ、榊原さん。」

「なに?春海さん。」

「さっきのこと警察に絶対に言わないから許して!!」

恭子は不思議そうな顔をする。

「さっきのことってなに?言っておくけど、拷問はするわよ。もともと、あなたの性格を変えるのが目的なんですもん。並木君があなたを嫌いになるようにね。」

ふふっ、と恭子は笑い、ポケットからアイマスクを取り出し春海に着けた。

視界を奪われたことにより、いつ、どの場所に、何をされるか分からない恐怖が春海を襲った。

「お、お願いだから、拷問はやめ」

パァンという音が部屋中に響いた。恭子が春海の頬を叩いたのだ。

「いい加減、うるさい。」

その冷酷な行為と言葉で春海は悟った。わたしは逃げられないのだと。拷問を受けるしかないのだと。そして、春海は決意した。なら、屈することはしない!絶対にわたしは変わらない!そして、解放されたら並木君に告白しにいくんだ!!その思いを胸に春海は恭子に向かって叫ぶ。

「どんな拷問でも私は耐えてみせる!絶対に耐えてみせる!来るなら来てよ、榊原さん。私はあなたに絶対に屈しない!!!!」

春海は人生で初めてこれほど叫んだ。とても清々しい気持ちになった。今なら、どんな拷問でも耐えられるような気がする。

「ふ、ふふ、ふふふふふ、アーハッハッハ!!そうこなくっちゃ、春海さん!そうでないと調教のしがいがないと言うものよ。じゃあ、早速始めましょうか。高岡春海調教拷問を!!」

春海は見えない視界の中でどこに痛みが走ってもいいように全神経を尖らせた。

(アイロンによる熱、切りつけ攻撃、針で刺してくる、どれが来ても耐えてみせる!来るなら来なさい!榊原恭子!)

春海は心の中でそう叫ぶとまた神経を尖らせた。 春海が構えて数秒後、その時だった!

「!?や、あははははははははは、ちょ、な、なにするの、いひはははははははははははははは、く、くすぐったい、あーはっはっはっはっは」

構えていた感覚と全然違う感覚が春海を襲った。恭子は春海の脇の下を滑らかな指使いでくすぐっていた。

「どう?春海さん?くすぐりの味は?脳がとろけそうなほど気持ちいいんじゃない?」

「いひひひぁはは、ふ、ふざ、こ、なのいや〜はっはっは、き、も、ちわけ、ぃふははははははははな、いでしょ!!あーはっはっはっはっは」

春海はくすぐられて、なすすべもなく、笑い続けるしかなかった。必死に脇を閉じようとするが、拘束具がそれを許さない。恭子の指はそれでもなお、春海の脇の下をくすぐり続ける。

「あーはっはっはっはっは、お、おかしくなる〜はっはっはっはっはっは」

「気持ちよくない?おかしいなぁ?」

恭子はわざとらしく疑問系で話している。そして、春海の脇の下をくすぐるのを止めた。

「はぁはぁはぁはぁ…」 春海は息も絶え絶えになっていた。春海は最初、どんな拷問でも耐えられると思っていた。それくらいの覚悟もあった。しかし、『くすぐり』というのはまったく予想外の拷問だった。春海はくすぐりが大の苦手だ。春海が小学生の頃、一度女子の間でくすぐりが流行ったことがあった。主に集団で一人の女の子をくすぐり地獄に遭わせるというものなのだが、気の弱かった春海は休み時間に何度も標的にされ、そのたびに気絶寸前まで笑わされたのを今でも覚えている。なので、くすぐりに関しては悪い思いでしかなかった。そのくすぐりが今まさに行われようとしているのだ。痛い拷問よりはましだろうと思う人が大半だと思うが、春海にとっては『くすぐり』というものは痛みと同等、もしくはそれ以上に嫌なものなのだった。そして、春海は17歳の女の子。昔よりいろんな部位が成長して敏感になっていた。その状態で受けるくすぐりは、脇の下だけでも想像以上のくすぐったさで春海は耐えきる自信が無くなってきていた。

「榊原さん!くすぐりだけはやめて!ほ、ホントに無理なの!」

それを聞いて恭子はにやりと笑った。

「ふーん、本当に苦しそうね。なら、好都合だわ。あなたの体を無駄なく、まんべんに、気持ちよくなるくらいにくすぐってあげる!!」

その言葉を聞いて、春海は絶望に突き落とされた。

「だ、だ、誰か助けて!!ここから出して〜!!お願い!誰か来てよ〜!!」

気がつけば春海は叫んでいた。意味もないのにまた拘束具を外そうと、体を必死に動かす。それを見て恭子は笑った。

「無様ね、春海さん。あと、分かっていると思うけど叫んでも誰も来ないわよ?ここはさっきの建物の地下八階なの。それにあなた一人暮らしで明日から夏休み、講習もない。両親は他界していて、兄弟もいない。やった!夏休み中、くすぐり放題だ♪」

それを聞いて、春海は泣きそうになった。

「な、夏休み中!?そ、そんなにくすぐられたら私死んじゃうよ!」

「だーいじょうぶよ。人間、くすぐられただけじゃ死なないから。それに休息もとるしご飯もあげるわ。」

そして、恭子は春海のアイマスクをとった。

「春海さん、じゃあそろそろ本番いくわね?」

「ほ、本番て?」

「まあ見てて、すごいから。」

そう言うと、恭子は少し離れたところにある台に近づき、なにか操作をしている。すると、今まで春海が拘束されていた台の下からマジックハンドが出てきたのだ。その数、計6本。その全てが指をクネクネと動かし、段々と春海に近付いてきた。

「いや〜!こ、来ないで〜!!」

「それじゃあ、いっちゃえくすぐり君1号♪」

その言葉を合図に6本のマジックハンドが春海の脇の下、脇腹、足の裏をくすぐり始めた。

「あははははははははは、ぃあはははは〜ははははははだ、だめ!む、むり〜ぃいひひひひはははははは」

マジックハンドは常に一定の動きではなく、時折突っついたりくすぐる位置を微妙に変えたりして春海にくすぐりを慣れさせなかった。そして、その指使いはというと恭子以上の滑らかさで、今までくすぐられた中で一番のくすぐったさだった。 「どう?春海さん?私が開発したくすぐり君1号は?まだまだたくさん特技があるんだけど今日は、手始めにこの基本的なくすぐりだけにしてあげるわ。」

「いや〜はっはっはははははははぅお、おかしくなる〜くっくくひぃひゃははははははははは、と、と、くふっふふ、止めて〜ぃいひひひひひひひひあははははははははは」

脇の下、脇腹、足の裏の3ヶ所を弄ばれても、動くことのできない春海はただ笑い続けるしかなかった。

そのあと春海は30分間ノンストップでマジックハンドにくすぐられ続けたのであった。

そして、この日を境に春海は榊原恭子によってくすぐられる毎日を送ることになった。

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