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俺を変えた彼女の名は

作者: 冷崎
掲載日:2026/11/07

ある肌寒い朝だった。


「ん〜。寒い.....」

俺は布団の中に潜る。外の冷たい空気から身を守るためだ。

季節は春。少し肌寒く感じる時期だ。


ピピピピ!


ピピピピ!


ケータイに設定されたアラームが部屋中に鳴り響く。そこには7時と書かれている。

俺は布団の外に手を出すのを躊躇いながらゆっくりと手を布団から出す。


手探りでケータイの位置を探し、触れた瞬間掴む。

布団の中に引きずり込み、停止ボタンを押す。


「グ〜、グ〜.....」


停止ボタンを押した瞬間再度眠りについてしまった。

俺は夢を見た。


一人の女子と楽しく毎日を過ごしている夢。

常、日頃からぼっちの彼には無縁の世界。


(ああ、これ夢か。)


すぐさまこれが夢だと悟る。こんな世界、あり得るはずがないと思ったからだ。

女子振り返り、俺に向けてを伸ばしてきた。

その手を掴もうとした瞬間大きな音で俺は目を覚ました。


バンッ!!


カチッ


「眩しっ...」


目の前が真っ白になった。


「お兄ちゃん!もう朝だよ!早くしないと入学式遅れるよ!!」


(ああ、もう朝か。)


俺の妹が俺の部屋の電気を付けたのだ。

親に頼まれたのか、ものすごい勢いで扉を開け、すぐさま電気をつけた。


手に持っていたケータイを覗き込む。そこには7時45分と書かれていた。

夢というのは不思議なものだ。

夢を見ていたのは感覚的には数分のはずなのに、実際には数十分も経っている。


俺は渋々、布団の中から体を出す。ベッドから降り、妹が立っている扉へ向かう。


「燐(りん)おはよ。」


「はいはい、早く準備して!キビキビ歩く!」


燐は俺の背中を押し、早く歩くよう急かす。

彼女は北村燐(きたむらりん)、俺の妹だ。

そして、俺の名前は北村真(きたむらまこと)。

常にボッチ、クラスメイトと話すのは必要なときだけ、学校が終わったら即帰宅の陰キャ三大原則を持つ男だ。


真はリビングへと向かうそこには母親の姿があった。


「あら、ねぼすけさん。おはよう。」


「はよ....」


真は頭を掻きながらキッチンへと向かう。

真は冷蔵庫を開け、中から納豆と卵、それから米を炊飯器の中からよそった。


それらを持ち、テーブルに着く。納豆に醤油を入れ、かき混ぜる。米の上に乗っけ、卵を上から落とす。

それらを茶碗の中でかき混ぜ、口に運ぶ。


(あ~、うめぇ〜)


シンプルながら究極の食べ物である。


「真、早く食べちゃいなさい。遅刻するよ。」


「はいはい。」


真は食べ物を口いっぱいに詰め込む。

数分も経たないうちに食べ終わった。


「ごちそうさん。」


真は食器をシンクの中に入れ、部屋に戻る。

タンスの中から白シャツを取り出し、壁に掛かっている青い制服を身に纏う。

首元にネクタイを付け、地面に落ちているカバンを拾う。

真は洗面台へ向かうそこで一通り支度を済ませる。


(そう言えば今日はあの漫画の発売日だったな。帰りに買ってこよう。)


そう思いつつ、玄関で靴を履く。ちなみに燐は先に学校へと向かった。

朝早くから元気なもんだ。


「行ってきまーす。」


真は扉を開け、学校へと向かう。周囲には色んな人が歩いている。

会社員や主婦、散歩中のおじいちゃん、おばあちゃんまで。

その人達とすれ違い、真は学校へと向かう。

家から学校まで徒歩15分。そこまで距離はない。

真が曲がり角を曲がるとそこにはどでかい校舎が建っていた。


(は〜....今日からまた学校が始まるのか。嫌だなぁ。もう帰って寝たい。)


憂鬱な毎日が始まる。


真は誰とも顔を合わせる事無く、事前に受け取ったクラス案内をケータイで確認する。

そこには自分のクラスと出席番号が書かれている。


(2組か。)


真はクラスへ向かう。校舎に入り、教室を探す。


(あそこか。)


扉をスライドさせる。


ガラガラ


すでに大半の生徒がクラスに集まっている感じだ。

本を読む生徒、大人数で話す男子達や女子達、ボケ〜と窓の外を眺める生徒までいる。


ざわざわ


話し声が教室中に響いている。


机には番号が振り分けられていた。

番号に規則性がある。これは出席番号順と見ていいだろう。真の番号は7番だ。

窓際の席だった。教壇から見て一番うしろの右側。


だがそこには女子達がたむろしていた。


(めんどくせぇな。)


話しかけたくないという思いが勝ってしまう。

そう思いながら立っていると、一人の女子が気づいた。


すると突然思いついたように他の女子達に何かを伝えた。


ゴニョゴニョ。


女子達が席から退いてくれた。

よかった。


先ほど俺の事に気づいた女子が振り返り、俺の方に手を合わせて軽くお辞儀をしてきた。

そしてすぐさま戻っていった。


(今年もクラスメイトとは縁がないんだろうな。そう言えば今の子どっかで見たような.....気のせいか。)


真はケータイを取り出し、ゲームをやり始めた。


10分後


先生らしき人が教室に入ってた。


「皆さんおはようございます。早速入学式のため、体育館に集まって下っさい。以上です、ではまた後で。」


言いたいことを言って去っていった。


(なんかやる気の無さそうな先生だったな。まぁ、体育館向かうか。)


クラスメイトは次々と教室から出ていっているのでそれについて行く。

一年の教室は校舎の一階の為、すぐにたどり着いた。


体育館の中には膨大な量の椅子が並べられている。

椅子には番号が振り分けられている。


(ま〜た出席番号順か。)


二組の列に向かい自分の席につく。

自分の足元を見てボケ~としている。


すると自分の視界が影に覆われた。

誰だ?と思い顔を上げるとそこには先程の女子がいた。

髪の毛は茶髪に金髪が混ざっている。顔は美人というより、可愛いの方が似合う。

髪は短いポニーテールだ。


「あ、さっきの子じゃん!ごめんね!さっき席塞いでたよね。」


「あ、いいえ、全然大丈夫です。」


「てか名前何!教えて!」


(なんでこんなにグイグイ来るんだ。)


「き、北村。」


「北村くん?そっか、私白川紬(しらかわつむぎ)!よろしくね、北村くん。」


「よろしくお願いします。」


「てかそんなにかしこまらなくても良いのに。一年間席隣なんだから仲良くしようよ!」


この学校では席は基本的に固定だ。出席番号順になっている。俺が7番で、彼女がは8番らしい。


(テンションたけーな....、体力消費したくないのに....)


真はあまり人と話しておらず、人と話すだけで体力を消費する。


(まあ、ある程度人付き合いはしとくか。)


「うん、まあ、じゃあよろしく。」


「うん!」


そして入学式が始まった。

流れとしては国歌を歌い、校長先生の挨拶を聞き、今年の教師陣の紹介に入る。その他諸々あったが、割愛しよう。


そして入学式終盤に掛かった時。


(やばい、眠い....頭が鉛のように重い.....)


頭がグラグラと揺れている。

絶対寝まいと耐えてみるが我慢できず寝てしまった。


その様子に紬が気づいた。


「北村くん?」


返事はない。


「ツンツン。」


ほっぺたを突いてみる。

起きない。


真の体が紬の方に倒れる。


(ヒャッ!)


真の頭が紬の方に乗るように倒れてしまった。突然の出来事に紬はパニックになっている。


(ど、どうしよう!これ起こしたほうが良いかな?)


「き、北村くーん....」


小声で呼びかけるが、全く起きる気配がない。

だが丁度、来賓紹介が終わり終盤に取り掛かってきた。

先生がマイクを受け取り話そうとした瞬間。


キーン!!!


スピーカーから耳を割くような音がなった。

その音で真は瞬時に目を覚ました。起きた瞬間、真の頭が紬の肩から離れた。


「うぇ?何の音?.......」


少し寝ぼけているようだ。

紬は平常心を保とうと先生の話を聞こうとする。


(は〜、焦った〜。北村くん心臓に悪いよ!全く。)


紬の心臓は激しく鳴っていた。耳が少し赤く染まっている。

真は今ので完全に目が冷めたのか、元の体制に戻った。




それから数分後入学式が終わり、各自自分のクラスに戻ることになった。


(早く家帰って寝よっと。)


そう思いながら真はクラスへと戻る。


「北村くん。」


名前を呼ばれて振り向いた。そこには紬がいた。


「白川さん。どうしたの?」


「あの〜さっきのことなんだけど...」


紬の耳が赤くなっている。


だが真はその事に気づかない。何の事を言っているのかも分からない。


「何の事?」


「え?」

(もしかして寝ぼけて気づいてなかった?)


「あ、いや、分からないなら良いや。うん!なんでも無い!早く教室戻ろう!」


「は、はぁ.....」

(なんでこんなに絡んでくるんだ?)


高校で初めての話し相手ができた真。

真は口から笑みを零していた。

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