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嫉妬させたい、ねぇ……?

作者: 猫宮蒼
掲載日:2026/09/04

 淑女の仮面なんてとっくに放り投げている。



「頼むよ、幼馴染だろ!?」


 そんな言葉と共に、とてもくだらない頼みごとをされてしまった。


 このとおりだ! とばかりに頭を下げているのは幼馴染のマイク。

 いやでも正直こんな事言いだすような奴だって思ったら、なんていうか助けてあげたくないかなぁ、というのが嘘偽りのない本音である。


 私はリーザ。マイクも私もどっちも子爵家出身の、どこにでもいるような貴族の子女だと思われる。


 最近マイクには婚約者ができて、そうなんだよかったねー、と祝福したのは記憶に新しい。


 ところがそんなマイクは、何をトチ狂ったか婚約者との交流――要するにデートに幼馴染である私を連れていきたいのだとか。馬鹿?

 勿論その馬鹿? は口に出した。

 思った事を直結で言うのは本来ならお父様やお母様に叱られるようなものだけど、でも仕方ないじゃない。

 私だって思った事を率直に口に出すのはその場の状況とか考えてやらない場合もちゃんとあるけど、今回のそれは当てはまらなかったんだもの。


 マイクはどうやら婚約者に首ったけで、惚れているのだけれど素直になれないお年頃らしく、そのせいでどうにも二人でいてもぎくしゃくした空気が漂うばかりらしい。

 そこは努力しろよ、としか言えないのだけれど、それは他人事だからそう言えるだけで、もし私も同じような状況になったら即座に実践できるかはわからない。


 気まずい空気のせいで自分から話しかけて余計に空気が重苦しくなったらどうしよう、とか思うと中々一歩踏み出せない気持ちはわかる。

 でもその逆に、こっちから歩み寄ったら向こうも同じように歩み寄ろうって思ってくれるかもしれないわけで。

 それすらできずに尻込みするのはまぁ、いいよ。

 一歩踏み出す勇気って相当だからね。


 でもそこで、婚約者の隣に他の女がいたら嫉妬してくれるかもしれない、って発想はどうなの?


 そもそも嫉妬って相手に対して相応の感情を持ってないと無理じゃない?

 どうでもいい奴がそんな事したって嫉妬されるどころかどうでもいい相手がなんか浮気やらかしてるなぁ、ってなるだけでは?

 これ幸いと縁を切る準備の方が捗ると思うんだけど。


 私はそう思ったからこそ言ったのだけど、こうと思い込んだマイクは中々譲らない。

 そんな事はない、とかその根拠はどこから?


「こ、断るっていうのなら、お前が小さい頃壊したジュエリーボックスの話、暴露するからな」

「あーはいはいわかったわかった。でもその後の結末がどうなったって責任取らないよ」


 幼馴染ってこういうとこホント面倒。


 確かに昔、私はジュエリーボックスを壊してしまった事がある。

 でもそれだってワザとじゃない。

 ただそれでも叱られるのを恐れて、そっと口を噤んだままだ。


 マイクはその件を暴露するって言いだした。


 多分今ならそこまで叱られる事はないと思ってるけど、でもなんていうか面倒だったから。


 だから私はマイクのふざけた発案に乗っかる事になってしまったのだ。



 でもさぁ、私が全面的にマイクの味方をするだなんて、一言も言ってないんだけど本当にいいのかしら?



 私だって年頃の乙女なので、流行に乗っかったりもする。

 市井で出回ってる娯楽本だって読んだりする。

 だからその中に、婚約者の男が幼馴染の女を連れまわして婚約者を蔑ろにするような話があるのを知ってるし、そんな事をやらかした奴は大体ロクでもない目に遭うってのも理解してる。

 幼馴染はこの場合大きく二つのパターンに分かれる。


 ひとつ、幼馴染の男に想いを寄せていて、婚約者よりも自分の方が彼と仲が良いのよ、と見せつけて婚約解消に持ち込ませてあわよくば自分と……と思ってるタイプ。


 ふたつ、二人の仲を散々かき回して破局寸前、もしくは破局した後で、そんなつもりじゃなかったの、という考えの足りない頭の中身がゼリービーンズみたいなタイプ。


 これとはまた違うパターンもあるにはあるけど、大きく分けてこの二つがよくあるタイプ。


 で、どっちの場合でも幼馴染の女は大体ロクな事にならない。

 男の方から頼んできた場合であっても、婚約が駄目になった時点で「お前のせいで!」「どうして教えてくれなかったんだ!」だのといやちょっと考えたらわかるだろ馬鹿が、と男にも言いたくなるような感じで八つ当たりをされて幼馴染は結局男と結ばれる事はないし、仮にお前らが責任をもって結婚しなさい、と親から言い渡されても片方に不満がある場合結婚したところで上手くはいかない。


 勿論創作と現実は違うってわかってるけど、でもこういう話がある以上、現実でも起こりうるって想定くらいするでしょうに。


 マイクがその手の本を参考にしているのなら、何故参考にしようと思ったってレベルで馬鹿だし、読んでなくてもちょっと考えたら上手くいくよりも失敗する可能性の方が高いってなりそうなものなのに。

 こんな考えの浅いお馬鹿さんで大丈夫なのかしら?


「もっかい聞くけど、嫉妬させればいいのよね?」

「あぁそうだ。頼りにしてるぞ!」


 私のその言葉に、マイクは満足そうに大きく頷いたのだった。



 ――正直当日バックレようと思ったりもしたけれど。

 再三念を押されまくったせいでドタキャンも難しくなってしまった。


 ちっ、仕方ないわね。

 直前でやっぱり馬鹿な真似はやめるよとか言い出す事も期待してたけど、馬鹿は自分が馬鹿だって気付けないものね、本当仕方ないわ。

 仕方ないからマイクが望んでるらしい、仲の良い幼馴染を演じてあげようじゃない。


 というわけで、私はマイクがデートの待ち合わせ場所に行くちょっと手前でマイクと合流した。


 二人が既に揃っている段階で割り込めとか言われたところで、その時は適当なタイミングを見計らって二人を見失ってバックレようと思ってたのにこの幼馴染マイク、こういう時だけ勘が鋭くって。

 だったら最初から一緒に行こうとなってしまったの。


 わー、すっごい迷惑~。


 ちなみに事前に両親と兄には相談したんだけど、マイクが言い出した事で巻き込まれただけっていう言質をとったりその他諸々こっちは巻き込まれただけっていう証拠を集めておけとしか言われなかった。


 まぁそうよね。最後の最後で全部私のせい、みたいにされて社交界でマイクが喚き散らかしでもしたら、私の今後に関わるもの。


 さっさとこんな泥船からは脱出したいわぁ、と思いながらも待ち合わせの場所へ行ってみれば、既に相手はそこにいた。


 エメリア・アストリア子爵令嬢じゃない!


 えっ、彼女がマイクの婚約者だったの!?


 声に出さずに驚いた私と同時に、こちらに気付いたエメリアもまたマイクの隣にいる私を見て驚いた様子だった。まぁそうでしょうね、婚約者と一緒に登場してる時点で何事って思うわよね普通。


 だというのにマイクはそんな事に気付きもしないでへらへら笑いながら――これは多分私と親しいというのを表そうという試みだと思われる――エメリアに私を紹介し始めた。


 幼馴染。


 まぁそうよね、そう言うしかないわよね。


 君ならきっと仲良くなれると思って。


 そんな風に言って、本来二人きりのデートだというのにそこに私を紛れ込ませようとしている。


 マイクの予定ではこの後、私はマイクと親しげに会話を弾ませて、その上で幼馴染ならではのエメリアが知らないだろう話題を口に出して、あぁ、貴方はわかりませんよね、と幼馴染である私が教えてあげるていを装って、相手にわからない話でもって盛り上がるという――本当に娯楽小説にありがちな破滅する女みたいな事をしないといけないって考えると今から一発マイクをぶん殴ってもいいかしらという気分だわ。


 お互いの紹介を終えて、私は空気を読まないように、エメリアもまた笑みを浮かべてはいるが困惑を隠しきれないまま、どう見たって歪な形のデートは開始されてしまったのである。



 デートって言ったってそもそも私と言う異物がいる時点でそんなものは最早デートでもなんでもない。

 正直気乗りは全くしていないけれど、でもやらなきゃやらないで後からマイクにぶちぶち言われるのも面倒すぎる。

 でもそこら辺は案外どうとでもなった。


 エメリアの知らないマイクの話。

 直接的な事は言わないで匂わせたり言葉を濁したりするだけで充分だった。


 まぁ、具体的に私とマイクが恋人のような関係になってると思われるのはとても癪だし冗談じゃないと思っているから、そんな甘ったるい雰囲気が感じられるような話はしていない。


 私が暴露しようとしたのは、マイクの幼い頃の失敗談の数々である。

 でも、こんな場面でマイクったら七歳の時までおねしょしてたんですよ~ぉ、なんて言える雰囲気でもなかったから、言葉はとても濁しに濁した。

 でもその濁した部分をマイクは察してしまった。


 幼い頃とはいえども、己の恥ずべき過去。

 そんなもんバラされてたまるか! とばかりに「はははそんな昔の話を今更」みたいにこれ以上は語ってくれるなと言外に滲ませて話を打ち切ってくる。

 人によっては気になる感じに聞こえるし、思うでしょうね。


 自分にはわからない話で盛り上がる二人――に見えてる事でしょう。

 実際にそんな感じの話を何度か繰り返したのだから。


 実際にエメリアはとっても困惑していたし、話に入りたくても入れないまま、まるでこの場の部外者が自分であるかのように感じているに違いなかった。


 マイクに気付かれないよう私はエメリアに唇の動きだけで謝罪もしたし、これには事情がありますよと気付いてくれるかはわかんないけど指先だけでのジェスチャーもした。

 意図を全部汲み取ってくれたかはわからないけれど、それでも何かを察したらしいエメリアはこくりと小さく頷いて、終始入り込めない幼馴染の会話の聞き役に徹してくれた。


 馬鹿な幼馴染マイク、お前の作戦は大失敗よ。



 ――さてその後、作戦は上手くいったに違いないと思っているマイクは放っておいて、デートが終わった時点ですぐさま私は帰った。

 それから急いで手紙を書いた。送り先は勿論エメリア。


 事情をぜ~んぶゲロッた手紙を見て彼女がどう感じたかはわからない。

 あんなお馬鹿な幼馴染を可愛いと思うのならばそれで良し、でも多分、そう思う程彼女、マイクの事好きでもないでしょうし……


 嫉妬ってそもそも、相手の事どうでも良かったらできないもの。

 大なり小なり好意なり悪感情を持ってないと無理。

 マイクはどうやらエメリアが好きで好きでどうしようもないみたいだから、それこそエメリアがマイク以外の異性と会っている、なんて事になれば嫉妬するでしょうけれど、エメリアは別にマイクの事など親が決めた婚約者くらいの認識でしかない。少なくとも今の所は。

 だからそんな状態で私という女を連れてきたとして、エメリアがマイクに嫉妬するかっていうと……まぁあの状況を思い返す限り、嫉妬とかしてないわ。困惑はしてたけど。


 マイクに対して好意がある以前に、そんな事しでかしてるんだからむしろ好感度が思い切り下がってたっておかしくないわ。


 恋愛以外の嫉妬をするにしても、その場合私がエメリアよりも美人で賢くて何もかもが勝ち目のないような相手じゃないと嫉妬も何もって話なのよね。

 まぁその場合の嫉妬の矛先はマイクではなくて私になるわけなんだけど。冗談じゃない。



 で、その後はマイクからまたデートについてきてくれ……とはならなかった。


 なんでって、婚約が解消されたからよ。


 どうにもエメリアとマイクの婚約は両家の親が知り合いで、そこそこの仲だったから結ばれた……別に互いの家の利益になるでもないような、何が何でも婚約を結ばなければならないみたいなものでもなくて、本当にたまたまだった。


 だからお互いにこの婚約はちょっと……と思うような事があれば簡単になかった事にできるものだったらしい。


 だからエメリアは早速とばかりに私が出した手紙と共に、両親にあの時のデートの話もして、この婚約はちょっと……としたらしいのよね。

 マイクがエメリアの事を好きだってのは確かだけど、嫉妬してもらいたいからって理由で幼馴染とはいえ異性と共にやってくるような男、この先の人生でも同じようなしょうもない事をしでかすかもしれない。

 それにエメリアは嫉妬以前に困惑するしかなかったし、嫉妬をしてほしいと言われても……という状況だった。


 嫉妬以前に何してるのかしらこの人、という感覚だったし、嫉妬してほしいっていうならまず嫉妬されるだけの好感度を稼いでおけという話だし、そうでなくともこういうものは早々にネタばらしをしておくべきだったのよ。それこそマイクがこの間はごめんなさい、と誠心誠意謝罪しつつ実は……と打ち明けるべきだった。


 そしたら、もしかしたらエメリアも笑って許せた……かはちょっと微妙だけど、でも仕方のない人、みたいな感じで愛玩動物感覚で可愛らしいものね、とか思ったかもしれない。

 もしそうだったなら、エメリアは今後マイクを尻に敷きつつ転がしまくったでしょうね。


 でもマイクはその後のアフターフォローも何もしていなかった。そういうとこだぞ。


 結果として私が早々に何もかもを白状した手紙だけが手元にやってきて、マイクの方はそれっきりだ。

 もしかしたら次のデートの時は二人きりで、前回の分も合わせてイチャイチャしようとか、そういう風に目論んでたかもしれない。でも、その次がなければ全く意味がないのよ。



 ところで私はその手紙に、それ以外の情報も付け足した。


 エメリアの家で行っている事業と、うちの領地の産業とを合わせるといい感じに利益が生まれそうなのよね。

 それでもって私の兄は実はエメリアに恋をしていた。

 婚約を申し込もうかどうしようかと悩んでいる間にエメリアが婚約したという話だけが流れ聞こえてきて、兄は大層落ち込んでいたのだ。もっと早く行動していれば……! と後悔しっぱなしの日々。

 兄がエメリアを好きだったなんて、その時初めて知ったのよね。


 だからマイクと一緒にデート現場に足を運んで、そこでエメリアを見た時の衝撃ったらなかったわ。


 それでもって、この馬鹿にエメリアは勿体ないと思ってしまった私はマイクの提案に乗った振りをして最後の最後で彼女に暴露の手紙を書いたってわけ。


 勿論あの時マイクと話をして、彼が言わせなかった幼い頃の失敗の数々も暴露済みよ。盛大に幻滅されてしまえの気持ち。

 だって一歩間違ったら私、恋人たちを引き裂こうとする悪女ポジションになるところだったのよ!?

 自分の人生が駄目になるかもしれない危ない橋を気軽に渡らせようとしたって事をマイクは理解していないの! 幼馴染だからってだけで、私の人生壊しかけたなんて気付いてもいないのでしょうね。



 だからまぁ、エメリアにはうちの兄をこれでもかとお勧めしておいた。

 姿絵も同封して、貴方に恋をして失恋していますって事も、もし婚約できたのならきっと兄は貴方を幸せにするために頑張るだろう事も、マイクと違って嫉妬してほしいからってだけでこんなくだらない事をするような人ではないということも。


 どうなるかは賭けだった。

 だって結局何を言ったところで私がマイクと共にやらかした事実にかわりはないわけだし。

 そんなのと縁続きになるのはちょっと……と思う可能性は充分にあったわけだし。


 でも、家同士の利益っていうのを考えたらマイクと婚約を続けるより、うちの兄の方がマシだって判断されたみたい。


 だからこそ婚約は解消されたし、その後エメリアは私の兄と婚約を結んだ。


 その後マイクが私のところにやってきて、どういう事だって言い出したりもしたけれど。


「言ったわよね、嫉妬させればいいんでしょ? って」

「言ったけどそれは!」

「私、別に誰を嫉妬させるかなんて言ってないわ」


 マイクはエメリアに嫉妬してほしくて馬鹿な事を考えて私を巻き込んだけど。


「ちゃんと嫉妬してるじゃない。貴方が」


 エメリアがマイクに嫉妬する可能性が低いのに、嫉妬させろは無茶がすぎる。

 だったら、確実に嫉妬できる相手を嫉妬させるべきよね。


 馬鹿なマイク。

 嫉妬してほしいからって私を巻き込みさえしなければ、素直にエメリアに好意を伝えて仲を深めていけばいずれ結婚できたでしょうに。


 嫉妬させたい、って部分だけを切り取って結果自分がその立場になるなんてこれっぽっちも考えてなかったのだもの。


「あぁそれから、あの時言葉を濁して言わなかった貴方の過去のあれこれ、ぜーんぶ暴露したから今からカッコいいとこ見せて惚れ直してもらおう、って思っても多分無理よ。

 どれだけかっこよく決められたとしても、でもこの方七歳のころまでおねしょしてたのよね……って思われたりあれもこれもって色んな失敗談が浮かぶだけだと思うから」

「はぁ!? お、お前……!」

「私のせいで婚約が台無しになった、とか言わないでよね。貴方が馬鹿な事思いついて巻き込まなきゃこうならなかったんだから。

 腹いせに私の悪評流してもいいけど、その時は今回の件も何もかもぜーんぶ社交界に広めるから。そうなった時、果たしてどっちが笑われる立場になるかしらね」


 ちなみに、私がこのお馬鹿な幼馴染にどうして協力したのかを両親に問われた時には既に過去に壊してしまったジュエリーボックスの件は白状している。

 今更過ぎるごめんなさいではあったものの、母はとっくに気付いていたらしくあぁやっぱりね、という反応だけで特にお叱りはなかった。どのみち古い物で、いつ壊れてもおかしくなかった、っていうのもあったからかもしれない。


 だから、マイクがその話を含めた他の――幼い頃の失敗談やら何やらを暴露したところで、正直私はそこまで痛手ではない。私の失敗なんて多分大抵の家の子がやるようなものばかりだもの。

 むしろ子供の頃のやらかしを持ち出した上で私を巻き込んで、この年になってやらかしたマイク、の方がひそひそされるわ。


「お前とは絶交だ!」


 なんて言ってマイクはぷりぷり怒りながら去っていったけど、どうしましょう。マイクと付き合いを絶ったところで、何一つ困ることがないわ!

 むしろこの先もまたあんな馬鹿みたいな事に巻き込まれる事がない、って思うとスッキリ爽快な気分よ。


 マイクのところのご両親は多分今後の事を考えて、跡取りはマイクではなく弟たちの誰かにした方がいいと考えるかもしれない。

 そうなった時、マイクがどうするのか。

 生憎絶縁された元幼馴染の私からすれば、知った事ではなかった。


 危うく社交界で私の評判が地に落ちていたかもしれないって事を考えると、今回の件で素敵な義姉を得られたなら大きなプラスよね、これ。

 兄も私に感謝してくれたし。

 俄然やる気に満ち満ちた兄にお前の結婚相手は俺に任せろと力強く言われたし。


 うん、ロクでもない幼馴染と縁が切れて、素敵な義姉と出会えて、ついでに結婚相手も期待が持てるとなれば。



 縁が切れてせいせいするわね。

 次回短編予告

 王子には婚約者がいる。けれど別の女性を好きになってしまった。

 恋に溺れる王子は気付けなかった。自分が地獄へ突き進んでいる事を。


 次回 こうして王子様は幽閉されました

 思い描いた明るい未来はなくなってしまったけれど――

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