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3-2,幽霊を捕まえるにはやっぱり掃除機だよね!!

 朝早くにの何でも屋にて一人の男性が依頼をしに来た。男性はシーナに案内され、ぎこちない動きでソファに腰を下ろした。落ち着かない様子依頼人だったが、震える声で依頼内容を話出した。


「はぁ~?幽霊の調査……ですか。」

依頼内容を聞いたクロトは気の抜けた声で依頼内容を聞き返したかと思えばサキの方に顔を向け、こんな偶然な事が起こるものだと心の中で感心してしまった。

詳しく話を聞いてみると、どうやら彼はとあうビルの管理人らしく、その彼が管理しているビルで最近、妙な噂が広がっているらしく、調査をして欲しいとのこと。その妙な噂とは、夜になると”白い服を着た女性が忽然と現れ、何をするでもなく、ただ静かにビル内を歩き回り、気づいたときにはもう姿が消えているものだった。実際にその幽霊と思われる女性を見たことがあるという目撃情報まであり、管理人としては放置できず困り果てていた。そのためその噂の真偽を確かめるためビル内の調査――そして、もし本当に幽霊だった場合は何とかしてほしい、と 男性は深々と頭を下げた。

「いや、なんとかって言われましても。私達は何でも屋であって、除霊師ではないのですが……。」

話を聞いていたサキは冷静に依頼人の依頼について指摘しようとしていた時、突然ソファからクロトが立ち上がり堂々とした立ち振る舞いで……。

「……分かった。その依頼俺達が解決しよう!」

依頼を引き受けるクロト。その声はなぜか妙に力強く、依頼人の不安を一瞬で吹き飛ばすほどの勢いがあった。男性は依頼を引き受けてくれることに対し目をキラキラさせたような表情でクロトを見上げ、サキもクロトの突然の発言に驚き慌ててクロトの裾を引っ張り依頼人に聞こえないよう小声で詰め寄る。

「……ちょ、ちょっとクロトさん!大丈夫なんですか、そんな簡単に依頼を引き受けてしまって。もし本当に幽霊だった場合どうするんですか!?」

「……大丈夫だって! だいたいこういう噂話は、誰かの何気ない会話から尾鰭がついて勝手に大きくなっただけなんだよ。実際に幽霊なんかいるわけないって。」

小声でクロトに話しかけたサキは、焦った様子でクロトを問い詰めるが、 クロトは「大丈夫だって」と軽く手を振り、 その不安をまるで風で払うように受け流した。

「……それに、もし。もし、この依頼人が言っていた幽霊とサキが昨晩見たっていう幽霊が同じものだったら同時に解決できっていう、まさに一石二鳥ってわけよ。……それにもし違ったとしても依頼料はちゃーんと払って貰えるしね。」

自信満々にニヤリと笑うクロトに少し頼もしさを感じたサキだったが、一瞬にして悪い顔でクスクスと笑うクロトに一瞬で幻滅した表情で睨みつけるサキであった。

「よーし、じゃあパパっとこの依頼を解決してやろうじゃないか!」

拳を肩の所まであげ、そこにカメラでもあるかのように決めポーズを決め、もうどうとでもなれっと言わんばかりに深いため息をこぼすサキ。こうして、クロトの勢いとサキの不安を残したまま“白い服の女性”の調査は本格的に動き出した……そしてその様子を横目に、 シーナはただ一人、窓の外を眺めながら 知らぬ存ぜぬを決め込んでいた。


 ――そして夜。辺りは静まり返り、街灯の光だけが無機質に地面を照らしている。その中クロトとサキは依頼人が管理しているというビルの前に来ていた。

「ほぉ。ここが例の幽霊が出るって言う”ホーン〇〇ド・マンション”かー。思ったよりデカいな!」

「……違いますよ。そんな物騒な名前でなく、ただのビルですよ。」

クロトは右手を額に当て、まるで探検家のように遠くを見渡すポーズでビルを見上げ、初手地雷を踏みに行くような発言をするクロトに、冷静にツッコミで返すサキ。

「いやーそれにしてもあれだな。夜にこういう所に来ると凄い雰囲気を感じるな。」

「……そうですよ。」

辺りは静かで如何にもな雰囲気を醸し出しているが、クロトはいつも通りの通常運転で稼働しているが、その反面サキは()()が気になってしょうがない感じにクロトをチラチラと見る。クロトはそれを意に介さない堂々とした振る前でビルに入ろうとしたが……。

「よし、とりあえず中に入るぞ!」

「……待ってくださいクロトさん。」

サキが声を張り上げクロトを止めた。何事かと思いサキの方に振り返るクロト。

「ん、どうした?」

「いや、どうしたじゃないですよ……。 なんですかその恰好は!?」

夜のビル前に響き渡るほどの大声で叫び、右手の人差し指をクロトの方に突き立てた。なぜならクロトの恰好は、蒼いオーバーオールに緑色のインナー、白い手袋にどこかで見たことのあるイニシャルの入った“緑の帽子”という、とある国で働く配管工のおじさんのような恰好という完全にアウトな服装をしていた。

「え? どこか変かな?」

「どこもかしこもおかしいですよ!」

自分の服装を見ても特段変な恰好をしていないと思うクロトに声が裏返るほどの勢いでツッコむサキ。

「おいおいサキ、なにそんなに怒ってるんだよ。 俺達はこれから幽霊を捕まえにいくんだぜ。だったらそれなりの()()な恰好でいかないと幽霊に失礼だろ?」

「なんですか、幽霊に失礼って!? そんなの聞いたこともないですよ!?」

クロトはまるでこれが常識です!という感じに話かけ冷静にそれをツッコむサキ。続けてサキはクロトに対しツッコミを続ける。

「それに何ですか、その背中に背負っている赤い掃除機は!?」

「え?知らないのか? これは、最近流行りの幽霊を捕まえるために必須な掃除機。”オバ〇〇ーム”に決まってるだろ。そんなもの知らないのかサキ?」

「知っていますよ!知っているからこそ、なんでここにあるか聞いているんですよ!」

サキの質問に対し煽るような言葉使いで話すクロトに怒りと呆れが混ざった声でツッコみ続けるサキ。

「なんでって、そりゃ。ここに来る前に顔が真ん丸とした白い服を着た博士っぽい人から拝借してきたからに決まってるじゃないか!……まぁでもその人寝てたからこっそり持ってきたけどな。」

「それ拝借じゃなくて、盗んできただけじゃないですか!?」

「盗んだとは人聞きの悪い。ちょっと借りてきただけじゃないか。これが終わったらいつか返しにいくから心配するなって。」

「それ絶対に返しに行かない人の言い訳じゃないですか!今すぐ返してきなさい!」

夜のビル前で繰り広げられる光景は、もはや“幽霊調査”ではなく“母と子の茶番劇”そのものだった……。

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