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3-1,真っ暗な廊下って凄く怖く見えるよね!?

 サキが何でも屋に入って数日、特にこれと言った依頼もなくただ日々が過ぎていったある晩。ふと目が覚めてしまったサキは喉が渇いてしまい、一階に降りて水を飲もうと思い寝ぼけた頭のまま部屋を出て階段に向かおうとした……その時廊下の奥から、 “コツ……コツ……”と小さな足音が響き、その音を聞いたサキはピタリと足を止めた。

(え? 何、何の音?)

 不気味に感じたサキは恐る恐る音のした方に振り返ると……廊下の奥を、白いワンピース()()()衣をまとった小さな女の子が、 すうっと横切っていったのだ。真夜中の廊下は闇に沈み、 家具の輪郭すら見えないほど真っ暗なのに―― その女の子だけは、はっきりと見えた。なぜならその子は、 月明かりも照明もないはずなのに、 淡く光っているように見えたからだ。……そうまるで幽霊みたいに。

 その思えた瞬間、背筋がぞわりと冷たいものが走ったサキ。そして気がつくとその女の子はスーッとサキの視界から消え、震える足をなんとか動かし廊下の角をそーっと覗き込んだ……がそれには誰もいなかった……。

益々怖くなったサキはガクガクと震えながら廊下を駆け戻り、自分の部屋へ飛び込んだ。そして朝になるまで、 布団の中で小さく丸まりながら震え続けた。……水を飲みに行こうとしていたことなど、 すっかり忘れて。


――翌日。いつもの居間にて、サキは昨晩の出来事で一睡もできず、目の下にくっきりとクマを作り魂が抜けたような表情のまま、シーナに昨夜の出来事を懇切丁寧に説明している。

「……で、廊下の奥に白い女の子がいて……  光ってて……突然消えて……それで、それで……!」

 寝不足のせいで頭がうまく回らず、 ところどころ話がちぐはぐしていたが、 それでもシーナは黙ってサキの話を聞いていた。その間、シーナは机の上に置いてあった コーヒーの入ったマグカップを左手で持ち上げ、口元まで運びコーヒーを飲みながら冷静に対応した。

「あのねサキ。もっと冷静になりなさい。そんな()()()()()()がこの世に存在するわけないでしょ。」

少し強めにサキの意見を否定し椅子を九十度回転させ背を向けた。その動きは妙に早く、サキから見て今日のシーナな怒っているかのように見えたそう……。だが、サキが見えない所でシーナは手が不自然にプルプルと震え今にもマグカップを落としそうになっていた……。


「ふわぁ~あ。なんだ朝から騒々しいな。誰か”大切にしていた心”でも落としたのか?」

「どうやってそんなの落とすんですか!?」

 寝癖全開のクロトが左手を服の下に入れてポリポリとかき、大きなあくびと共に居間に入ってきたかと思うといきなり分かりにくいボケを放り込んできた。寝不足な頭でも反射的に振り返って全力でツッコむサキ。……朝から元気だね。

クロトはそんなサキのツッコミを軽く受け流しながらサキ達に近づき……。

「……で? 実際何の騒ぎ?  この年にもなってまさかおねしょとかじゃないだろうな?」

「おねしょとか恥ずかしいこと言わないでくださいよ!! 違いますからね……実は。」

サキは顔を真っ赤にしながら否定し、事の経緯をクロトに話始めた。


「はぁ? うちの事務所に幽霊!?」

 まだ起きたばかりの頭で状況を上手く理解出来ず、疑ったような目でサキを見つめた。

「おいおい、サキさんよ。いくら寝ぼけていたからって。鬼と幽霊を見間違えるなんて、流石にないとおも……。」

クロトが話終わる前に、”ヒュッ”っと空気を切り裂く鋭い音が聞こえ、クロトの顔の横を 銀色の物体 がかすめて飛び抜け、 そのまま奥の柱にとんでもない勢いで突き刺さった。それに気づいたクロトは恐る恐る目を柱の方にを振り返るとそこには……料理用のバターナイフが深々と刺さっていた。

それを見たクロトは額からダラダラと冷や汗が流れ、その背後から顔は笑っていたが禍々しいオーラを放つシーナがクロトを睨みつけていた。

「誰が……なんだって?」

「あ、あははは……。じょ、冗談。冗談に決まってるじゃないか、いやだぁ、もう……。そ、それでその女の子がなんだって?」

「え?あ、えーっと。それが……。」

まずいと察したクロトは、 即座にシーナの方へ振り返り、 引きつった笑顔のまま早口で弁明を始め、即座に話題を幽霊騒動に戻った。

「それが、その女の子。何処からともなく突然現れて、忽然とその姿を消したんですよ。あれは間違いなく幽霊ですよ!」

 サキは必至に昨晩の事をクロトに訴えかけ、その物凄い圧にたじたじになってしまうクロト。そんな時突然インターホンが鳴った。サキはクロトに詰め寄り手が離せない状態だったため、シーナが席を外しそのまま扉に近づき、そのまま扉を開けた。するとそこには、手を胸の前でモゾモゾさせ、 視線を泳がせながら立っている挙動不審な男性がいた。

「あ……あの。こ、ここ……何でも屋さんで間違いないですか?」

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