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4-4,男なんでだいたい大きい方を選ぶだろ!!

 鉄の箱の中から女の子が現れた瞬間、サキは思わず息を呑んだ。ミオがついに犯罪めいたことをしてしまったのでは――そんな最悪の想像が頭をよぎる。だがミオは胸を張り、鉄の箱の横に立つと、左腕を勢いよく箱へ向けて叫んだ。

「これがミオの発明品! 名付けて“万能キツネ型ロボット・コンちゃん一号”!」

……ロボット?

その単語に引っかかり、サキは改めてメイド服姿の女の子を見つめた。肘や膝の関節は人間のものとは違い、肌や髪もどこか人工的だ。

(……よかった。ミオちゃん、犯罪に手を染めてなかった)

胸を撫で下ろすサキの横で、クロトは真剣な眼差しでスリープ状態の女の子を観察していた。遠目から見ると、かなり危ない人にしか見えないほどの熱量で。

「素晴らしい!! 顔の造形から繊細な指の形まで、全てが完璧な仕上がりだ。……ただ一つ懸念点を挙げるとするなら……」

クロトはわざとらしく溜めると、右手である一点を指さした。

「もう少しおっぱいを大きくすれば完璧だ!」

「何言っちゃってるんですかクロトさん!!」

クロトのとんでもない発言にサキの全力ツッコミが川場に響き渡った。すると、ミオが真顔で口を開く。

「ですが兄者よ……。おっぱいを大きくすれば必然的に重量が重くなり機動力が落ちてしまう。そうなればいざという時に動けず邪魔になってしまうぞ。」

「ミオちゃん!?」

サキはミオの口からもとんでもない言葉が飛び出したことに驚き、思わずミオを二度見してしまう。そんなことは全く気にせずミオはクロトとの“おっぱいの最適重量バランス”についてのディベートを始めてしまった。

「そもそも兄者よ。大きいおっぱいとは必要なものなのか?無駄にデカく、色々と邪魔になるだけだと聞くぞ?」

「ふ、まだ甘いな妹よ。」

「むむ、なんですと!?」

ミオの“無駄”という言葉に反応したクロトは、左手を顎に添え、無駄にキメた表情でミオへ語りかけた。

「確かに常識的に考えれば、大きなおっぱいを装備している者は空気抵抗が増し、必然的に機動性が落ち、肩こりや視界の邪魔になるだけだという。……だがしかし」

クロトはわざとらしく間を取り、左手をグッと握りしめながら勢いよく顔を天へと上げた。

「おっぱいが大きい人間は……凄くエロい!!」

無駄に間を取った末に飛び出したのは、あまりにも私的すぎる発言だった。そんな発言にサキはまるで女の敵を見るかのような鋭い視線でクロトを睨みつける。しかしクロトはその視線など一切気にせず、語りを続けた。

「戦闘中、全身ボロボロになり服もボロボロ。その破れた部分からチラリと覗く下着や乳。お風呂屋や水着回といったお色気シーン、どこからともなく現れる謎のビームや湯煙……そういう“見えそうで見えない”というのが男どもの妄想を掻き立てるんだよ!!(※個人的な感想です)」

「一体何の話してるんですか!? っていうか私で変な妄想しないで下さい!!」

クロトがこれでもかというほど熱く語り、その妄想のモデルが自分だと気づいたサキは顔を真っ赤にして、まるで煙を払うように両手をバタバタさせた。

「なるほど、勉強になる。メモメモ……」

「ミオちゃん!? 一体何をメモしてるの!?」

サキが二人の相手でてんやわんやしている横で、少し離れた場所から様子を見ていたシーナは、呆れた表情を浮かべながら静かにその場を離れようとした。

「はぁー……バカバカしい。帰るわね」

三人をよそ目に歩き出したその時――。


ポチッ……。


シーナの足元から、ボタンを押したような音が聞こえた。嫌な予感がして足元を見ると、そこには大きく “危険!!” と書かれたボタンが。その音を聞いたミオがシーナの方へ顔を向け、なぜか妙に冷静な声で口を開いた。

「あ、そのボタン押しちゃったんだ。」

「え、なに? なんのボタンなのこれ? ていうかなんでこんな所にボタンがあるわけ!?」

シーナが慌てた声でミオに問いかけると、ミオはさらりと答えた。

「あーそれはね。ミオがそこに置いておいたの。」

「なんで!?」

「なんでって……それは。」

ミオもクロトと同様わざとらしく間を取ってから口を開く。

「……面白そうだったから」

完全に私欲だけで動いた発言に、シーナは一瞬言葉を失い、呆然としたままミオを睨みつける。ようやく正気を取り戻して怒鳴ろうとしたその時――


プシュー……


鉄の箱の方から突然、煙が噴き出す音が響いき、中で眠っていたロボメイドの瞼がゆっくりと開く。

開眼した瞬間、彼女の瞳がぐるぐると回転し、まるで周囲の情報を一気に読み取るかのように視線が高速で動き始めた。突然の起動に、クロト・サキ・シーナの三人は思わず息を呑む。そしてロボメイドの口元がゆっくりと開いた。

「……わ……(わたくし)のマスターは……どなたですか?」

機械音混じりの声が静かに響く。

「はい。俺が君のマスターだ!」

サキとシーナが硬直する中、いつの間にかロボメイドの目の前に瞬間移動したかのように現れたクロトが、膝をつき、目をキラキラさせながら堂々と嘘をついていた。

(あ、クロトさん……いつの間に!?)

突然すぎて頭の整理が追いつかず、サキは心の中でツッコミを入れる。

「確認しました。あ、あ、あ、あ、ああなたが……ままままマス、マス……」

「え? なに? なんなの!?」

「クロトさん! また何かやったんですか!」

「俺は()()何もしてねぇ!!」

ロボメイドの挙動が突然おかしくなり、全身から黒い煙が噴き出す。クロトとサキは慌てて後ずさった。

そしてロボメイドは、まるで糸が切れた人形のように一度ぐったりと動かなくなり――


ピピピピピッ!!


異様な駆動音とともに、再びゆっくりと顔を上げた。瞳は真っ赤に点滅している。

「警告。システムエラー。警告。システムエラー」

「え、なになになに! 一体何が始まるっていうの!」

「やっぱり何かしたでしょクロトさん!!」

「だから()()何もしてねぇって!!」

突然のアラートに混乱していると――

「警告。直ちに必殺人モードに移行。警告。直ちに必殺人モードに移行」

物騒すぎるモード名を告げた瞬間、ロボメイドはサキへと視線を向けた。

次の瞬間――

スカートの中から複数のナイフを取り出し、サキめがけて一斉に投げ放つ。突然の出来事に反応が遅れたサキは、考える暇もなくその場で立ちすくんでしまった。

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