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4-2,不思議っ子な妹って嫌いですか?

「それじゃぁ、改めて紹介するわね。 この子の名前は”ミオ”。見ての通りの獣人族よ。一応ミオも私達何でも屋のメンバーって事になっているわ。」

「ミオです。黒い狼さんとは何の関係もないですが、よろしくです。」

改めてシーナがミオの自己紹介を行い、ミオ自身もサキに自己紹介をするが、どこか引っ掛かるような自己紹介に困惑するサキだったが敢えてツッコまないことにした。そしてサキもしっかりとミオの目を見て丁寧に挨拶をする。

「よろしくねミオちゃん。私はサキって言うのよろしくね。」

「よろしくです、サキ”お姉ちゃん”。」

お姉ちゃんと言う言葉を聞いた瞬間――

サキの胸に“お姉ちゃん”という単語が、矢のような勢いで突き刺さった。

(か、可愛い!!)

ミオの見た目と声の破壊力に、サキは一瞬で理性を吹き飛ばされ、気づけばミオに抱きついていた。

「よろしくね、ミオちゃん!!」

それを見ていたシーナは、呆れたような目でサキを見つめ口を開く。

「……サキあんた。少し見ない間にあいつ(クロト)に似てきたんじゃない?」

その言葉を聞いた瞬間、サキの体が石に固まり……。


ピキッ……


という音と共に何か大事な部分にヒビが入った。

「う、嘘ですよね!!」

必死に冗談であったと言ってほしくて、半泣きになりながらシーナに縋るように訴えるが、シーナは額に汗を浮かべながら視線をそらし、無言の肯定。

その瞬間、サキはショックのあまり地面に手をつき、四つん這いの姿勢で崩れ落ちた。絶望の淵に沈むサキの手を、シーナがそっと握る。

「大丈夫よ。まだあなたは戻れる。だから立ちなさい!」

「お、御姉様!」

二人が百合の世界に足を踏み入れかけたその時――隣で聞いていたクロトが、ようやく口を開いた。

「……おい、話を聞いてればなんだ。人をばい菌みたいに扱いやがって。あれだぞ、泣くぞ。みっともなく人前で泣いてやるぞ、この野郎!」

訳の分からない逆ギレをかまし、それを聞いたサキは「冗談ですよ!」と苦笑いしながらクロトを慰める。シーナも「半分冗談よ」と冷静にフォローした。……半分?

そんな茶番などまるで気にしていないミオは、目の前のドーナツを物凄い勢いでむしゃむしゃと食べ続けていた。サキたちが気づいた時には、机に置いてあったドーナツは残り一個。その最後の一個も、すでにミオの手の中にあった。

(どうやったら、あんな小さな体にあれだけの量のドーナツが入るの……?)

神秘的な謎について考え込みながらミオの顔を見ていると、ふと胸の奥に引っかかる感覚が生まれた。

(……あれ、この子、どこかで見たことがあるような)

初めて会ったはずなのに、前にもどこかで会ったような既視感を覚え、しばらく眉を寄せて考え込み――そして、何かを思い出しかのようにはっと顔を上げた。

「あっ、思い出した! あなた、あの時の“白い幽霊”!」

どこかで見たことがあると思ったら、数日前、事務所内で目撃した“白い幽霊”にそっくりだったのだ。サキは興奮気味に、その時の出来事をミオへ語り始めるがミオは、ドーナツをもぐもぐしながら首をかしげ――

「……うーん、よく覚えてないなぁ」

まるで他人事のように、のんびりした声でしゃべった。その時、隣で聞いていたシーナが唐突に口を開いた。

「まさかミオ……またあんた、知らないうちに徘徊しているんじゃないの?」

「えっ、徘徊……?」

シーナが言ったことに、サキは思わず聞き返し、シーナは、ため息まじりに続けた。

「この子、夜になるとあちこち勝手に歩き回るのよ。寝ぼけてるせいで、本人はまったく覚えていないの。まあ、狐は夜行性だから仕方ないと言えば仕方ないのかもしれないけどね」

再びため息をつくシーナの横で、サキは……

(ミオちゃんって狐なんだ……猫かと思ってた)

別のことを考えていた。

「おまけに、この子の毛の色が銀色だから、暗いところでも目立つから。恐らくそれで幽霊と見間違えたのね。」

「そうだったんですね。」

シーナの話を聞いていたサキは、ホッと胸を撫で下ろし安堵した。だが、もう一つ気になる事があった。それは……。

「ですが、シーナさん、まだ一つ疑問があるのですが。私、人影が視界から消えたあと、すぐに確認しに行ったんですよ? なのに、もういなくなっていたんです。それってどういうことなんですか?」

「……ああ、そのことね」

サキの真剣な問いに、シーナが少しだけ眉を上げた――その瞬間ミオの姿が、ふっと視界から消えていた。

「あれ? ミオちゃんはどこに?」

慌てて周囲を見回すサキ。だが、どこにもいない。気配すら感じない。

「ここだよ」

「ひゃっ――!?」

背後から、耳元すれすれの距離で声がした。サキは変な声を上げながら飛び跳ねるように驚き、思わず前のめりに転びそうになるのを堪え振り返ると、ミオがドーナツをくわえながらサキの後ろに立っていた。

音もなく、気配もなく、背後に現れるその動きは――幽霊よりよほど幽霊らしかった。するとシーナがすっと手を伸ばし、ミオの服の襟をつまみ上げた。その姿はまるで、首根っこをつままれて持ち上げられる猫そのものだった。

「全く、そうやってすぐ人を脅かすんじゃない! ……ごめんなさい、びっくりさせて」

「あ、いえ大丈夫です。」

ミオはぶらんと宙に浮いたままでもドーナツを食べ続け、シーナはまるで母親かと疑うほどの態度でミオを叱っていた。

「それより、どうやってミオちゃんは私の背後に?」

「あー、それはね」

シーナはミオの襟をつまんだまま、淡々と続けた。

「この事務所には、ミオしか知らない隠し通路があちこちあってね。恐らくそこから出てきたのよ」

何でも屋に入ってまだ数日。またしても知らない設定がさらっと出てきたことに、サキは思わず目を瞬かせた。

(……隠し通路? なにそれ? この何でも屋やっぱりおかしい!?)

サキの中での“常識”がまた一つ崩れた気がした。

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