4-1,妹属性のキャラって作品に一人は必要だと思わないか?
「きゃーーーーーーー!」
朝から何でも屋に女の子の悲鳴が響き渡った。その直後――。
ガシャァァン!!
窓ガラスを突き破り、何者かが物凄い勢いで飛び込んできた。
「どうしたー、何があった!!」
「きゃーーーーーっ、不審者ー!!」
部屋に入ってきた人物は、割れたガラスの破片が頭部に突き刺ささっており頭から大量に赤い何かが流れており、謎の力が発動し、顔にモザイクかかり誰だが分からい状態だった。サキは反射的に、近くにあった分厚い本を掴み、まるでプロ野球選手の剛速球のような勢いで投げつけた。
バン!!
「ふぎゃ!!」
本は見事に不審者の顔面に直撃!不審者は変な声を上げ、そのまま後ろに倒れ込んだ。
「……へ? この声……まさか……クロトさん!?」
聞き覚えのある声が聞こえサキは少し冷静になり、恐る恐る倒れた人物へ視線を向ける。そこには――
変態が見事に伸びていた。
そんなことをしていると、廊下を全力で走ってきたシーナが部屋に飛び込んでくる。
「何!? どうしたのサキ……って、これはどういう状況?」
部屋に入って来たシーナは、部屋の惨状に思わず目を見開いた。
・粉々になった窓ガラス。
・床に転がるガラス片。
・顔面に本を食らって伸びている変態。
・布団を抱えて震えるサキ。
まるで殺〇現場のような光景が広がっていた。シーナは一度目を閉じ、状況を整理するために数秒だけ考え込む。そして――バッと目を開き……。
「この変態が何かしたのね!」
犯人をそこに伸びている変態だと断言した。
「え、いやクロトさんは何もして……。」
サキが慌てて弁明しようとした、その瞬間――
「……うー、うるさいな~。」
布団がモゴモゴと動き出し、布団の中から小さな手がぴょこんと飛び出てきた。そして布団がゆっくりとめくれ、サキのベッドで寝ていた“謎の少女”が、眠い目をこすりながらゆっくりと起き上がった。
起き上がった少女の姿を見たサキは、思わず息をのんだ。
ひときわ大きく白く尖った長い獣の耳。
綿あめのようにふわふわとした、大きな白い尻尾。
窓から差し込む光を受けてきらりと輝く、白銀の髪とその神秘的な美しさに、サキはしばし魅入ってしまった――だが。少女の“服装”を見た瞬間、サキの顔は一気に真っ赤になる。少女が身につけているのは、
自分よりはるかに大きくぶかぶかな男物のシャツ一枚だけ だったのだ。
「ちょ、ちょっと! なんて恰好しているんですか!!」
サキは慌てて布団を少女にばさっと抱き着くように覆いかぶせた。
「もう、いきなり何をするのだ?」
謎の少女はのんびりとした口調でサキに問いかける。
「いや、“何をする”じゃないですよ!あなた、なんでそんな恰好で寝てるんですか!?もう少し恥じらいを持ってください!!」
「え〜、だって……」
少女は布団の中で、もぞもぞと肩をすくめていると……。
「ミオ? なんでここにいるの?」
「……ミオ?」
シーナが謎の少女に向かって口にしたその名前は、サキにとっては初めて耳にするものだった。
サキは、謎の少女――“ミオ”という子について詳しく聞くため、いつもの居間へと足を運んだ。
「すりすりすり。」
「何やってるんですかクロトさん!!」
クロトは締まりのない顔でミオのふわふわの尻尾にしがみつき、
まるで犬や猫を愛でるかの勢いで頬をすり寄せていた。当のミオは、ぽけっとした表情のまま、目の前にあるドーナツをまるでリスかのように頬張っていた。
「兄者よ、そんなにすりすりされては……くすぐったいぞ」
ドーナッツを頬張りながらも尻尾を捕まれていることに対し、嫌がる素振りもなく、むしろ落ち着いた様子で“いつも通りです”と言わんばかりの落ち着いた口調だった。
「だってしょうがないじゃないか。こんなモフモフした毛並みが目の間にあったらすりすりしたくなるのが人間の性って言うものなんがから。 サキもどうだ? 飛ぶぞ!」
「そんな危ない薬を使う人みたいなこと言わないでください!
というか、さっきこの子、クロトさんのこと“兄”って呼んでましたけど……まさか妹さんなんですか!?」
何でも屋に入って数日。まさかクロトに妹がいるなんて聞いていなかった。しかも、こんな人形みたいに可愛らしい子が――と、少し失礼なことを心の中で考えていると、隣に座っていたシーナが口を開いた。
「あー、違うわよ。ミオはそれの妹じゃなくて、ただ“兄”と言わせてるだけの変態よ。」
手に持ったコーヒーをすすりながら、いつも通りの冷静な態度で辛辣な言葉を放つ。
「変態とは心外だな。 いいか、どの作品においても“妹属性”というキャラは絶対必要不可欠な存在だ。だが妹と言う原石はただそれだけでは光り輝かない。兄と言う砥石があって初めて真の価値が分かるんだ 。所詮兄は妹の踏み台に過ぎんのだ!そこ勘違いするなよ!!」
「何を威張って言ってるんですか! 全国の兄に謝ってください!! というか、いつまで尻尾にしがみついてる気ですか!!」
シーナの“変態”発言に反応したクロトは、ミオの尻尾にしがみついたまま、とんでもない理論で反論。全国の兄に喧嘩を売るような発言をしたクロトに、サキは反射的にツッコミを入れる。
さらに、いつまでもミオの尻尾を離さないクロトに、サキは呆れながらも、いい加減に離れるよう忠告するのだった。




