第四話 『恋のキューピット』
この小説はフィクションです。
実際の人物や団体などとは関係ありません。
『あなたは"待ち人"という都市伝説を知っているだろうか?』
そんな一文で始まったサイトはどこか不気味だった。
少し昔に制作されたようなサイトになっており、最後の更新日もだいぶ前になっている。
少しでも夢の手がかりを掴むために続きを読むことにした。
『とある町で起きた"男子中学生の失踪事件"が題材とされるこの都市伝説は"町から人が消える事件"と関係があるのではないかと言われている。』
『ネットで話題になった当初は手がかりが少なかったが多くの掲示板で様々な考察をされていった結果、"待ち人"という都市伝説が生まれたとされる。』
『内容の前に"男子中学生の失踪事件"について話そう。』
『当日、とある町で流行っていた"恋のキューピット"というお似合いと思う2人に手紙を出して同じ場所に鉢合わせるという遊びなのだがこの恋のキューピットの手紙が男子中学生に届いていたのではないかと考えられた。』
『手紙を貰った彼は書かれた場所に行き、暗くなるまで待っていたが相手がくることはなく、その日は帰ろうとしたが何かの事件に巻き込まれてしまい、そのまま亡くなってしまったと考察された。』
『その未練から亡霊となり、今も相手を待っているのではないかと言われている。』
初めて聞いた事件だ。
だがこの事件と"町から人が消える事件"と何が関係あるのか、気になった私は下へとスクロールした。
『ではこの事件と"町から人が消える事件"は何が関係あるのか。警察が事件を調べている時、「消える前日に相談を受けた」というタレコミがあったのだ。』
「前日に◯◯(友人の名前)から"ある夢を見た数日後に手紙が届いたんだ"と相談を受けた…最初は冗談だと思っていたんだが彼の顔が真剣だった…」
「彼が見た夢の内容が"いつの間にか見覚えのない教室で周りにいた学生から恐ろしい声で何かをずっと語りかけてきた"と言っていた…」
その文を読んだ瞬間、顔から血の気が引くのがわかった。
そう、私が見た夢と全く同じ内容だったのだ。
「その夢を見た数日後、家のポストに手紙が届いていたから読んだらしく、"明日、砂浜であなたのことを待っています"と書かれていたと話していたんだ…」
『この記事を見た人達によって、この手紙があの"恋のキューピット"ではないのか!?と話題になったことにより、この2つの事件は関係性があると考え、"待ち人"という都市伝説が誕生したと言われている。』
このサイトの話が本当なら私は次の標的になったということ…信じたくない…これはただの噂でしかない…
そう自分に言い聞かせた。
『頻繁に起こる事件ではないため手がかりがとても少ない。もしこのブログを見てる人で少しでも手がかりがある人はコメントやメールで教えてください。』
サイトを見終わる頃には午前1時になっていた。
「えっ!もう1時…早く寝ないと…」
またあの夢を見るかもしれないと思うと怖い。
だが今日のために寝なければと恐怖を堪えながら目を瞑った。
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