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姫様の剣術も育てないとな

 食事の後は手紙の確認。

 まあ毎度の行事だが、貴族様ってのはこんな事を毎日やっているのか?

 くだらなすぎて全部暖炉に放り込みたくなるぞ。本気でフェンケにやらせたい。


 なにせ、ほぼ全てが各地からの“ご挨拶状”だ。

 要するに、各地域の下級貴族たちから”自分を覚えて貰おう”というアピール文。それと同様に、各地の騎士からの売り込み。それに商人たちのセールスときたものだ。

 下級貴族の頃は隣の領地からの挨拶すらなかったのに、また随分と極端になったものだ。

 まあ領地が村1つだったしな。


 これが上級貴族かとも思うが、それに加えて俺の治める領地が臨時の王都。

 更に――ちらと姫様を見ると、こちらは数行読んでは暖炉にぽいと、かなり手馴れている様子だ。


 俺もいちいち全部に目を通さなくても良い様な気がしてきたが、何というか几帳面な性格が恨めしい。

 仕事上、指令は全て暗記する事が必須だったのでね。

 それはともかく、その姫様とヘイベス王子がここにいるという事が手紙の量を増やしている。


 なにせ、貴族も自治領も商人も、2人に取り入ろうと躍起になっている。

 今までは見向きもされなかった姫様だが、こちらは現在の仮王都ナンバー2の地位にいる。

 1位はもちろん第4王子のヘイベス・ライラスト・クラックシェイム。俺は3番目という事になるが、この地位が何というかうざい。

 フェンケに譲る案も進言したが、あっさりと却下された。

 一応は俺と結婚するならアリとは言われたが、姫様の華麗なバックドロップでうやむやとなっている。


 不満ではあるが責任を全て放棄して下野するつもりはない。

 一応はお尋ね者であるクラム・サージェスに戻るわけだが、王室特務隊はいちいち俺などに関わらないだろう。

 となれば、普通の追手などどうでも良い。俺の位置を捉える事すらできなはしない。

 けれど、今の状況で姫様達を置いて行くわけにはいかない。

 裏があるかもしれないが、ヘイベス王子にも“魔略”にも借りがある。

 あの様子だと、俺が知らないだけで“神知”にも借りがあるな。


 更にレベル屋の従業員。この町の住人。

 押し付けられたとはいえ、国が安定するまでは放棄する事も出来ないか。

 それに一番の問題として、大量の人間が流入している事だ。

 仮とはいえ王都だし、王族も2人いる。しかも只今絶賛発展中だ。

 確かに、まだまだ何もかもが足りない。未だに城すらないのだからな。


 ただ人が増えれば邪な人間も増える。

 単純な治安問題で済んでいる内は良いが、やはり最大の護衛対象である姫様の安全確保を何とかしないとな。


「こちらは読み終わりましたよ」


「早いな……」


 というか、手元には1枚も残ってねえ。全部暖炉行きだ。

 こういう所は見習わないといけないな。


「クラム様のも――ポイ」


 横に置いてあった分も含めて、全部暖炉に放り込まれた。

 まあいいさ。どうせ最後にはゴミになるのは分かっている。


「それでは、少し稽古でもしますか。フェンケも行くぞ」


「お任せください。今日こそ天命聖鉄球37号の力を見せてあげますよ」


「先ずその名前を何とかしろ」


 というか、この鉄球という言葉に最初は騙されたからな。

 ある意味、アリなのかもしれない。





 昼食後は、特に問題が無ければ姫様のフェンケのスキル上げだ。

 最初は木刀でやっていたが、姫様が地面にぶつけるたびに叩き折れる。

 俺が短剣で受け流しても叩き折れる……どっちも。

 いやいや、俺の方は刃がないとはいえ金属製なんだけどな。

 レベル差恐るべしって所だ。


 そんな訳で姫様には普通の真剣を使ってもらっている。

 最初は俺に刃を向けることに抵抗があった様だが、正直もう慣れたな。

 実際の所、当たらないのだ。それに受けなければ、別のこっちは木の枝でも問題ない。

 もちろん当たれば即死の暴風である。ぶんぶん振り回すだけで、普通の人間では近づく事も出来ないだろう――が、


「はい、ここまで」


「ううー」


 喉元に小枝を寸止めして、まあ一本だ。

 確かにレベルの暴力は凄いが、スキルはまだまだ足りない。

 魔国から帰って以来、一応は毎日の様に鍛えている。でも精々スキルは3だな。

 こればかりは、一朝一夕に上がるものではない。

 もっとスパルタでやれば上がりも早いのだが、どうせ4になる程度だろう。

 他の公務も控えているお立場だ。そこまで無理をしても仕方がない。


 だが今後の事も考えれば、やはり最低限は身を守る術を身につけて欲しい。

 別に勝てって訳じゃ無い。10秒でも、1秒でも、どの位粘れるかが明暗を分けるからな。

 まあ並の人間なら相手にもならないけどね。

 レベル207。かつては神の領域とまで言われたレベルは伊達じゃないわ。


 それに俺の相手をしているせいか、体術のスキルが妙に上がる。

 既にレベル5。あとちょっとで6だ。

 スキルなんてのは素質の要素が大きい。鍛えても学んでもダメなやつはダメ。才能といっても良いな。

 姫様には、そちらの才があったのだろう。


 ただなあ……俺の動きは基本的に暗殺者の動きだ。

 体術と一言でいっても、徒手格闘から軽業士など実際の動きは様々。

 あれば便利なスキルではあるが、この動きが身についてしまうのはちょっと不安だ。




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