表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

74/124

闇に消える魔女

 ――あり得ぬねえ。


 “魔略” エナ・ファンケス・ミネストダイエは、自らが作ったレベル屋の中ですぐさま状況が変わった事を理解した。

 これは喜ばしい事か?

 半分はそうであり、もう半分は違う。


 “魔略”は全ての状況を正しく理解するスキル。

 自分の行動により状況はめまぐるしく変わるが、逆に何もしなければ世界は理解した通りに動く。

 それが今、(くつがえ)された。


 “絶懐不滅”のケニー・タヴォルド・アセッシェンが動く事は分かっていた。

 しかしそれでも、状況は変わらない。5分5分とかのギャンブル性は無い。見えた先は絶対の事実。

 ケニーはナンバー8である“不動”のサイネル・フィン・エトワルトとナンバー15、“千里眼”のビスタ―・フルヌ・ケラルドの2人を相手に奮戦。十分にその実力を発揮する。


 だが物事はそう簡単ではない。途中、第3勢力の介入により状況は一変。

 ケニーがサイネルと“それ”の相手をしている間に、ビスターの攻撃が自分を穿つ。

 それは変えられない。どうやっても生き残る術はない。


 誰を巻き込んでもそれは変わらない。幾万通りの道を辿っても、結局自分は死ぬ。

 ならば1人でも巻き込まぬよう、こうして最後に向けて心を落ち着けていたのだ。

 しかし――、


「良き事ではあるが、クヒヒヒ、少し腹立たしくもあるねえ」


 自分の“魔略”を覆すには、ユニークスキル自体が自分を上回らねばならない。

 ユニークスキルと呼ばれてはいるが、このスキルにランクは無い。あるのは強弱という”格”の違いだけ。

 王室特務隊の中では最下位であるナンバー18。だがそれは、あくまで総合力を考えての地位である。

 しかしそれは仕方がないだろう。彼女の真価は集団戦にあり、個人戦を重視する王室特務隊での評価はそんなものだ。


 ただユニークスキルに関しては、そうそう引けを取るものではない。

 ましてや単純な格を比べれば、これでも5位以内には入る。

 あの“絶懐不滅”のケニー相手ですら、ユニークスキルの格という点では“魔略”が上回る。だからその特性上、彼女が参戦した先までも読めてしまうのだ。


「クラム・サージェス・ルーベスノア……あの男が介入する未来は無かったねえ」


 そう――ならばあの男のユニークスキルが上回ったのか?

 おそらく違う。

 危機回避……確かに強力ではあるが、自分にはどこにどのように回避するかが分かる。

 つまりは自分の方が上なのだ。


「フヒヒ、誰かは知らぬが、借りを作ってしまったかね。まあ、これでも義理堅いのでねえ。必ずこの借りは返させてもらうよ。ヒヒヒヒヒ」


 自分を上回るユニークスキルによる行動は予測できない。

 見えないというのではない。それなら逆に消去法で簡単に分かる。いざその時、その瞬間、自分の予測に反した時、初めて理解できるのだ。相手の方が上であるのだと。

 それまでは、ごく自然な動きをしていると錯覚させられてしまう。

 それ故に、今回誰が動いたのかは不明。

 だがいずれ分かる日も来るだろう。

 当分、自分に死ぬ未来は訪れないのだから。


 黒き魔女は、その色と同じ様に闇の中へと消えて行った。



続きに興味を持って頂けましたら、是非ブックマークをお願いします。

評価はいつでも変えられますので、今の段階の感じを入れて頂けると嬉しいです。

↓↓↓

☆ ☆ ☆ ☆ ☆→★ ★ ★ ★ ★

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ