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第2話

「というわけで、婚約破棄されてしまいました!!」


「「はぁ~…」」


 満面の笑みでそう言葉を発するエレーナと、それを聞いてため息をつく二人の男の姿があった。


「第二王子に婚約破棄を受けた姿とは思えんな…。我が娘ながら、図太い神経をしておるわ…」


「エレーナは昔からこうなんですよねぇ…」


 一人はエレーナの父であるエディン、もう一人はエレーナの兄であるルークである。二人はやれやれといった表情で顔を見合わせた。


「代々続いてきた、女神の生まれ変わりと王子との婚約。それがまさか、こんなめちゃくちゃな形で終わりを迎えるとはな」


「それだけ自信があるという事では?女神などいなくとも自分たちはやっていけるのだと。…まぁ、ここまでこの王国が発展したのは間違いなく、女神の力ではあるわけですが」


 これまでの伝統を捨てる、といえば聞こえはいいものの、結局オレフィスの頭の中にあるのは、自分の欲望を満たしたいという感情のみだった。そうでもなければ、許嫁として関係を構築してきたエレーナの事を乱暴に、一方的に切り捨てることなど、ありえないからだ。


「それで父上、エレーナとの関係を無下にしたオレフィスの事は、どうされるおつもりで?」


「どうもしないさ。彼らは自ら女神の力を捨てたんだ。これから先どうなっていくかなんて、誰の目にも明らかだろう」


「それもそうですねぇ。エレーナの力無しで国を導いていけるというのなら、是非ともそれを見せて頂きたいものですし」


「エレーナよ、君もそう思うだろう??」


 エディンからそう声をかけられた時、エレーナはすでにさきほどまでいた場所にはいなかった。


「あ、あれ??エレーナはどこに??」


「エレーナなら、あそこに…」


 ルークの指さした先にいたエレーナは、なにやらアルバムをみつめながらよだれを垂らしている…。


「えへへへ~…。バラン伯爵様ぁ、これで私とあなたの婚約は確かなものに…!…ぁぁやばい、写真見てるだけでも心臓が吐き出そう…」


 細身で長身、それに整った顔立ち、それでいてまだ若く、おまけに伯爵位の貴族であるバランに、エレーナは心の底から心酔していた。それはもう周りがドン引きするレベルに…。


「うわぁ、またいつものエレーナに…」


「ええ…。本格的な病気が始まりましたねぇ…」


 とても女神の生まれ代わりとは思えないその残念な姿を見て、二人は再び頭を抱えるのだった…。

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