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2:修行を終えて

地上界と異世界バストォルナス大陸を繋ぐ謎の空間に、広く綺麗なシンクの一角が作られた。


全知全能の神様 ユリウスが作った即席の寿司専門学校。この世の寿司どころか全ての知識をインプットした神によるマンツーマン指導は‥‥地上の寿司屋の先輩からの"しごき"が馬鹿馬鹿しくなるほど優しく、しかも極めて効率的に行われた。


いざ板前の仕事をしてみると、確かに仕込みに時間がかかりはする。が頭を使う作業なんてものはない。中卒の多い寿司業界のチンパンジー同然の人間には難しいのだろうが。




"見て覚えろ""勘で分かってくる"なんて指導をしているから破綻しているのだ。例えばコノシロなら酢に漬けおく時間、塩の量。


穴子なら茹で時間。握りなら力加減や寿司の向きを変える手数など。全ての工程を数値化し、最適化すれば、憧れていた板前の仕事というものはこれほど簡単で馬鹿馬鹿しいものだったのかと拍子抜けする。



俺は有名大学の理系学科を中退しているので難なく平均的な寿司屋のメニュー全てを2週間で握れるようになった。




「ユリウス……2週間もありがとう!これで安心して向こうでもお店をやって行けそうだよ!」


「むん……まさか1年間も見習いをやらされてて一度も寿司を握ったことがないなんて……ま、全然良いわよ。私の気まぐれでやってるようなものだし。じゃあねナオ君。」


「ああ、良かったらユリウスも食べに来てくれよな!」



「私はバストォルナス大陸では信仰の対象よ。降臨しようものなら町中大騒ぎになるっての!……ま、気にならんわけじゃないし、お忍びで行こうかしら……」


彼女は少し口惜しそうな顔をしつつ光り輝く門に走っていく俺に手を振った。



「……あ、向こうのお魚や魔物って、人間界のそれとは少し違うのよね……ま、それもあの子が教えてくれるかな……貴方の噂が入ってくるのを楽しみにしてるわ。ナオ」



女神はそう言い、修行に使っていた厨房の一角を指パッチンの一つで吹き消すと、また地上の人間の観察に戻った。


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