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吸魔の包丁で植物の鑑定も可能です

 一通りの、猪の侵攻がおさまったところで、俺はシェルターを降り、そのままシェルター内で1泊した。

 そして異世界生活4日目。

 山積みになった猪の亡骸の前に、人だかりができていた。


「これだけの数、あなた一人で倒したのですか」


「はい。

 めちゃくちゃ時間かかりましたけど。

 これだけ倒せば、しばらくは村を襲ってこないでしょう。

 って、なるといいんですけど」


「いえ、これで十分です。

 本当にありがとうございました。

 今の我々に返せる恩はありませんでしょうか」


「あります!

 肉の解体を手伝ってください」


 それでは、村の皆様の力も借りまして・・・。


「解★体」






*****






 ここから多少グロテスクな内容を含みますので、皆さまは美しい森林の映像をお楽しみください






*****






 作業分担のおかげで、解体は思った以上に早く完了した。

 解体作業の時点で、やっとその猪がとんでもないバケモノだったことを理解した、俺。

 牙のデカさもさることながら、体の筋肉がすさまじい。

 前世に存在した、田畑荒らしとは訳が違う。

 そして、そんな魔獣のタックルを受けてもビクともしなかったシェルターは、やはりさすがの鉄壁性能である。

 村人が解体してくれた肉を、俺はシェルターの冷凍庫に運び。

 頭数は、明確でないが30匹程度。

 そこらの小隊の軍事備蓄程度の肉が集まったことになる。


 解体作業の慰労も兼ね、俺は猪肉をみんなに振る舞うことにした。

 村長に『小麦粉』をおねだりして。

 作るのは。

 猪肉のぶつ切りに、醤油と、すりおろした生姜を大量に投入して混ぜ、1時間寝かせ。

 そして、頂戴した小麦粉をまぶして、多めの油でカラッと揚げ焼きすれば!


「猪肉の唐揚げ!」


 この料理は、前回の狼肉の生姜焼き以上に子供たちを喜ばせることができた。

 俺も試食したが、生姜がいい感じにパンチになって、臭みも紛れ、肉は狼よりも比較的ジューシー。

 これなら、お店のメニューとして、出せないことはないだろう。






*****






 狼肉の生姜焼きパーティー、猪肉の唐揚げパーティーの連日開催で、多少村にも活気が戻ってきたように感じる。

 しかし、それは一時的なものであることを、俺は知っている。

 猪肉を無償提供することも考えたが。

 なんとか、この苦難を、自分たちの力で乗り越えて欲しい。


「旅のお方。

 行って、しまわれるのですね」


「いいえ、行きません」


「行かんのかい!」


 村長が老体を押してツッコミを入れてくれた。

 ここの、ジジイは、良いジジイ。


「今、村の食糧事情は困窮を極めていますよね。

 狩りにいける人間も負傷していると」


「その通りです」


「トレードしませんか?

 私が持つ、大量の猪肉と」


「今の私たちには、何も提示できる品物はありません。

 あなたは何を望むのですか?」


「木」






*****






 あれから一ヶ月。

 大量にあった猪肉の備蓄も底をつき始めたが、この頃には、負傷していた若いハンター達も現役復帰。

 自力で獣肉や野草を採取できるようになっていた。

 そこで俺も、一緒に森に入り、この世界での狩猟と採取の、その入り口だけを教えてもらうことができた。

 ここで、野草もゲット。


・野草:無毒、味★、特殊効果なし

 

 やはり、この包丁で、植物の鑑定もできることが判明した。

 そして嬉しいことはもう1つ。


・薬草:無毒、味★、回復効果(小)


 回復アイテム、ゲットである。

 この点、狩猟仲間から、『なんでこの草が薬草だと解ったんだ』と何度も問いかけられることになったのだった。


 狩猟から帰ってきた俺を待っていたのは、村人達。

 

「本日も上納品を持ってまいりました」


 そう言って、村人が差し出してくれたもの。

 それは『木材』だった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 村の人達に料理を振る舞いつつ、お店のメニュー開発も進めている!(笑) もらった木材で店の内装を整える作戦なのかな(*'ω'*) わらしべ長者スタイルが上手くいってますねー!
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