表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/187

肉の味は5段階評価です

 巨大鶏急接近。

 巨大も巨大。

 体長は、俺の身長よりも高い。

 肉付きの良い体。

 それでも飛翔できるのは、巨大な翼と腕の筋肉の恩恵であろう。

 白い羽毛が全身を覆う。

 前世で見た鶏と、同一視して良いものではない。

 赤いトサカも世紀末のモヒカンみたいに立派。

 そして最も危険視したいのが、くちばし

 鋭く、そして長い。

 この巨体が繰り出す『つつく』攻撃は、簡単に人間の体を貫通するだろう。

 『たいあたり』攻撃も、『はばたく』攻撃も、『空を飛ぶ』攻撃も。

 今の俺にとっては全て一撃必殺。

 ああ。

 これは・・・。


 ・・・


「鶏肉だーーーー!」


 恐怖を食欲が上回った。

 これだけ巨大ならば、数日分の鶏肉を入手できる。

 間違いなく、狼肉よりも美味である。

 絶対、『肉にする』。

 不敵な笑みがこぼれ落ちた。


 その鶏肉、急接近。

 もう至近距離。

 着地地点は、窓、シェルターの窓。

 これ、着地じゃなくて、着弾や。


 そして、やってくる衝撃。

 と思ったら、シェルターは衝撃吸収機能でもあるのか、耐震機能でもあるのか。

 巨大鶏肉のグライダースパイクを、完全無効化してみせた。


 巨大鶏肉は反動で吹っ飛び、ひっくり返り、もがいている。

 かなりのダメージを受けているはずだ。

 今のうちにシェルターの外に出て、包丁でトドメを刺そう。

 と、思った瞬間に、鶏肉は起き上がり、こっちをにらみつけた。


 さあ。

 この難敵、どう攻略する?






*****






 鶏肉は、庭にいた狼の肉、内臓のぶつ切りを、その長いくちばしを使って、丁寧に食べていた。

 その様子を、俺は、なごやかな気持ちで眺めていた。

 ペットみたい。

 まるまる太ってきやがったぜ。


 しかし、庭に放ったも肉塊も有限。

 いつかは食べ終わる。

 その次に食べられるのは、自分だ。


 しかし肉塊が時間稼ぎをしてくれたおかげで、戦略の構築が完了していた。

 俺は狼の肉を冷凍庫から回収して、解凍を済ませていた。

 臓器ではなく、脚のモモ部分。

 これを包丁に複数個さして。

 完成!

 バーベキュー串!


 そして、鶏の『外での』食事が完了した、それを確認し。

 そのタイミングで、俺は窓を全開に開けた。

 そして、窓からバーベキュー串(包丁)を外に突き出した。


「ほーれ、臓器よりもモモ肉の方が美味しいぞ」


 すぐに反応あり。

 もう、再び、なんか、目がイっちゃっている鶏肉。

 その焦点はモモ肉にしか合っていない。


 ・・・


「来た!」


 突進開始。

 窓に向けて、羽ばたき、跳躍の構え。

 そして、窓際寸前まで鶏肉が到達した時点で。

 俺は、後方退避!

 そのまま、鶏肉、飛翔。

 鶏肉の巨大な顔が窓から飛び込んでくる。

 食われる。


 本来なら、被食者。

 しかし窓のサッシも、これまた強化素材らしく。

 鶏肉の顔が窓に、完全に突き刺さったような状態になった。


「計画通り」


 いやらしい笑みが止まらない。

 鶏肉は、もがくも、顔が窓にめり込んで、まったく身動きを取れないでいる。

 俺は落ち着いて、包丁から狼のモモ肉を取り外し。

 そして。

 包丁を鶏肉の脳天に突き刺した。


 そのたった一撃で、鶏は咆哮ほうこうをあげ。

 そして動かなくなった。

 やはり、この包丁の攻撃力はすごい。

 鶏の顔を両手で押すと、自重で窓から滑り、地面に落下した。


「と・・・。

 鶏肉、ったどー!」


 それでは、


「解★体」






*****






 ここから多少グロテスクな内容を含みますので、皆さまは美しい湖と船の映像をお楽しみください






*****






 狼を20匹解体したことで、もう何も怖くない状態になっていた俺。

 解体は、スムーズに進んだ。

 そして同時に、くちばしや羽毛も素材として採取しておこうと考えた。

 可能な限り、捨てる部分を少なく。

 狼を倒したときは、まさか内臓をマキビシとして使うとは思っていなかった。

 今は少しでもアイテムが欲しい。


 前回と同じく、解体の途中で脳内に情報が流れてくる。


・肉質:無毒、味★★★★、特殊効果なし


「味、★4つだー!」


 鶏肉を冷凍庫に格納完了した時点で。

 レッツクッキング!


 今日の料理は、『鶏もも肉の照り焼き』。

 フライパンでこんがりきつね色になるまで焼いて。

 味付けは、しょうゆ+酒+みりん+砂糖、ちょっと胡椒。

 こいつらを絡めて焼けば、完成だ!


「ウメェ!」


 これぞ、文化的生活。

 これ食べたら、狼、食えなくなるな。


 ただ、1点わかったことがある。

 調味料は無限ではない。

 使った分減っていく。

 食材のみではなく、調味料も補充していく必要がある。

 まあ、天使さんが多めに初期配備してくれているので、まだ当分大丈夫そうだが。


 そして、満腹になった時点で、改めて、思ったのでした。


「ああ、米、食べたい」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー cont_access.php?citi_cont_id=280491855&s
― 新着の感想 ―
[良い点] なんとか鶏肉ゲット!おめでとう!٩(*'ω'*)۶ 『鶏もも肉の照り焼き』私も大好きですー! お米の調達はかなり難しいような気が……農村とか街を探さないといけないかも……。そもそもこの世…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ