経験値はトドメを刺した人に入ります
極太の光の槍。
射出されたソレは、ドラゴンを狙い澄ます。
厳密には、右肩の翼の付け根、そこをピンポイントで。
<<ギャア、アゥゥーーーーーーーーーン>>
ドラゴンが咆哮を上げるのと、右翼が吹き飛ばされるのが同時。
バランスを崩し。
翼なき翼竜は。
そのまま垂直落下。
その。
落下地点。
推測するに。
シェルターの真上!!
<<ダーーーーーーーーーーーーーン!!>>
「降ってきた!
竜、降ってきた!!」
窓から、シェルター天井の様子を、可能な限り覗こうとする。
でも、やはりそれは難しく。
俺は窓を開けて、身を乗り出して、上方確認しようとする。
その瞬間。
天空が真っ暗になり、反射的に身を引く。
そして、窓の外を。
肉塊が落下していった。
<<バン!!>>
肉塊落下地点。
明らかに、その位置でない場所から物音がして。
戦慄。
混乱。
すぐに、その音がした方向を向く。
天使、いる。
ミエルさん?
「出てきなさい!」
シェルターの扉は、全開まで開かれている。
そんな無防備な状態に。
味方自らが、仕立てている、ということで。
「トドメ、刺せ!」
「イヤァァァァァァァァァァァ!!」
「時間がない!
早く来て!!」
その瞬間、感じた、わずかな『動き』。
それは窓の外。
扉の外、ではなく、窓の外。
『ドラゴン、起き上がろうとしている』。
つまり。
それは。
ミエルさんが。
危ない、ということで。
自然と。
刀を握る手に、力が込められたのだった。
「どいてください、ミエルさん!」
「オーケー!」
俺は、ドヤ顔のミエルさんを押しのけるように、シェルターを飛び出す。
「シェルタークローズ!」
シェルターを収納。
そして、無我夢中で、ドラゴンルーラー、その紫色の巨体。
わずかに地面から浮いた、その頭部に。
「やーーーーーーー!」
吸魔の包丁で一閃。
全力で、振り抜いた!
手応えあり!
その瞬間。
「ステータス確認!!」
・Lv:26
・HP:200/200
・MP:100/105
・FAT:116(+120)
・FDF:114(+80)
・MAT:120(+30)
・MDF:116(+140)
「はは。
嫌な予感が、当たりましたね」
「タドル!
逃げて!」
あまり、恐怖感が生まれなかったのは。
事前の予測が当たったことによる、『ホレミタコトカ感』のオカゲであり。
結果として、足が竦むことなく。
脳内の司令通りに、俺の脚は。
軽やかなる、バックスステップを生み出した。
「シェルター・オープン!!」
相手の左腕、剛腕が振るわれるのと、シェルターが生み出されるのが同時。
<<ガゥーーーーーーーーーーン!!>>
矛と盾の対決、やはり盾の勝ち。
左腕は反動で弾き飛ばされる。
「シェルター・クローズ!!」
その宣言で、再び。
2体の間を隔てるものは存在しなくなり。
俺は。
再び。
勇気を持って。
その一歩を、踏み出したのだ!
「いっけーーーーーーーーーーー!」
『可能な限り、奥まで届け!』
そんな祈りを込めた『突き』が。
相手の脳天に突き刺さった。
手応えあり!
その瞬間。
「ステータス確認!!」
・Lv:58
・HP:392/392
・MP:176/201
・FAT:244(+120)
・FDF:242(+80)
・MAT:248(+30)
・MDF:244(+140)
「ド・・・。
ドラゴンルーラー!
獲ったどー!!!!」