この世界にはまだPVCはありません
この流れで俺は、再度ブレストを行うことにしました。
テーマは、『喫茶店(2階、地下室含む)に置きたいもの』。
では、開始です:
*****
ここから俺がブレストを行いますので、皆さまはエポキシ樹脂の構造式の映像をお楽しみください
*****
さて、結果です:
[急務]
・酒類用陳列棚
[通常枠]
・ハンガーとハンガーラック
・工具類
・見せる工具収納棚
・ソファー(ポリンク家具屋)
・バーカウンター@地下室
・バーチェア@地下室
・カーテン(ポリンク家具屋)
・アンティーク時計
・もみじ(観賞用)
・多肉植物・サボテン
・熱帯魚水槽
・テラリウム
・鉄骨
・縦型マガジンラック
・折り畳み式マガジンラック
・メタルサービングカート
・革製旅行カバン
・道路標識(に店名のROOTと書いたもの)
・ハンギングチェア
・ペッパーミル
・車輪(観賞用)
・ラダー
・ライティングレール+多連スポットライト
・円筒型ストーブ
・アイアンボックスチェスト
・人をダメにする巨大クッション
・アメリカ国旗柄のクッション
・マネキン+(オシャレ男服 OR ウェイトレス衣装)
・観葉植物を移動するためのキャスター付きプレート
・ミシン(観賞用)
・洋風電話ボックス(観賞用)
・ベッドサイドテーブル
・切り株スツール
・砂時計
[夢枠]
・美少女フィギュア
・タイプライター
・レコードプレイヤー
・炭酸製造機
・トースター
・電子レンジ
・ピザ窯
・表計算ソフト
*****
ここから俺が考察を行いますので、皆さまはポリ塩化ビニル(PVC)の構造式の映像をお楽しみください
*****
「ミエルさん、すみません。
質問があります」
「何?」
「この世界に、『エポキシパテ』はありますか?」
「ない」
「この世界に、『ポリ塩化ビニル』はありますか?」
「ない」
「この世界に、『3Dプリンター』はありますか?」
「ない」
「ありがとうございます」
「殴っていい?」
*****
ミエルさんへの質問が終わり、2階から地下室に戻ってきました。
俺は思いました。
「美少女フィギュア、作れるんじゃね?」
そう考えた瞬間。
アリサさんとの勝負のことは、すっかり頭から消滅してしまっていました。
しかし、『エポキシパテ』、『ポリ塩化ビニル』、『3Dプリンター』は、まだこの世界には存在しません。
しかし、あいつならば存在するでしょう。
「粘土!」
*****
再び天使へ謁見し、ポリンクへ転送してもらう。
この街には美術品も多くそろう。
最も多いのは絵画だが、彫刻や陶器も多く販売されている。
その中で、俺は。
前から目を付けていた、1人の芸術家の露店へと向かった。
「あなたの作品に使われている材料はなんですか?」
「石膏と、石粉粘土です」
石膏像は、他の露店にも、多々ある。
しかし、この店には、サイズ小さめで緻密な人形が売っていた。
しかも、着色まで施してある。
ネズミ、ネコ、うさぎ、カエル、小鳥。
デフォルメされて、激かわ。
この人なら、できる。
緑色の髪を結っており、右目が髪で隠れている。
胸元には大きな鏡をぶら下げていて。
何より、なぜか左の乳首を露出している。
たぶん。
変な人だ。
しかし。
その方が、都合がいい。
「紙を使う粘土は、ひび割れが起きやすい。
石粉粘土なら、その点、改善できる。
塗装も、他の作家に比べて精巧、緻密。
素晴らしいです」
「お前、詳しいな」
「このうさぎの人形を売ってください」
「7,000Gだ」
「買います」
「羽振りがいい客だな」
「人間の人形は作れないですか?」
「作れない」
「何故ですか?」
「何度も、何度も挑戦した。
しかし、俺が納得いく人形は、完成しなかった。
そして、俺が作りたいという、モチーフとなる人間。
その存在に、出会えていない」
「なるほど。
つまり、美人を連れてくればいいんですね」
*****
「美しい・・・」
「何、コイツ。
変態なの?」
ということで、ミエルさんを連れてきました。
相当面倒くさそうでしたが、土下座して頼みました。
間もなく。
芸術家の男は、紙と鉛筆を取り出して、ミエルさんをスケッチしだした。
圧倒的な速度で動く鉛筆。
「帰っていい?」
「うさぎの人形、プレゼントしますから。
今はじっとしていてください」
「人形に興味はないわ。
ヒーリングラビットの肉塊を持ってきなさい」
「そういえば、ヒーリングラビット狩りにも行かないとですね。
近日中に献上いたしますので、今は描かれてください」
「描くと、どうなるの?」
「2次元が、3次元になります」
「終わったぞ!
見える!
見える!
見える!」
「私の名前を連呼しないで。
本当に気持ち悪い」
「いいぞ。
もっと罵ってくれ」
その瞬間、ミエルさんが光魔法を収束する気配を感じたので。
俺はすぐにそれをなだめた。
今はまだ、この人に死なれたら困る。
「『完成形』が見えるのだ。
今まで見えなかった、俺が納得いくというゴール。
そこまでの道のり、つまりは手段が!
礼を言う。
エプロンの男。
そして、美しき女性」
と言うと。
男はミエルさんの両手をつかもうとした。
が、うまく回避され。
強烈な下段蹴りをお見舞いされた。
男は倒れこんだが。
なんか笑っていた。
ご褒美!
ブックマーク、感想、いいね。
是非、よろしくお願いします!




