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シャンパンはまだこの世界には存在しません

 次の日。

 俺とヒヨリちゃんは、レッドドラゴンソファーに座って、会議に入ります。

 そして、その結果が以下のように表現されました:


 ・ハッシュドビーフwithライス 1150G

 ・オムライス 750G

 ・デミグラスオムライス 1150G


 『ハッシュドビーフwithライス』って長いので、以下ではハヤシライスと呼びます。

 じゃあ最初からハヤシライスって書けばいいじゃんと思うと思いますが、なんか高級感を出したかったのでこうなりました。

 実際、値段もROOT史上最高値。


 デミグラスオムライスは、オムライスにデミグラスソースをかけたものですが、400Gも値段が異なります。

 オムライスは、ケチャップをかけたものです。

 それほどに、デミグラスソースには手間隙と材料費が掛かっています。

 そして次に、ハヤシライスとデミグラスオムライスが同じ値段である理由です。

 ハッシュドビーフは、牛肉の細切れと玉ねぎ、そしてマッシュルームを炒めたものに、デミグラスソースをかけます。

 この牛肉の細切れが高いのです。


 これだけ値段が高くてちゃんと売れるのか、心配ですが。

 もう、やりたかったから、よし!


 ヒヨリちゃんは、仕込み、調理の段取りまで共有済み。

 あとは明日の営業を待つだけです。






*****






「人力☆所持金タイムラインスキル、実行!」


・前回残金 [154,500G]

・ブラックボードx2+チョーク:4,000G [150,500G]

・店舗レンタル代:100,000G [250,500G]

・木刀x2:4,000G [246,500G]

・食材費、酒代:50,000G [196,500G]


 ついに、食材費が、酒代を合わせて5万Gを越えました。

 前回の営業の残りの食材が多々あるのですが、ここからは備蓄多目でやっていきたいと思います。

 いつ、総攻撃が始まるかわからないので。


 オークラ、ガンダル、カパプーを巡る買い物旅行もなんとか終わり。

 日が暮れる前に、拠点であるガンダル東門前まで戻ってこれました。

 ヒヨリちゃんも大層お疲れのようで。

 『ギルドの依頼より大変だった』とか言ってました。

 そして当然、ミエルさんはソシャゲ様とたわむれられており。

 これは、給料に格差をつけるべきだな、と思いました。


 さて、ホームベースに帰ってきた俺ですが。

 今回、2つの新しいアイテムをゲットしました。

 1つは、『白ワイン』です。

 これは特に説明の必要もないように思います。

 そしてもうひとつが『カシス酒』です。

 カシスと言えば、『カシスオレンジ』というリキュールが有名ですが、アリサさんいわく、これには『クレーム・ド・カシス』というリキュールが必要で、これはまだこの世界には存在しない、とのことでした。

  今回のカシス酒は、この代用品です。

  この結果、以下のドリンクメニューが追加できます:


 ・白ワイン 500G

 ・キール 500G

 ・カシスオレンジ 500G


 キールは、カシス酒と白ワインを混ぜたものです。

 赤ワインとは異なる、透き通った赤色になります。

 カシスオレンジは、本来はクレーム・ド・カシスとオレンジジュースを混ぜたものですが、今回はカシス酒のアルコール度数が低いので、『カシス酒+米焼酎+オレンジ果汁』の式で作成しています。


 ここで改めて、すべてのドリンクメニューをおさらいします:


・白ワイン : 白

・モスコミュール : 薄黄色

・ソルティードック : 橙黄

・スクリュードライバー : 橙

・カシスオレンジ : 赤橙

・キール : 赤

・赤ワイン : 赤紫

・ウィスキー : 黄色

・米焼酎 : 透明

・ビール : 黄金色


 今回のカシスベースカクテルによって、赤系カクテルが開放され、色合いも豊かになりました。

 本来は緑とか青とかのカクテルがあれば面白いのですが。

 個人的には大満足で、夕暮れとなったのでした。






*****






 新カクテルの『キール』を、ミエルさんとヒヨリちゃんに提供すると、両方から良い反応を得ることができました。

 どうやら、ミエルさんは甘い系のお酒が好きなようです。


 今日のミエルさんは、ソシャゲをしていませんでした。

 夕食後、俺の顔を見つめ、俺から声を掛けるのを待っているように感じました。

 そして、彼女は、話を切り出しました。


「私は、ベリアルとの戦いには参加しないわ。

 あくまで、人間の力だけで勝利をつかんでもらう。

 天使は干渉しない。

 そういう、取り決めなのよ」


 彼女の青色の瞳。

 本当に久しぶりに、それをマジマジと見つめることができた。

 その表情から俺は、ほんのわずかな『悲しみ』の感情を読み取った。

 天使には天使の事情がある。


「わかりました」


「意外にあっさりね」


「いつまでも、ミエルさんの力を借り続けることはできません。

 それは最初から、わかっていました」


 わかれ、か・・・。


 それがふと脳内をよぎって。


「次の職場は、有給が取れる場所だといいですね」


 セツナサをかき消すようにして生まれたのは、そんな言葉だった。

 彼女に認められる。

 そんな喫茶店を。

 いつまでも、追い求めたい。

 そう。

 いつまでも。

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