同盟とは利害の一致などで勢力同士が協力を約束することです
国王とリズさんは大満足で帰って行きました。
俺の首が飛ぶ事案にはなりませんでしたが、面倒事は多々残りました。
俺は、今まで国王が座っていたドラゴンルーラーソファーにドカリと腰掛け、天を仰ぎました。
コンクリートの天井。
そこに到達せんほどの強いため息を吐き。
10秒ほど静止。
その後正面を向くと、目の前に紫色の髪のニヤニヤした顔の女性が座っていました。
あんた、帰ってなかったんかい。
「面白いことになりましたね」
「楽しそうですね」
「さて、ここで問題です。
私、ミーティアは、なぜ、この場所に残ったのでしょうか?」
「ピンポン!
アリサさんの料理の残りが食べたかったから!」
「正解!
10万G、差し上げます!」
そう言って、ミーティアさんは、本当に10万Gをバッグから取り出して、テーブルの上に配置した。
「なるほど。
この場所のレンタル料ですか」
「そういうことです。
不満ですか?」
「いいえ。
一日、10万もらえて文句は言いません。
まあ、今回は。
『命を危険にさらせ』という命令がオプションで付いてきたので。
ソレを考えると安く感じますが」
「当然、魔王軍との戦争で手柄を上げれば、報酬はこんなモノではないでしょう。
まあ、ソレを支払うのはギルドではないですけどねー」
ここまでで要件は終わったのか。
ミーティアさんは腰を上げて、振り返り。
1歩扉の方へ、歩いた。
と思ったら立ち止まり。
こんな一言を残したのだった。
「私も、守りますよ、店長さん。
このお店、好きなので」
*****
ミーティアさんは帰って行きました。
テーブルの上には10万Gが残りました。
俺は、再び、ドラゴンルーラーソファーにドカリと腰掛け、天を仰ぎました。
コンクリートの天井。
そこに到達せんほどの強いため息を吐き。
10秒ほど静止。
その後正面を向くと、目の前に黒色の鎧のニヤニヤした顔の男性が座っていました。
あんたも、帰ってなかったんかい。
「面倒なことになったな」
「せやな」
「バルタン国王様は、本当に強い。
そんな彼でも、ベリアル軍を止められていない。
リズやアリサの実力は俺にはわからないが。
お前には、時が来るまでに、可能な限りのことをしておいてほしい。
・・・。
すまんな」
「ダルトさんが謝る必要はありません。
俺も腹はくくっています。
バルタンの次はポリンクとガンダル。
俺はこの2都市を失いたくはありません。
ポリンクは芸術の街。
喫茶店経営者として、心打たれるアイテムが多々あります。
俺の時計を奪おうとするヤツは、絶対に許しません」
「時計、はよくわからんが。
俺もガンダルには知人がたくさんいる。
俺にも、戦う理由はある」
このタイミングで、ヒヨリちゃんがコーヒーを2杯いれてくれた。
俺と、ダルトさんは。
ゆっくりと、飲みほしていく。
・・・
できることから。
少しづつ。
「ダルトさん、では早速。
剣術の稽古をお願いいたします!」
「任せろ!」
*****
西の山が茜色に染まる頃。
俺、満身創痍。
そして、大声で叫んだ。
「急務!
回復魔法!」
鈍痛、鈍痛。
鈍痛、鈍痛。
「想像よりは、良い太刀筋だったぞ。
まあ、だが、しかし、ここからだな」
ほぼ日課であった剣術の自主練習の結果発表会となった今しがた。
個人的には不満が多く残る結果であった。
ダルトさんに一撃も当てることはできなかった。
当然、魔法やスキルの使用は禁止。
使用武器は木刀である。
嗚呼・・・。
「悲観はするな。
前を見ろ。
お前を俺が、絶対に侍にする。
俺を信じろ。
信じて寝ろ」
そんなことを言って、ダルトさんは笑った。
つられて俺も笑ってしまう。
横からやってくる太陽光を体いっぱいに浴びて。
さてさて。
俺は、今の俺の仕事をしよう。
『剣術の稽古をつける代わりに、飲み食いさせる』という約束を、しっかり果たすのだ。
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「デミグラスソースオムライスです」
ついに、これが、本お披露目となります。
4人掛けのテーブルに並べられた4つのオムライス。
デミグラスソースがたっぷりかけられたオムライス。
その卵はフワフワに仕上がっています。
今回、席に座るのは以下の4人。
・ヒヨリ師匠
・アリサ師匠
・ダルト師匠
・ライザさん
気づけば。
俺の師匠は3人にまで増えていました。
まあ、ミエルさんもある意味師匠なのかもしれませんが。
そんなたくさんの師匠に支えられ、ここまでくることができました。
ライザさんがこの場にいる理由ですが。
先ほど、ライザさんから直々に、
・総攻撃の際は私も出動して助ける
・私の転生特典はそこでお披露目
という2つの言葉をもらいました。
心強い。
ちなみにミエルさんは、『国王が食べた料理の残りをいっぱい食べたから、もう食えん』とか言ってました。
たいそうおいしかったそうです。
このまま料理に釣られて、アリサ陣営に寝返ったりしないでね。
今回は4人中、3人が合格の札を挙げたら、合格、正式メニュー化となります。
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ここから多少メシテロな内容を含みますので、皆さまはバルタン国王の大胸筋の映像をお楽しみください
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結果は、
・ヒヨリ師匠 : 合格
・アリサ師匠 : まあ合格
・ダルト師匠 : 合格
・ライザさん : 合格
「デミグラスソースオムライス!
正式メニュー化、決定しました!!」