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ユニークスキル『イビルアイ』はカテゴリ的には『守護獣』に属します

 洞窟をさらに進むと、意外に簡単に2体、ミッドデーモンが見つかった。

 1匹はサブロウが出撃し、見事勝利を収めた。

 もう1体は俺が担当。

 敵の闇魔術をドームシールドで完全防御したあと。

 ライトニングブレスをお見舞い。

 吸魔の包丁でトドメを刺す。

 同時に脳内にアナウンスが流れる。


・肉質:無毒、味★、生臭い、補助効果なし


 期待していた闇魔術ラーニングは成らず。

 デーモン属の肉には、特殊効果がないみたいだ、残念。


 これで試験は合格なはず。

 俺はダルトさんの顔色をうかがう。


「帰るまでが遠足だ」


 ダルトさんは硬い表情のまま。

 最後まで油断はするな。

 そんな忠告を受け取った。


「また、です。

 サブロウが震えてます」


 サブロウの振動は、強敵、危機的状況の発生を意味する。

 しかし、ここまでの道中の敵は、全て倒してきた、はずだ。

 帰路の安全は、あらかじめ確保している。


「メイアさん、お願いできますか?」


「仕方ないわね」


 そう言って、メイアさんはイビルアイを、来た道の方向に飛ばしてくれた。

 俺は、逆方向、進行方向をにらみつける。

 ただし、この方向には危険はない。

 漠然とそう感じていた。

 何かあるとすれば、帰路の方だ。


「なんで!!」


 メイアさん叫ぶ。


「何が、いたんですか?」


 メイアさんが瞳を開く。

 すると、イビルアイのお団子が、頭から生えてきた。

 どうやら、目を開けるとイビルアイが消滅してしまう仕様なのだろう。

 そして、メイアさんは、全員を見つめ、発言する。


「エヴィルデーモンよ」


「馬鹿な!

 エヴィルデーモンはSランク級の魔物だぞ!

 こんな場所に生息するなんて聞いたことがない」


「Sランク!?」


「しかも、なんでここに現れたんだ?

 道中の敵は片付けたはずだ」


 ダルトさんが困惑していることから考えて。

 相手が相当凶悪な相手であることが理解できる。

 強力な守護獣サブロウでも、勝てるかどうか不明だ。


「分かれ道よ。

 途中の分かれ道を通過したあと。

 逆の道から敵がやってきた。

 そういうことでしょう。

 あと、敵はこちらに向かってきているわ。

 この場所で待機してやり過ごす案は使えないわね」


「そんなにヤバいやつなんですか?」


「勝てないことはない。

 が、ヤツは呪術を使う。

 これを喰らうとステータス異常と状態異常を引き起こし。

 しかも、教会でしか治癒してもらえない。

 治療もうまくいって完治するか不明だ。

 全員が呪い状態になれば、最悪、全滅もあり得る」


「どうしましょう・・・」


「俺が出る。

 まあ、任せろ。

 俺の異能を見せてやるよ」


 ダルトさんが前に出る。

 ダルトさんはAランクの冒険者だ。

 きっと、なんとかしてくれるだろう。

 が、しかし。


「待ってください。

 俺に作戦があります」


「ほう、それはなんだ?」


「メイアさん」


「私?

 私に何かさせるの?」


「はい。

 では、このお肉を食べてください」






*****






 エヴィルデーモンが目前までやってきた。

 黒い体、それが赤いオーラを放ち、目も赤く発光している。

 醸し出す禍々まがまがしいオーラで、気分を害し。

 圧倒的なプレッシャーを感じる。

 ような、感じないような。


 今俺たちは、全員、シェルターの中にいる。

 この中にいれば安心だ。

 当然、外に出れば、待ているのは死。


 なので、俺たちはここから出ない。

 出るのは1匹だけ。


「イビルアイ!」


 メイアさんが目を閉じると、イビルアイが飛び立つ。

 そして、窓から外へ出て。

 俺は、すぐに窓を閉める。


 シェルターの外には、エヴィルデーモンとイビルアイ2体のみ。

 なんかこれ、『○ンスター○ァーム』みたい!


 そして。

 先行はイビルアイ。

 イビルアイの目からビームが発射され。

 エヴィルデーモンの体を焼いた。


 デーモンはすぐに炎の魔法で反撃するが。

 イビルアイは高速移動可能。

 軽々と回避する。


 そして、ここから。

 イビルアイはビームを、立て続けにヒットさせていった。

 その様子を窓からコーヒーを飲みながら、みんなでながめました。


「なんか、ドローン vs ゴジラ、みたい」


「ふざけたこと言わないで。

 集中力、切れる!」


「メイアさん、がんばってください」


「鳩サブレもうるさい!」


 俺の作戦とは、つまり。

 『メイアさんがスフィンクスブルの肉食べたら、イビルアイ、ビーム出せるんじゃね?』

 というものである。


 これが現状、うまくハマっている。

 MP切れになったら、シェルター内で待機し。

 イビルアイが倒されても、一定時間で、再び復活可能とのことだった。






*****






「これだけ削れば、大丈夫だろう。

 タドル、お前、トドメさせ」


「ぶえっ!?」


 ダルトさんの提案に、コーヒーが気管に入りそうになる。

 確かに、相手は満身創痍だ。

 ダルトさんは、すでにシェルターの入り口に手を掛けている。


「オラ、イクゾォ!」


 俺はコーヒーを飲み干して、刀を鞘から抜く。

 そして、ダルトさんに続いて、シェルターを出る。


 シェルターという防壁がなくなると、相手の放つ禍々まがまがしい凶悪なオーラで、後退あとずさりしそうになる。

 本能的に、ダルトさんの後ろに隠れる形になってしまった。

 が。


「それでいい。

 俺の後ろに隠れていろ。

 今から。

 俺の異能を見せる」


 敵の目が、強く光り。

 炎の魔法が収束される。

 それは、俺が見たこともない大きさの火球になった。

 ヤバい。

 死ぬ!


「オーラシールド!」


 火球が発射されるのと、ダルトさんが叫ぶのが同時。

 俺が盾にしているダルトさんの前で大爆発が起きる。

 しかし、熱は俺まで到達してない。


「巨大な盾だ!」


 ダルトさんの前方には、巨大な光る盾が生み出されていた。

 そして爆炎がおさまると同時に。

 俺の腕を引っ張って、前方に押し出した。


「オラ!

 行ってこい!」


 俺は、刀を構える。

 爆風で起こされた砂塵のなかを進み。

 エヴィルデーモンさんと、こんにちわ!


「いっけーーーーーー!」


 そして、渾身の袈裟斬けさぎりをお見舞いしたのだった。

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