宣伝は大事です
次の日。
ガンダルの街を歩く男共の目が、ブラウンのエプロンドレスの2人の美女に釘付けになる。
その美女に挟まれた俺は。
大きな白の布地に、棒を取り付けた。
簡易的なノボリを高く掲げ。
ノボリに書かれた内容を、大声で繰り返した。
「喫茶店ROOT、ガンダル東門前に開店!」
本来はチラシ配りまでやりたかったが。
紙やインク代が高いので、諦め。
が、しかし。
1枚だけチラシは作成したので。
これをこの街で、最も目につく場所に張らせてもらう計画であり。
今、我がタドル軍は。
その場所に向かって侵攻中なのであります。
*****
やって来たのは、ガンダルの冒険者ギルド、兼酒場。
ここの依頼掲示板の隣に、汎用の掲示板が存在するのだ。
その掲示板は、もうパンパンの状態で。
探し人や、店の宣伝、求人などなど。
様々な目的の用紙が、乱雑に貼られていた。
俺は、自作の宣伝用紙を掲示板にあてがい、画ビョウを使って固定した。
が。
「お隣、失礼」
その直後、俺の貼った用紙の隣に。
ほぼ同一サイズの用紙が張り出された。
俺は無意識に、その用紙に書かれた内容を声に出す。
「レストランMILK FARM、ガンダル東門前に開店」
左を向くと、いやらしい笑みをたたえた茶色のポニーテール。
こいつも!
店を動かして来やがった!
「あらあら。
あなたも開店場所を変えるのね。
でも、それは好都合。
前回の開店ポイントより、ガンダルの方がお金持ちが多いわ。
前回、私が敗北した最大の要因はコレよ。
コスパ重視のあなたたちに、勝ち目はないと知りなさい!」
「おねぇさまのおっしゃる通りです」
アリサさんの隣には。
黒髪分身少女と、青髪お団子のメイア嬢。
黒のウェイトレス衣装の2人が付き従う。
メイア嬢は、俺が作ったのと形状はほぼ同じ、しかし、しっかりした作りのノボリを持っている。
ちなみに今俺のノボリはヒヨリちゃんが持ってくれていて。
風林火山 vs 毘沙門天。
運動会さながらのにらみ合い。
いざ、騎馬戦で勝負!
そんな、前世の記憶が思い出されたのだった。
*****
敵も策を巡らせ、宣伝活動まで本気でやっていることを理解した。
俺も、ここから。
最後の足掻きに出るとしよう。
ヒヨリちゃんには、ノボリと一緒にギルドの前に残ってもらい。
ミエルさんには、ガンダル東門前に展開中の喫茶店前の街路にて。
各々、宣伝活動を行ってもらうことにした。
ヒヨリちゃんはわかるとして。
ミエルさんも、文句のひとつも言わずに従ってくれたのは、相当意外であったが。
それほどに彼女も、アリサさんには負けたくないのだろう。
そんな考えが浮かんだ。
一方、俺は今、喫茶店内、ドラゴンルーラーソファーに座っている。
目の前には白紙の用紙、2枚。
久々のブレインストーミング。
その内容は:
・居酒屋メニューといえば?
・バーのつまみのメニューといえば?
酒の入手先、および購入予定の酒の種類は既に決めている。
具体的には:
・ビール
・米焼酎
・ウィスキー
・赤ワイン
以上4種である。
本来は、カクテルにも手を出したかったが。
『炭酸』が、現状では入手不能であること。
また、俺がカクテルの知識に乏しいことから断念した。
今回の4種は、日本的な米焼酎から、洋風なウィスキー、ワイン。
そしてオールラウンダーなビールと。
適応する料理の幅は、大変広くなる。
そこでまずは、否定の心を捨てて、思いつくままに。
『おつまみ』を列挙しようと思います。
では、スタート!
*****
ここから俺がブレストに入りますので、皆さまは宣伝活動中、さぼってソシャゲをする天使の映像をお楽しみください
*****
それでは結果です:
【居酒屋メニュー】
・枝豆
・冷奴
・たこわさ
・鶏モモ串タレ味
・砂肝
・鳥レバー
・鳥つくね
・豚バラ
・牛サガリ
・地鶏の炭火焼き
・刺身(刺身醤油)
・ごま鯖
・馬刺し
・生野菜サラダ
・ポテトサラダ
・ゴーヤチャンプル
・豚角煮
・レバニラ炒め
・牛すじ煮込み
・もつ鍋
・鳥もも唐揚げ
・鳥軟骨唐揚げ
・イカフライ
・カキフライ
・餃子
・おでん
・とん平焼き
・山芋鉄板
・だし巻き卵
【バーメニュー】
・ナッツ
・チーズ
・生ハム
・サラミ
・カプレーゼ
・カナッペ
・ピザ
・アヒージョ
・フライドポテト
・ポテトチップス