ユニークスキル『高速移動』は移動速度が向上するのみでなく、移動の体力的負荷も大きく軽減されます
以上の結果を持って、皆様はどのような感想をお持ちになるでしょうか。
ここで、まずは。
以下の2種類のまとめ方をしたデータをご覧下さい:
41日目→計:25,250G [来客38人]
42日目→計:13,300G [来客25人]
43日目→計:9,700G [来客20人]
44日目→計:8,450G [来客19人]
45日目→計:23,050G [来客41人]
第7シーズン:91,650G [来客154人、従業員3人]
第8シーズン:128,350G [来客215人、従業員4人]
第9シーズン:79,750G [来客144人、従業員3人]
まずは結論を述べます。
想定よりも売り上げは減りませんでした。
正直、もっと悲観していました。
それほどに、過去に食べたMILK FALMの料理はおいしかったのです。
シーズン累積売り上げは下がり、一時、1日の来客数は19人まで落ち込みました。
従業員数が減ったので、売り上げが落ちるのは当然。
それを含めても、第7シーズンより売り上げが下がっているのは、楽観視できません。
「でも、45日目の売り上げは伸びたんだよなー」
ここからは詳細な考察に移ります:
・初日の売上は十分でしたが
・そこから徐々に売上が落ちました
・みんな様子を見ていた1日目
・しかし、2日目以降は、MILK FALMへ入店するお客が増えていったのです
・こうなれば、口コミで、彼女の実力が伝わるのは必至です
・特に、人気があった『イチゴサンド』の売上が落ちていきました
・理由は、競合が『ショートケーキ』を販売していたからだと考えます
・これは1号店でも人気の商品でした
・同時に、定食、特に敵社MFでも販売しているハンバーグやスパゲッティ類の売上も落ちました
・覚悟はしていましたが、やはり現実として表面化すると、痛みが走ります
が、しかし:
・からあげ定食やチキン南蛮定食は売上を残しました
・さらに、ドリンク単品、新メニューのエビカツサンドもがんばりました
・総じて、単価の安いメニューで大きく売上を伸ばしたという分析です
・ハンバーグなども、MFより安価、かつボリュームが大きいです
・一旦MFが気になって移ろった顧客が、また帰ってきたという考えもあります
・『やっぱり、ここの家具が最高』という、最高の賛辞もいただけました
・この辺りが差別化を生み、45日目の売上につながったと思います
最後に一言:
・残った食材も、冷蔵庫&冷凍庫のおかげで、廃棄にする量が少なくすむのです
最終日の復調のおかげで、希望を持ったまま次回の営業を迎えられそうです。
お疲れ様でした。
「すみません、ミエルさん、ヒヨリちゃん。
今回のお給金は10,000Gで勘弁してください。
次回、もっとがんばりますので」
「構いませんよー。
ありがたくいただきます」
「金額の件はいいけれど。
がんばるって、どうがんばるのよ」
「ぐぬっ・・・。
えーっとですね・・・。
・・・。
まず。
次回営業までに、喫茶店を完成させます。
一応」
「完成ですか!?」
「今存在する木製の簡易家具を、全て更新します。
これで、喫茶店として、最低限欲しかった家具が揃います。
俺は、内装で勝負したい。
相手はレストラン、俺たちは喫茶店です。
顧客の要求は、若干異なります。
旅の途中で。
仕事の後で。
ゆったりとくつろげる。
そんな場所を作りたいんです。
それが、俺の夢です。
すでに実現している、俺の夢です」
俺はヒヨリちゃんとミエルさんの中間の空間を見つめながら。
ゆっくりと語り。
ヒヨリちゃんが笑ってくれたのを確認したのち。
ミエルさんと向き合った。
ミエルさんは、ゆっくりと息を吐き。
そして、以下のように述べた。
「私、負けず嫌いなの。
アリサ・サカガミ。
このままじゃ、小娘に負けたままになるのよ。
だから。
だから私は。
あなたの尻を叩くわ」
「嗚呼。
今日からも、忙しく、忙しない、日々が続くのですね」
「そうですねー。
ふふふ」
ヒヨリちゃんが笑い声を零した。
ミエルさんも笑みを見せてくれている。
「これからも、2人とも。
本当に。
よろしくお願いします!」
<<ダギャン!!>>
その瞬間。
俺の店の扉が開かれ。
大量の夕日とともに。
最高のライバル様が登場した。
無言。
威圧感を放ちながら。
ずんずんとこちらに近づいてくる。
そして、俺の眼前まで来ると。
用件を述べた。
「営業成績書を見せなさい」
「企業秘密です」
「いいから、ミ・セ・ロ!」
「5日間の営業で、総売上、79,750G でした」
その俺の報告の後。
アリサさんは。
その場にへたり込んだ。
「ま・・・。
負けた」
次いで、メイアさんも入店してくる。
アリサさんの横で膝をつくと、上を向き、俺を睨みつけた。
そして。
下を向いたままのアリサさんが。
「私、負けず嫌いなの」
そう、小声で漏らした。
それを聞いて、俺は、つい、小さく笑ってしまう。
誰かさんと、同じフレーズだったから。
しかし、その事実を、彼女は知らない。
笑われたのが癪に触ったようで。
俺のシャツの襟首を掴んで、今度は大声で。
怒りと笑みを同時に表現した顔で。
「私、負けず嫌いなの。
次回は、完全に、潰すわ。
覚悟は。
よろしくって!」
彼女の気迫に負けたか。
負けたくなかったのか。
どうかわからないが。
ここで俺は。
ほぼ無意識で。
こんなことを。
言ってしまったのだった。
「勝負しましょう。
次回の営業、5日間で。
トータル営業成績。
負けたほうが。
勝ったほうの。
お願いを、『何でも』、聞く」
「ははっ!
いいじゃない。
どんな願いだって適えてやろうじゃない!
当然、逆も然りよ!」
「決まりですね」
最高の笑みが交錯し。
周りは呆れ顔で。
アリサさんは、腕をグルグルしながら帰っていき。
扉が強く閉められ。
ミエルさんとヒヨリちゃんは俺を見つめ。
そして、俺は。
「何か、さっきまでの俺が、意味不明なこと言ったんだけどぉー!」
すぐに後悔。
レッドドラゴンレザーソファーに仰け反って座り。
天を仰いだのだった。




