転送魔法は自分以外の対象を任意の場所に移動できますが、一部の限られた天使しか使えません
万能ウェイトレスは、フランチャイズ娘となり。
しかして、その実体は、『金の玉の少女』だった。
「勝てる、はず、ない」
「金の玉が出る確率って、とてつもなく低いのよ。
私が知っている、金玉転生者は、彼女だけ。
ある意味。
この世界で、『最も強運な少女』、という、わけね」
さて、ここで重要な確認を行う必要があります。
「ユニークスキル確認スキル、実行!」
・シェルター操作権限
・喫茶店操作権限
・吸魔の素質
・ドラゴンブレス [炎] MP10
・ライトニングブレス [雷] MP20
・ドームシールド [特] MP25
※各項目の詳細を確認できます
「よかった、『カット&ペースト』じゃなかった。
『コピー&ペースト』だった」
「私も、そこまで『アクドク』ないですよー」
「ならば、俺の質問に答えてください。
聞きたいことが、山ほどあります」
「ならば、3つだけ、答えます。
私も、家具の運び込みなど、お仕事がありますので」
「10個の転生特典、全部教えてください」
「欲張りすぎです。
はい。
今のは禁則事項なので、教えられません。
残り2つ」
「そんなルールあるの?
・・・。
いや!
今の、質問じゃないからね!」
俺は、少し落ち着くまで待ち。
質問を練り上げていった。
そして問う。
「なんで、握手したんですか?」
「いい質問ですね。
それが、『コピースキル』の条件だからです。
『コピースキル』は人気の転生特典らしく。
その分、制限事項が多いのです。
コピーする際に、その人物に触れている必要があります。
すると、相手のユニークスキルが見えるようになるので。
この状態でコピーを実行します」
「なんで、『喫茶店』しか、盗らなかったんですか」
「いい質問ですね。
それが、『コピースキル』の条件だからです。
『コピースキル』は人気の転生特典らしく。
その分、制限事項が多いのです。
コピーできるスキルは、1つだけ、なんです。
そして、『コピースキル』は1つしか習得できない。
当然、本当は、『シェルター操作権限』も欲しかったです。
とてつもなく、欲しかったです」
「納得、しました」
この時点で、平静を取り戻した、俺。
盗られた悔しさは、なく。
競合が本気で殺りにきた。
その事実からくる、悲壮感のようなもの。
そんな、感覚。
「あなた、さっき『勝てるはずない』、って。
そう、言いましたよね。
でも、この世界の転生特典は。
その1つ1つがオーバーチートにならないように設計されているわ。
だから、どの転生特典にも、必ず何かしらの『弱点』はある」
「そして、その弱点を・・・。
複数個のスキルを絡めて、補うんですね」
「当然」
そこまで話すと、アリサさんは喫茶店をクローズした。
「どうせバレるから、2つだけ、私の転生特典を教えてあげるわ。
『高速移動』と『アイテム収納』よ。
じゃぁね〜。
バイバーイ」
そう言って、アリサさんは。
ガンダルの方向に、音のような速さを持ってして、消えていったのでした。
*****
しばし、呆然としたあと。
夕日を浴びる3人。
最初に声を発したのは、ミエルさんだった。
「アリサのこと、その目的も。
気づいていて、知らないふりをしたのは事実よ。
なので、謝罪の意味を込めて、彼女の転生特典の数を教えてあげたわ。
本来、天使は、全転生者に、対等に接するべきなの。
でも、彼女もイジワルだったし。
これで、オアイコ、じゃない?」
「アイテムボックスがあれば、食材はいくらでも運べます。
彼女レベルなら、家具だって、運べるかも。
2号店の開店は、想像以上に早い。
そう思います。
ウチの売上は、落ちるでしょう。
でも・・・」
「でも?」
「アリサさん、かわいいから、許せる!」
「あっそ」
気持ち。
切り替えて。
いこう!
「ミエルさん。
お給料、20000Gです。
お疲れ様でした」
「週給、5000Gアップね」
「ヒヨリちゃんも、20000Gです。
お疲れ様でした」
「いただきます」
「ここで、大事な、お願いがあります。
俺を、見捨てないでください。
アリサさんの店からスカウトされても、断ってください」
「あっちは、なんか、息苦しそうだわ」
「大丈夫ですよ〜」
そんな会話を交わしたのち。
俺たち3人は、喫茶店へと戻ったのでした。