ステータスは定期的に確認してください
俺は、再び南下して、適当な位置で喫茶店を展開した。
今日、ハミルトンの町で購入したのは自分が食すためのパン。
加えて、提供する料理の食材。
ではなく、『ペンとインクと紙』、だった。
つまり、なにがしたいかと言うと・・・
「作戦会議!」
狼生姜焼きでお腹を満たした後、紙を4人掛けテーブルに広げて、思いつくままに考えを書き出していった。
・料理スキルでは勝てないが、俺には前世での料理知識がある
・料理スキルを磨く
・好きな場所で喫茶店を開ける
・食料を自分で調達する
・かわいいウェイトレスさん、欲しい
・初期メニュー(看板メニュー)を考える
・まずはコーヒーとお茶、経営が波に乗ったら酒を提供
・水がタダで無限に出る
まあ、こんなところか。
ウェイトレスさんが雇えるのは、いつになることやら。
しかし、俺にも強みが多々あることがよくわかった。
おかげで、少し前向きになれたような気がする。
まず、とりかかるべきは、『初期メニューの考案』である。
これに関しては、2つ考えがある。
1つ目は、超無難、『鶏の唐揚げ』である。
日本国民の国民食といえば、カレーやラーメン、寿司と言う人は多い気がするが、消費量の観点からすると、唐揚げこそが国民食だと、俺は考える。
これにライスとサラダを付加して、唐揚げ定食。
これならボリューム的に、屈強な冒険者達も満足させることができるであろう。
ライス、キャベツ、小麦粉と油は購入するとして。
鶏肉は、自分でハンティング。
2つ目は、テリヤキサンドである。
甘辛のテリヤキのタレ、そしてなんとかマヨネーズを自作して。
これをレタスと一緒にパンに挟む。
これなら、お洒落な女性冒険者達も満足させることができるのではないだろうか。
店の看板メニューとして、まずは試作してみたい。
パン、レタス、マヨネーズの材料と油は購入するとして。
鶏肉は、自分でハンティング。
料理のスキルはない。
だからこそ価格と珍しさで勝負。
そして、その全てで必要になることこそ。
『鶏狩り』、なのであった。
*****
俺は数日の移動を経て、前回鶏肉を入手したポイントの近くまで戻ってきた。
ただし、完全に同じ地点であると、盗賊の再来の危険があると思い、若干地点をずらした、はず。
本当に。
黒鎧の男性からもらったコンパスが役にやっている。
あれは、最高のプレゼントだったように思う。
「シェルター・オープン」
シェルターを展開すると、いそいそと冷凍庫の中へ。
そして、回収するは、狼の内臓。
次いで、水道でざっと解凍。
包丁で雑に切り分け。
「ポーーーーーイ!」
っと、シェルターの窓から外界へ拡散で放り投げた。
「撒き餌、完了」
あとは、待つだけである。
*****
狩りは、順調に進んだ。
『上からくるぞ、気をつけろ』という危機感知から、シェルターの窓に鶏の首を突っ込ませるまで。
面白いように同じ流れを繰り返していた。
現在、4匹仕留め、解☆体済み。
この時点で、俺はあることに気づく。
「レベル、あがってるんじゃない?」
ここまで、狼、鶏、猪、そして鶏と、大量にハンティングしてきた俺。
あまりにも夢中になりすぎて、『レベル』というシステムの存在を忘れていた。
「現在のステータスを、教えーて!」
そして、その答えはすぐに脳内伝達される。
・Lv:11
・FAT:56(+120)
・FDF:54 (+2)
・MAT:60 (+30)
・MDF:56
すごいことなってる!!
聖域の◯物作戦、恐るべし。
攻撃力は40も増加している。
ただ、逃げてばっかりなので、強くなったような気は全くしていない。
もしかすると、もうシェルターにコソコソ隠れている必要もないのかもしれない。
さて、自分の成長も確認したし。
とりあえず、今日は後1匹まで仕留めたら終わりにしよう。
そう思った時。
再び。
『上からくるぞ、気をつけろ』という危機感知。
もう、怯えの感情も全くない。
モンスターをお肉にする簡単なお仕事。
さっさと終わらせて、早めの晩御飯でも食べよう。
・・・
・・・
・・・
「ドラゴン、キター!!!!!!!!」