ガントリー・ガトリング・ドムは、防御力の高いモンスターです
「よし、ギルイベが終わったから。
また、『狩り』に行くわよ!」
夜が明けると、天使が臨戦態勢になっていた。
まさか、今回も、『ウップンバラシ』なのか?
「今回も、負け越したんですか?」
「否、5戦4勝1敗。
勝利数が多いほど、特別報酬アイテムも多いから。
今回は、満足いく結果といえるわね」
「じゃあ、なんで狩りに行くんですか!?」
「昔から、よく言うでしょ。
『うちでゲームばかりしてちゃ、いけいません』、って。
『引きこもりの反動』みたいなものよ」
「もう、よく、わかんないです」
*****
ガンダルにも当然、ギルドはあるのですが。
「でっけぇ・・・」
ハミルトンのギルドハウスのさらに2倍ほどの敷地面積。
よい武器が作れるガンダルには、よい冒険者が集まる、ということです。
扉を開け、すぐに、依頼掲示板を探す。
人が集まっている場所に、それは存在した。
ここで、ハミルトンと異なる点に気づく。
依頼ランクごとに、依頼書が区分けしてあったのだ。
これは助かる。
故に天使は、A級依頼の区画に直行した。
俺も、天使についていったが。
『あなたに拒否権はないから、外で待ってなさい』、と、あしらわれたのだった。
*****
「ガントリー・ガトリング・ドム、よ」
「すみません、もう1回、お願いします」
「ガントリー、ガトリング、ドム」
「ドム?
ドム、って何ですか?」
「ドムは、カメの魔物よ。
でも、巨大で、かつ、火の魔法を使うの。
しかも、この世界で随一の防御力を誇るわ」
「なんだ、カメですか。
なんか、巨大ロボ、みたいなヤツかと思いました」
「いいえ。
その解釈で合っているわ。
巨大ロボと、スペック的には同じよ!」
「ごめんなさい、ちょっと意味わかんないです」
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前回は、『ドラゴンハント』。
今回も、覚悟はしていました。
でも俺は、『ブラックドラゴンを探すわよ』、って流れになると思っていました。
しかし、天使は、俺の想像を越えてきたのです。
『ガントリー・ガトリング・ドム』。
『GGD』と略されるソイツは。
ガンダル南方の山脈に生息するらしい。
その山脈の中にちっちゃい山があって。
その山登ったら、山じゃなくて、GGDだった、という逸話もあるらしい。
高さ8m、幅5m。
脚の長さは5m以上、太さ0.5m。
ドラゴンよりもデカい。
もはや建築物レベル。
これ、倒せんの?
ミエルさんの転送魔法で、現地まで急行。
現在、GGDを探査中である。
「GGDは硬い甲羅に覆われていて。
その甲羅に、いくら攻撃しても、ダメージは与えれないわ。
甲羅の『中身』を攻撃するのよ」
「どんなとき、甲羅の中を攻撃できるんですか?」
「獲物を、捕食するとき」
「食われてんじゃないですか!」
「あとは、敵を『目』を使って探索するときにも、顔をのぞかせるので、攻撃可能になる」
「じゃあ、敵が隙を見せるまで、待ってればいいんですね」
「それではダメよ。
GGDは敵感知魔法を使えて。
敵を射程に捉えると、炎の魔法を連発してくるのよ。
甲羅に大砲みたいなのがたくさん付いていて、そこから魔法が発射されるわ」
「なんで、そんな危険生物が、こんな街の近くに生息しているんですか?
ヤバいじゃないですか!」
「だから、『依頼』が出ているのよ。
それに、敵も要塞みたいなナリだけど、ガンダルの街も要塞みたいなものだから。
襲われても、うまくやるわ」
「なんだそれ」
「敵の弱点は、『顔』と『腕』よ。
一方、脚は甲羅に近い硬さを持ってるから。
あまりダメージを与えられないわ。
そして、だからこそ。
その脚と甲羅は、最高級の素材になるの」
「すみません。
もう思考が追いつきません。
結論だけ、教えてください。
『どうやって倒すんですか?』」