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異世界は今日も平和(個人的見解)なので、喫茶店を経営します  作者: cawashima(川嶋)
醤油をめぐる冒険
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天界には、食器洗浄機があります

「まさか、タダ飯が食えるとは思わなかったぞ」


 グッドタイミングで、喫茶店の扉を叩いたのは、ライザさんだった。

 筋肉モリモリライザさんは、やはり、さすがの食いっぷりであった。

 筋肉と食事は一心同体。

 よく食い、よくきたえ、よく寝る。

 これが、『筋肉道』というものだと。

 夢の中で、誰かが言ってました。


「タダ飯、ではありませんよ」


「わかってる。

 『味の感想と引き換え』、だったな」


 ここで改めて。

 ライザさんが食している試作品を列挙します:


・豚の生姜焼き

・テキヤキポークハンバーグ

合挽あいびき和風おろしハンバーグ

・BLTサンド

・味噌汁

・ナポリタン

・BIGハンバーグサンド

・緑茶


 この列挙名称のみ見ると、『フードファイターかよ!』、とかなりそうですが。

 これを俺、ミエルさん、ライザさんの3人で共有しているわけです。

 それでも、かなりの量がありますが。


 ライザさんの食事が完了し、全ての皿が空になった。

 緊張の瞬間。

 俺の料理スキルは、多少なり向上しているのか!?


「ライザさん、感想をお願いします」


「全部、うまい!」


「うぬぅぁぁぁぁぁぁぁあああああ!!」


 この、俺の叫びには、2つの意味が込められています。


・よかった、俺の料理、美味しかったんだ!

・たぶん、この人も、味音痴や!


「ライザさん・・・。

 どう、どのように、美味しかった、ですか?」


「甘辛い」


「どれが?」


「全部」


「味噌汁は」


「しょっぱい」


「あんがーーーーーーーー!」


 やっぱ、味音痴!


「質問を、変えます。

 どれが一番、美味しかったですか」


「断然、ハンバーグサンド」


「理由は?」


「牛肉とか、アトラシアじゃ、滅多に食えないし。

 なんか、なんというか、ご利益りやくありそう、みたいな」


「そんな効果はありません」






*****






 食事会は終了し。

 さて、ここからが本題です。


「単刀直入に言うと。

 泊めてほしい」


「物件探し、うまくいかなかったんですか?」


「いや、見つかった。

 しかし、前の住人が退去するまで、あと6日かかる。

 なので、5泊、させてほしいのだ。

 当然、金は払う。

 払う、が・・・。

 少し、安くしてもらえると、助かる」


「ちょうど、いいんじゃないの?」


 天使が割り込む。

 少し時間がかかったが。

 俺は、天使の意図をすくい取る。


「バイトの件だ!」


「何の話だ?」


「ライザさん、まずは、これを見てもらえませんか?」


 そう言って、俺は、新しいメニュー表を手渡す。

 見てもらいたいのは、その内容ではない。

 『記述量』だ。


「やっと、これだけ、メニューが増えました。

 ガンダル、オークラに来て、料理の幅が広がったんです。

 今週。

 ここからの5日間が、勝負のシーズンなんです。

 しかし、過去、最高の売上を達成するため、足りないものがあります。

 それが、『労働力』です」


「なるほどねー。

 『バイト代=宿泊費』、の方程式なのだな」


「ちょっと違います。

 『バイト代=宿泊費+マカナイ』、の方程式です」


「それは、美味しい方程式だな。

 よろしく頼むよ。

 ・・・。

 が、だがなぁ」


「料理スキルは、期待していません」


「そう、ズバッと切り捨てられると、ツラいものがあるな。

 だが、まあ、そういうことだ。

 ただし、『料理ができない』、とは言ってない。

 自分が食う料理は、自分で作っている」


「最悪、『皿洗い』だけでも、やってもらえると助かります」


「天使は皿洗い、しないのか?」


「知らなかったの?

 天使は皿を洗わないのよ。

 常識よ」


「天界には、食器洗浄機がありますからね」






*****






「筋肉エプロン!」


 ライザさんは、自前のエプロンを着て見せてくれた。

 新ジャンル、『筋肉エプロン』。

 ここから、状況説明、および、考察に入ります:


・『ウェイトレス衣装をどうするか』、という話になりました

・最初に浮かぶ考えは、『ミエルさんの衣装と、同じ衣装を買いに行く』、です

・ライザさんは、背も高く、体格もガッシリしているので、特注品が必要な可能性があります

・5日間の臨時店員のために、8,500Gは払えません

・そこまで話をすると、ライザさんは、『エプロン、持ってるぜ』と言い出しました

・正直、冗談だと思いました

・でも、はち切れんばかりのリュックサックの奥から、白い衣装が出てきました

・で、着ました

・フリルがたくさんあしらわれた、フェミニンな、白のエプロンでした

・でも、筋肉でした

・筋肉エプロンでした


 以上、報告を終わります。


「正直、俺は、『アリ』、だと思います」


「お前は、何を言ってるんだ?」

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