水道水を冷凍庫で凍らせて氷を作れますが、これを外部に大量に持ち出すことを禁止します
「おー!蔵がいっぱいある」
ダジャレ、とかではなく、本当に、蔵がいっぱいあるのである。
黒い瓦屋根、白塗りの壁。
なんか、海外旅行から、日本に帰ってきたような気分。
コウジカビくん、ただいま!
「オークラは、俺も初めて来たが、独特の情緒があるな。
農村、ではあるが。
相当、稼いでやがる、と聞いている」
「あっちに、直売所があるんだと。
早速行ってみようぜ」
*****
「そのまんま、道の駅や・・・」
店内の散策が始まると、俺は、そこで売っている商品に。
何度も、何度も、釘を打ち付けられた。
興奮を抑えきれない俺。
「なんだ、この村!」
アトラシア大陸では、いくら探しても出会えなかった食材たちが。
次々に、目に飛び込んでくる。
店内一周完了。
ここで、販売されている食品を列挙します:
・醤油
・味噌
・みりん
・酢
・ポン酢
・料理酒
・米酒(日本酒)
・米焼酎
・いりこ
・カツオ節
・緑茶茶葉
・豆腐
・大根
・白菜
・青ネギ
・白ネギ
・ナス
・シメジ
・エノキ
・大葉
・ゆず
・カボス
・柚子胡椒
・山椒
・米
オークラ、恐るべし。
夢の日本食材、フルセット。
『発酵』という文化が、他の地域より数段飛び抜けている。
そんな感想です。
ここで、勝手に、『出会えて嬉しかった食材ランキング』、発表です:
・1位、醤油
・2位、ポン酢
・3位、米焼酎
・4位、味噌
・5位、白ネギ
完全に、個人の主観です。
特に着目してもらいたいのが、2位の『ポン酢』です。
『柚子胡椒』もそうですが、比較的複雑な調味料が販売されています。
ここから、この地域の食への強い関心を感じ。
そして、最終的に、以下のような結論に達するのでした。
「全部、買う!」
*****
ソシャゲで待機中のお姫様が喫茶店を占有しているので。
俺、そして荷物持ち様の2人は、買い込んだ食材を次々にシェルター、その冷蔵庫の中に格納していきました。
合計で、13,000Gの大量購入。
直売所のオバちゃんも、おったまげ。
『酒』がけっこう高かったのでした。
しかし、『これだけの食材を買ったわりには・・・』。
そのような意見も強いと思います。
やはり直売所で買ったのが、正解だったように思います。
オークラの散策、醤油蔵の見学などもしたかったのですが。
今回は、夕方までに、姫殿下の元まで帰りたかったので。
最高の食材を与えてくれたこの村、代表で直売所のオバちゃんに謝辞を述べ。
『こんなに感謝されたの、はじめてだよ』という言葉を返されたのでした。
*****
「こんなときのために。
カチ割り氷、作っておきました」
そのランダム形状に粉砕された氷塊を、コップに入れて。
そこに流し込むのは、『米焼酎』!
『米焼酎』です!
『ロック』なのです!
4人分の酒が、ドラゴンレザー4脚と一本脚テーブル2脚を集めて作った、『臨時特別席』に配置されます。
そこに座するのは、ダルトさん、ライザさん、俺。
そして、ソシャゲ天使。
・・・。
・・・。
ソシャゲ、してない、だと!
「ミエルさん、ギルイベは、いいんですか?」
「大丈夫。
今日は、勝ちが確定したから。
あとは様子見だけでいいわ」
「何を言ってるのか。
完全に理解できる、俺もどうかしていると思います。
おめでとうございます。
開幕からの、ラッシュが効いたんですかね」
「その通りよ」
「では、この焼酎は、勝利の美酒となるわけで」
「あまり飲みすぎると、明日の2戦目に響くから。
ほどほどにするわ」
「飲みすぎるほどの量は購入していませんので、安心してください」
そして、テーブルにはもう1つ。
大量に盛られた、鶏モモ肉の唐揚げ。
醤油でしっかりと味付けした、ジューシーな唐揚げ!
「ついに、醤油が、帰ってきたーーーーー!
オークラ、ありがとう!
乾杯!」
「かんぱい!」
*****
本日の飲み会には以下の意味合いが込められています:
・醤油復帰記念
・親睦会
・長旅、お疲れ様でしたの会
・荷物持ちのお礼
・ミエルさん、1戦目勝利記念
・ミエルさん、2戦目以降勝利祈願
まあ、飲み会とは言っても、焼酎の酒瓶1本を4人で分けたので、たいしたアルコール量にはなっていませんが。
ダルトさんも、ミエルさんも、けろっとした顔をしています。
が、一人、ライザさんだけがテンションMAX、栃アズMAX。
顔が明確に赤らんでいたのでした。
「1日でも、宿代が浮くのはありがたいぜ。
すまんな、1泊させてもらうなんて言って」
「それは、俺も同じだ」
「構いませんよ。
ダルトさんはイスに座ったままになりますけど。
ライザさんは、3人掛けのソファーで寝てください」
「助かるー」
両名を喫茶店にて、1泊させてあげるハコビとなった。
ただ、この2人に、これから本当にお世話になるのは、俺の方だ。
ダルトさんは、冒険者の先輩として。
そして、ライザさんは、武器改造の依頼先として。
そんな2人に、
「見てもらいたいものがあります」
俺はここで、話をきりだした。