それぞれの日記 衛藤蒼馬の場合
オタ略シリーズ、一章となる転校生登場編が完結いたしました!多くの読者のおかげでここまで続けられたと思っております!本当にありがとうございます!
さて、ここからしばらくは、主要メンバー5人、キャンプのメンツが、日記形式で物語を振り返るお話となります。(こっちの方が長いって?気のせいですよw)この5人が飛鳥の転校で、どのように変わっていったのか、その素直な心情を語るので是非ご覧ください!
ここ最近は色々と日常に変化があったなぁ。まずはなんといっても転校生のあいつ、藤村飛鳥の存在だ。はじめの方は俺がぎこちなくて、あんな超絶美少女には近づくことすら恐れ多かったっけ。席が隣で、いつも周りに人だかりができて、まじで一度吐きそうになった。それから俺もコミュ障だったのか…今思うとなかなか懐かしいな。まあ、完璧にコミュ障が消えたってわけじゃないけど。だいぶ自分から周りに話しかけられるようになってきた。
俺の変化はやっぱり藤村の影響なんだろう。屋上で飯を食ってるとどっからともなく現れて、一緒に食べようとしたし、休憩時間でも人だかりが消えれば、何かと俺に話しかけに来ていた。はじめはやっぱりおかしいと思っていたっけ。いきなり俺のような華のない男にこんなに話しかけに来ること自体が。何か裏があるだとか、考えまくってて夜も眠れなかった。
でも、あいつは違った。球技大会で、俺がまさかのヒーローになった時、クラスが俺のことで持ちきりになっていた。俺は自信がなくて、いきなり話しかけたりしてくる周りが怖くなった。それが好意だともわからずに。そしてしばらく、一人孤立する道を選んだ。孤立は楽だったけど、どこか変な感じがした。そんな時あいつがいつもの気さくな態度を取ってきたから、そん時は正直ほっといて欲しくて疎ましく思ってた。でも、あいつは本気で俺のことを知って、本気で俺と仲良くなろうとしていた。自信なさげな俺を変えるために、
「オタクでも、衛藤くんには衛藤くん自身のいいところがあるから、自信持ちなよ!」
と励ましてくれた。今までも、必死に努力していたらしい。そのことを聞いて、純粋に嬉しかったなぁ。俺のためによくそこまでしてくれたもんだよ。その好意を裏切るわけにはいかなかった。
以降、俺はなるべく人からの好意は受け取るようにした。藤村やシンジに関わらずみんなに同じようにした。はじめはやっぱ怖かったけど、そん時も藤村がフォローしてくれたっけ。その甲斐あって、俺に新しい友人ができた。クラスの中心メンバーのリーダーで、2年A組の実質のボス、中田悠介だ。球技大会の時の俺の活躍から、目をつけていたらしいが彼自身も純粋で、シンジみたいだった。こうなる前は、少しヤンキー気質があったことから距離を取っていたが、悪ふざけもシンジのするそれとあまり大差はなかったためすぐに扱いにも慣れた。やっぱあいつの存在は大きかったな。運動神経も良くてクラスの全員から信頼も寄せられている。そしてその期待に応えようと影で努力する。そんな彼を俺は少しばかり尊敬していた。
そして何より、最近の思い出といえば、みんなでキャンプに行ったことだ。シンジの提案から始まったことだったが、藤村とその友達でクラスの美少女の双壁をなす生駒日菜もきた。彼女は藤村とは逆でおしとやかで、清楚という言葉がこれでもかというくらい似合うタイプだった。彼女とはあまり話したことはなかったが、社交的に振る舞おうとする姿にこちらから話しかけてリードしようと思いなるべく話しかけていった。これも俺の成長なのだろう。ほんと変わったなぁ…
キャンプではまずバーベキューをした。悠介の統率力はこういう時にすごく頼りになる。仲間内全員の適性を見抜いて、適材適所の人事で指揮を取っていく。そしてその指揮は決して上からではなく、対等な立場から放たれるため嫌味がなく、すんなりと受け入れられる。本当にあいつは人の上で指揮をとるのに向いた人間だと改めて感じた。
そして俺の特技である料理スキルもここではめちゃくちゃ活躍した。自分で言うのもアレだが、食事に関してあのキャンプでのヒーローは自分だと思っている。実際周りの反応もそうだった。自分の特技をみんなのために使えたのは嬉しかったし、また今度バーベキューに誘ってみたくなった。今度は海鮮系もやってみるかな。
そのあとは川遊びをしたんだけど…このイベントだけ苦い思い出を作ってしまった…実はほぼ初対面に近い生駒と川を歩いていた時、彼女が誤って滑ってしまい、それを助けようとして、彼女のたわわなそれに…えーっと…アレですよアレ。その、女の子が気にするアレ、それに手を触れてしまった訳で…互いに恥ずかしかったし、罪悪感半端なかった。でも生駒は許してくれて、それどころか助けてくれたことに感謝までしてくれたのだ。もうあれは天使の再臨かと思ったくらいだ!マジでいい子だった。うちのクラスも捨てたものではない。ただこのことはのちに少し厄介なことになる訳だが…
というのも、藤村はその光景を見てしまっていたらしく、川から帰ってきて川で釣った魚を俺が調理している時に、そのことをいじってきたのだ。彼女の悪戯心がここに来て変に作用してまるで俺が変態みたいな扱いをされた。まあ事情はわかってくれていたようだが…恥ずかしさがまた戻ってきてしまった。今でもたまにいじってくるからなぁ。いい加減時効だろこの件は…
そんなことはさておき、夕飯で鮎を食べたあとは、みんなで花火をした。線香花火は藤村と生駒がめちゃくちゃうまかったなぁ。俺なんてすぐに落としたし。ただその時の二人の笑顔が、キャンプに来て良かったと思わせてくれた。シンジと悠介が準備した特大ロケット花火も綺麗だった。みんな興奮して、シンジなんてデカイ声で「たーまやー!」とか言ってたっけ。あれも楽しかったなぁ。花火なんて久しぶりにしたから、俺も少々子供に戻ってた気がする。
そして花火も終わって寝ようとした時に、高校生の悪ノリが始まった訳だ…俺以外の全員が肝試しに行こうとか言ってキャンプ場の森へ行ったのだ。嫌々俺も参加した。そして肝試しのメンツ決めの時に、また事件が起こった訳だ。なんと藤村と二人きりだった!しかも俺らが行ったら即帰るとか言い出すし!おかしいだろ!言い出しっぺのシンジか悠介はせめて行けよ!この時ばかりはマジで二人とも森に行って帰って来なければいいのに、と本気で恨んだ気がする。ただ案外藤村がノリノリで進みだしたから、仕方なく俺も行った訳だが…鬱蒼と茂る森 はなかなか恐怖を煽った。藤村も行きはよいよいだったが、途中から怖がって俺の近くを離れなくなった。するとその時!藤村が叫んだ!何か出たのか!と俺が辺りを見たけど、何もいなかった。どうやらあいつの見間違いだったらしい。ただその時から手を繋ぎだした。恥ずかしかったがこの森の中ではむしろそれも安心の一つになっていて、俺は黙ってそれを受け入れていた。まあ何もなく森を抜けてきて、シンジ達を無理矢理にでも森の中に押し込めようとしてたんだけど……生駒が、俺と藤村がずっと手を繋いだままだってのに気づいて、またしても俺はいじられることになってしまった…結局、そのまま奴らを森にぶち込むこともできず…俺たちはテントに帰ったっけ。
こうして五人でのキャンプをして初めて藤村と思い出を作った。キャンプでは、意外とあいつが怖がりだってのも知れたので、俺にもいじる材料が舞い込んできた。なんか悪戯してやろうかな…なんて考えている。ただ肝試しの時も花火の時も川遊びの時も…あいつ、可愛かったなぁ。こんなこと言ったらきもいかもしれないけどね。でも、綺麗だった。改めてクラス1の美少女と俺はキャンプに行ったんだと思わされている。こりゃ一生の中でも上位の思い出になりそうだ。
今、少しだけ藤村のこと、気になってるかな。
どうも!Asukaです!
さて、このシリーズも中編小説の仲間入りを果たしましたが、ここで導入の転校生登場編が(初耳?あとで編集しときますw)終了いたしました。次章からは本格的に主人公とヒロインの関係を深めていこうと思います!なんせ、高校最大のイベント、体育祭や文化祭、研修旅行はまだまだ入れてませんからね!盛り上がりはいくらでも作れるのです!
最後に、ここまで続けられたのも読者の皆様のおかげです。他作品の方も是非ご覧ください!いつもご愛読ありがとうございます!