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オタクの俺が彗星の如く現れた美少女に以下略   作者: Asuka
体育祭、文化祭編
11/11

こいつらと一緒なら

オタ略シリーズもいよいよ第2章が始まります!ここから、蒼馬たちの学園生活も佳境になっていきます!彼らの青春の模様に、ぜひ迫ってみてください!


「昨日のカラオケ、楽しかったな!お前が女子の前でもコールするとは思わなかったぜ!まっ相手が藤村と生駒なのがよかったのかもな!」

今日もいつも通りのテンションで俺に話しかける爽やかな青年は、遠田シンジ。こいつとは長い付き合いになる。こんなテンションで毎日俺に絡んでくるが、俺の身の上のことも気にかけてくれる兄貴的な存在で、よく言って親友、悪く言えば腐れ縁ってところだ。


「まあ、あのメンツなら少々本気出しても構わねえかなって。」


「お前も変わったよなぁ、前だったらそもそもカラオケにも行かなかったろ。」


そう、俺、衛藤蒼馬は以前までは典型的なコミュ障の陰キャだったのだ。人と話すのも身内とシンジとまともな会話がやっとできるレベルで、他の奴とは全然話せなかった。そして何より、俺は超が十個はつくほどのオタクである。これは現在進行で、今もオタクをしている。シンジとは何度かライブに行きその度に大号泣して帰ってきているものだ。カラオケでは曲に合わせてコールもよくする。ただ以前はそれはシンジの前だけであって、決して他人にその姿は見せてこなかったのだ。もちろん、他の奴も俺がオタクとは全く知らなかったらしい。


そんな陰キャ系オタクの俺の日常を、転校してきた超絶美少女が変えたのだ!こいつが現れてから俺の日常は900度(つまり180度)変わった。その名も藤村飛鳥。転勤族の親の都合でここにもきたらしく、アイドル顔負けの美貌でクラスの男女問わず全ての生徒の憧れの的となった。そんな彼女は、クラスの旧マドンナ(誰もそんなこと思っちゃいないが)の生駒日菜と友人になり、二大女神としてクラスに君臨している、まさに王女様だ。そんな彼女と、ほぼ下々に近い俺とが釣り合うわけもなく、俺は関わるまいと気にせずに日常を送ってきたのだが…


彼女からなぜか俺にめちゃくちゃ声をかけてくるのだ。席が隣だったという大義名分もあるのだろうが、それでも俺がいつも昼食を食べる屋上までわざわざ来たり、帰り道に一緒になったりと、どう考えも計算して俺の元にくるようなのだ。最初は何か裏があると感じていた。てか、薄々今もそう感じている。いつか俺は何かされるのではないかと、今日も一抹の不安を抱えているのだが、まだ事は起きていないため、良しとしよう。

ただ、そんな彼女の呼びかけもあって、俺は少しずつ自分を表に出せるようになっていた。例えば、家庭科の時間に弟と妹にいつもやっている料理をさっとやってのけてクラスの注目を浴びたり、球技大会のソフトボールで逆転ホームランを打って優勝に導いたりと、何かと俺のハイスペックぶりを表に出すようになっていた。俺も他人と話せるようになったり、クラスの中心メンバーにいる中田悠介や、マドンナの生駒日菜と友人になるなど、俺の中でもプラスの変化が起きてきた。そんな俺の変化を、藤村も嬉しく思っているらしい。


そんな中、俺たちはキャンプに行き、さらにお互いの仲を深め合った。バーベキューや水遊びや花火や肝試し。これらのイベントは俺たち五人の忘れられない思い出になったものだ。そして、俺の心情の一抹の変化もこのころからだっだ。


話を戻すと、シンジと俺は今登校しながら昨日五人で行ったカラオケの話をしていた。俺がそこで推しのアイドルの曲のコールをしまくって、藤村と生駒と悠介に衝撃を与えたのだ。まあ、プラスの印象ではあったようだがよもや俺がここまでドルオタだとは思っていなかったらしい。


「イメージ変わった。」とか、


「少々危ない次元にいねえか?」


だの、周りの衝撃を物語る感想を言われたものだ。一応言っとくと俺は中度にやばい。重症とは言わないが、かなりオタの深みにいるだろう。


「あいつらといると、素が出せる。お前以外にもそういう奴らができてよかったよ。」


「そうかそうか…お前にも気を許せる友人ができたか…」


「親かよ…お前は。」


保護者みたいなシンジに俺がツッコミを入れると、


「おーい!お前ら!」


と、悠介が後ろからぶつかってやってきた。ソフトで鍛えていて、体の大きい悠介が突っ込んできただけあり、俺とシンジは吹っ飛ばされた。


「いってえ…なんだよいきなり。」


シンジが言う。確かにいてえ。


「いやー悪い悪い。ちょっと脅かそうと思ってな。すまね!」


苦笑いをして謝る。まあ許してやろう。


「全く、悠介くんはもっと加減を考えないと二人が怪我しちゃうよ!」


すると、後ろからさらに藤村と生駒がやってきた。どうやら一緒にいたらしく、いたずらを仕向けるために先にこいつがきたらしい。


「おはよう。みんな。」


生駒が挨拶をしてくれた。それに続いて藤村も挨拶する。


「おはよ。」


俺も返す。こうして普通に女子も交えてバカできるようになった自分を感慨深く思いながら、俺は校門をくぐった。



二学期も早く、九月の中頃になっていた。二学期は、この学校ではかなり多くの行事がある。そのうちの一つが、来月の初旬に控える体育祭だ。毎年熱い戦いが繰り広げられる体育祭では、去年は自分のクラスが優勝していたこともありみんな連覇を目指していた。

今は、その出場種目決めが行われている。


「ではまず綱引き。誰がでますか?」


委員長の佐々木が教卓の前でクラスを取り仕切る。


「そうだな、俺出るぜ。任せとけ!」


悠介が手を挙げて言う。確かに、あいつ程の力があるやつが出てくれると心強い。クラスも賛成ムードだ。他に何人かの、主にソフトボール部が主体となった男子が綱引きに出ることになった。


「次は玉入れだな。これは女子が主体のほうがいいかもしれない。」


真面目な佐々木は、彼なりの配慮を見せた。まあ、軽い競技だから、それもありなのかもしれない。


「じゃあ、私出ようかな…」


生駒が言った。他の女子も何人か手をあげる。さらに、あまり運動に自信のない男子も手をあげ、玉入れも決まった。

他の競技も順当に決まっていった。一人二つずつ競技に出ることになり、俺は騎馬戦と借り物競争だ。騎馬戦は悠介とシンジと組むことになった。


「最後に、クラス対抗リレーの出場者を決めよう。誰か出る人はいるか?」


そう、この学校で最も盛り上がる競技はこのクラス対抗リレーだ。俺は今までこの競技に出るのは避けてきていて、去年は走らなかったが、同じクラスの悠介らの奮戦により、うちのクラスは学年で優勝している。今年も連覇がかかっている。正直この場で立候補するほどの勇気は俺にはなかった。


それは周りも同じようだった。少し沈黙が流れたあと、悠介が口火を切った。


「よし、じゃあ俺、走るぜ。」


彼の男気に、改めてクラスが彼を尊敬の眼差しで見る。ただ、それに続く勇気は…と言ったところだ。すると、


「んじゃ、俺も走るぜ!」


と、シンジが続いた。こいつも足の速さには定評がある。球技大会の時にはソフトボール部も認める盗塁を見せたほどだ。クラスでも異論はなかった。あいつが走るのか…案の定あいつは俺の方に目を輝かせている…はあ、しゃーない。


「俺、やりまーー「私も走ります!」


俺が立候補しようとした瞬間、隣で藤村も立候補した。クラス中が俺たちを見る。俺はすぐに手を引っ込めてしまった。


「もしかして、衛藤くんも?」


藤村が尋ねる。


「お…おう…」


観念して俺も答えた。リレーの枠は7人。俺たちが二人入っても問題はなかったので、無事二人とも走れることになった。被った時は少し恥ずかしかったが…その後、藤村が走ることに影響を受けたのか、生駒も立候補した。そして残りも決まり、俺たち五人全員がリレーに参加することになった。なんだか俺は、心強さを覚えた。こいつらと一緒なら、やれる気がする。そう思えた。

さらにリレーの順番を決めることになり、俺たち五人を含めた七人でリレーの順番を話し合うことになった。


「そうだな。まず、トップはシンジ、いけるか?」


彼の俊足を買っている悠介がシンジに聞いた。彼は胸を張って、


「任せとけ!後のメンツが歩いても優勝できるくらい離してやるよ!」


と、意気込みを語った。「期待してるぜ、」

と悠介も返す。さらに他の二人が続いて、4番目は生駒になった。


「私…足引っ張っちゃうかもしれないけど…ごめんね…飛鳥ちゃんが勇気出して女子ではじめて立候補したから私もって思ってつい言っちゃって…」


自信なさげに生駒は言う。朝はあまり速くないと語るが、体育で見かける限り、そうでもないように思う。


「そんなことないよ!むしろありがと!私も少し気が楽になったんだよ。」


藤村がフォローする。彼女も女子で1番に手をあげるのは正直気が重かったようだ。ただここでたくさん思い出を作るために手を挙げたそうだ。


「じゃあ、もし生駒が不安なら俺がその後走ってやるよ。差を詰め直すどころか突き放してやる。」


悠介が、生駒をかばうために次に走ると言った。こいつの男気はどこまで厚いのだろう。心強さが半端じゃない。生駒もありがたそうに見ている。


「あとは、藤村と蒼馬だな。どっちがアンカーに行く?」


あれっ…?って!そうか!ぼーっと聞いてりゃやべえ…俺なんも言ってなかったわ…思わぬアクシデントに俺はたじろぐ。


「そうだな…どうする?藤村?」


俺は藤村に聞いた。すると彼女は少し黙って言った。


「私、衛藤くんを信じたい。だから、アンカー、してくれないかな?きっと衛藤くんならゴールテープ切ってくれるって信じてる。」


おいおい、そんな期待されちゃ…

そう思ったが、俺は他の奴らの言葉を思い出す。みんな期待に応えようと、男気を持って引き受けた。俺も、せめてこの場にいるなら、男気の一つや二つ出してやらねえとな。こいつらと一緒に走るんだし。やってやる!


「おう、俺がアンカーするぜ。お前らがつないだバトン、絶対一番に返してやる。」


「言ったな。お前。約束だぜ!」


「俺らも、お前に絶対一番でつなぐからよ!お前も負けんじゃねえぞ!」


シンジと悠介がいう。その目は確かに俺を信頼していた。生駒も、藤村も他の二人もみんな、俺に期待している。確かに重たいが、それでもやろう。


「みんな!俺らで絶対、優勝するぜ!」


悠介の掛け声とともに俺たちは円陣を組んで優勝を誓い合った。



「一緒に頑張ろうね!」


種目決めのあと、藤村がそう言ってきた。


「お前らと一緒に、絶対優勝してやるよ。」


俺は力強く返した。五人で繋げるなら、絶対に勝ちたい、そう思えた。

どうも!Asukaです!

前書きの通り、オタ略シリーズも早、第2部に突入いたしました!ここから様々な行事を通じて揺れ動いていく蒼馬たちの心情に触れながら、物語は進んでいきます。そして、飛鳥にはある秘密があって…と言った感じです。さて、彼らに一体何が待ち受けるのか!乞うご期待!

最後になりますが、いつもご愛読ありがとうございます!新シリーズも皆さんの応援に応えられるような作品にしていきたいと思います!

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