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Page.7 フェスタ-1

 フェスタ編そのいち。

 地響きのような歓声が控室にまで届く。

 数人の生徒が残っているが、そのどれもが緊張に押しつぶされたように青白い顔をしている。中には鬼のような形相で、手のひらに書いた文字を飲み込み続ける女の子もいてなんだか微笑ましい気持ちになってくる。私もここで行われた入学試験の時はすんごく緊張してたもんなぁ。加えてこの大地が揺れているかと錯覚するかの如き大歓声だもんね。その気持ちは分からないこともない。


 フェスタ。別名、魔法武闘大会とも呼ばれるこの催しでは、アカデミアに通う生徒の中でも特に優れた素質を持つ者たちが魔法の腕を競い合う。上位者は昇級のチャンスもあるから、参加生徒にとっては一年の中でも最も重要な行事と言っても過言じゃない。もちろん参加していない生徒も魔法の研究、会場近辺での経営など、様々なアプローチでこの大会に携わる。それほどまでに大きな行事なんだ。

 だからああして緊張するのは至極当然。だってここで勝ち上がれば、それだけ早く「魔女見習い」という公認の称号に近づけるんだから。


 そして隣にも緊張している子が一人。


「す、すごい歓声ですね。ここまで響いてきてます……!」


 指先が絶え間なく震えてることから、既に彼女が会場の熱気に飲まれていることは容易に想像がつく。自慢のお耳もしゅんとしてるからわかりやすい。


「国中の人が見に来てるからねー。盛り上がるのも当然だよ」

「そんな大勢の人の前に出られるなんてここの生徒さんたちはすごいですね……」

「今からシオンちゃんも出るんだよ?」


 大丈夫かなあ……? 

 これから私たちはその中で五戦を戦い抜かなきゃいけないのに。

 

 フェスタでは一チーム最大五回まで戦える。勝てば勝つだけ試合回数が増えていくんだ。

 下級生チーム、同級生チームが混合した二チームを同時に相手取る一戦目。

 私たち第四階級グレード・フォーは上級生と当たることが確定している二戦目。

 そして三戦目以降からは前二戦を勝ち抜けた強者とトーナメント形式の頂上争いが始まる。

 

 トーナメントの上位三チームは無条件に昇級権利が与えられる。多くの生徒はこれが目当てでこの催しに参加しているはず。でも私は違った。狙うのは優勝だけ。優勝者の特権、このお祭りのフィナーレを飾るエキシビジョンマッチの出場権だけだ。

 アリス学園長に成長を見せつけるには、何としても五戦全てを勝ち抜き、アリス学園長とのエキシビジョンマッチの権利を手に入れなきゃいけない。魔女見習いの勲章を手に入れるには、熾烈極まることが想定される五戦をシオンちゃんとたった二人で勝ち続けなきゃいけないんだ。


「ルール、おさらいしておく?」

「は、はい……。他のことに集中してた方が落ち着くかもなのでよろしくお願いします」


 この分だと説明が耳に入っていかなそうだけど……。まあそれで落ち着くなら良いか。


「今から参加するのは二人以上のチームによる団体戦、チームの最大人数は十人までだよ」


 私たちのチームは当然のように私とシオンちゃんの二人だけ。

 シオンちゃんは私のペアとして特例によって参加が許された。アリスさん曰く、「人数が足りんのならシオンを入れてもいいぞ」とのこと。チームメンバーを見つけられない私への救済措置なんだろうけど、流石開催者側なだけあってなんでもありだ。後で文句を言い出さない様に言質も取ったし、思う存分暴れさせて大会序盤から会場の度肝を抜いてやろうって作戦なんだけど……。


「……ほんとに大丈夫?」

「ひゃ、ひゃいっ!?」


 あ。やばいかもなぁー……これ。


「えと……ということは大勢を一度に相手するなんてこともあり得るんですね?」

「そだね。会場の地形は各試合毎に魔法によって幾つかの設定からランダムで生成されるから、有利不利はその時々だけど」


 地の有利を活かして数的不利を覆す、なんてことはこの大会じゃざらだ。一人きりになってからの十人全員倒して大逆転なんてことも過去の試合ではあったみたいだし、地形の影響も毎試合考えて動かないといけないなぁ。……シオンちゃんにそんな余裕はなさそうだしね。


「なるほど……えと、次はどうしたら負けちゃうかをもう一度確認したいです」


 徐々に落ち着きを取り戻し始めたシオンちゃんが次の質問を投げかけてくる。


「チームの全員が戦闘不能、もしくは場外に出たら負けになっちゃうよ」

「あ、そういえば戦闘不能の説明を詳しく聞いてなかったです。どんな場合に戦闘不能って判断されるんですか?」

「んー。気絶や場外、魔力切れによる意識混濁が確認された場合とかかな。後は……降参。降参の場合は一人が宣言したらその時点でチームとして負けになるよ」

「そうなんですね……気を付けます」


 ちなみに余程の場合じゃないと降参宣言はされない。フェスタでは学園側から生徒に対する安全面の配慮が徹底されているから。

 各選手の状態を遠隔伝達魔法で管理しているくらい手厚い補助がされているため、生徒が生命の危機に陥る状況は滅多に無い。絶え間なく運営へと送られる選手の状態によって戦闘不能か否かを判断され、戦闘区域にいることが困難とされた場合はすぐさま転移魔法によって強制移動させられる。

 だから降参はあくまでもそれ以外の事情が生まれてしまった場合のための例外処置だ。例えばチームの中核を担う人物の戦意喪失とか。……まあ、この大会に参加する人達におとなしく降参する輩がいるとは思えないけどね。


「それと、戦闘不能で転移されたら一分後にチームメンバーに通知が行くようになってるってことを覚えておいてね」

「味方があと何人残ってるか分かりやすくなってるんですね。あ、後、もう一つ聞きたいことが」

「ん? なに?」

「試合中に武器は使ってもいいんですか?」

「あ! そうだった。危ない危ない、また忘れるところだったよ」


 渡しそびれていた物を荷物から取り出す。

 

「はいどうぞ。シオンちゃん用の装備。使用する武器は非殺傷用に限られてるからこれを使って」

「わ! いつの間に準備しててくれたんですか!?」


 シオンちゃんに渡したのは一対のダガーナイフ。もちろん刃の部分が取り除かれた安全仕様だからどちらかというと打撃威力重視のノックアウト専用装備になってる。だけどこれがあれば素手で触れちゃダメな攻撃にも対応できるはず。これなら接近格闘を得意とするシオンちゃんでも扱いやすいだろうしね。

  

「シオンちゃんがロベリアたちと外出している間にちょちょいとね。今回は決勝まで上がるとしたら絶対に素手じゃ太刀打ちできないからね。序盤は無理に使おうとしなくていいから、徐々に慣らしていくといいよ」

「……? そんなキケンな人たちと当たるって分かるんですか……?」

「ふふん。そりゃあねぇー。私が出るって聞いたら黙っていられない人達がいるからねぇー」


 壁に張り出された空欄のトーナメント表に目をやる。一、二戦目においての成績上位チームは、まず決勝まで当たらない。私の中では誰が上がってくるか決まりきっていた。エキシビジョンマッチを狙う上で恐らく最大の壁となるだろうチームはきっと――。

 と、まだ辿り着いてもいない決勝戦の話は置いといて。


 あらかじめ今日に備えてオーバーホールしておいた愛銃を二挺取り出し、くるくると指で遊びを利かせながら定位置に装着する。


「うん、いい感じっ!」

「あれ? ヴィオさんはいつもの銃なんですね」

「これは打ち出す中身を弄ればいいだけだからね。ちょびっと耐久面が心配だけど、まあ大丈夫でしょ」


 私の場合は銃に込めるものを弾丸じゃなくて低威力の魔法弾にしなくちゃいけない。威力は劣るけど速度がちょっとだけ増すから取り回しは悪くないはず。魔力切れを考慮しなければ弾倉に弾が無限に入ってるようなものだしね。

 もちろん、手や魔方陣から発動する魔法も嫌いじゃないけれど、私は魔法使いとして大雑把な魔法の扱いには長けてない。それに精微さを欠いちゃうから、やっぱり昔から手に馴染んだ獲物を使った方が良いんだ。


「あ、そうだ! フェスタが終わったらロベリアたちを呼んでお疲れ様会しようよ! 美味しい食べ物いっぱい食べるの!」

「随分と唐突ですね。でも、使い過ぎはダメですからね?」


 話をしているうちに、だいぶいつものシオンちゃんに戻ってきたね。


「あはは、わかってるよー。うん! じゃあ準備はこんな所かな。後はもう『習うより慣れろ』だね!」


 今まで旅を共にして理解した彼女の性格上、実際に戦った方が冷静になるだろうし。


「今は何とか落ち着きましたけど、いざ会場に出たら緊張しすぎてまともに戦えないかもしれないです……」

「あはは、ここまで来て弱気になっても遅いって。どうせなら思いっきりやって観客のみんなも驚かすくらいで行こうよ」

「驚かすくらい……ですか。部外者のわたしなんかが活躍してもいいんでしょうか……」

「活躍するのに許可とかいらないって! ちゃんと参加を許されているんだから堂々とすればいいんだよー」


 この国で一番偉い人の許しを得たんだから文句を言ってくる輩もいないだろう。もしいたとしても、シオンちゃんの戦闘を見れば開いた口がそのままふさがらなくなるに違いない。


「ここ以上に沢山の人の魔法が見られる機会あんまりないよ? 楽しんでいこ?」

「それが嬉しいのはヴィオさんくらいですからね?」

「それはどうかなぁ? なにせここは魔法の学園だからねぇー」


 ――全生徒の中から選ばれた魔法大好きっ子達が鎬を削る大会なんだから。


 

 結論から言うと一、二戦目は快勝だった。

 一戦目から十人チーム二つを相手にするという稀に見る混戦具合のせいで良い感じに緊張が吹き飛んだシオンちゃん。そんな彼女が圧倒的過ぎて、私が手を出す必要すらなかったくらいとんとん拍子に試合は展開していった。会場騒然の中、誰も残っていないフィールドに呆然と立ち尽くすシオンちゃんを眺めるのがちょっと誇らしい気分だったくらいだ。

 本人はきっと気が付いていないけれど、自らの身体を強化する彼女の魔法はこの大会において非常に有利となる。理由は単純、対人の魔法は特殊な例を除いて直接攻撃が出来ないから。だったら自身を強化して直接殴りに行く魔法の方が使い勝手がいい。強化部分を絞れば魔力消費も少ないしね。

 この分なら決勝で彼女たち・・・・と当たるまでは余裕そう。


 ――だと思ってたんだけど。


 思わぬ壁はこの三戦目にあったらしい。

 三戦目からは数が減った参加者たちによるトーナメント形式が始まる。正直なところ、相手は第二階級グレード・ツーのみで構成された、言ってしまえば格下チームだったから余裕だと思ってたんだけど……。


「まっさか年下の子にここまで苦戦させられるとはねぇー……。四戦目くらいまでは温存するつもりだったのになぁ……!」

「あの赤髪の女の子、見た目はわたしと同じくらいの歳なのに凄く強いです!」


 リリィ・レーデ・パトリア。パトリア家って言ったら北方の国の名家だ。だから結構なお嬢様のはず。

 性格は高飛車だけど仲間想い……だっけ? 前にブロードくんにちらりと聞いた「年下の神童」ちゃんの情報を記憶の引き出しから引っ張り出す。

 第二階級グレード・ツーだから……順当にいけば十歳。シオンちゃんよりも更に二つ年下か。一言で言い表すならば魔力量の化け物だ。第二階級グレード・ツーにして神童って呼ばれるのも納得かも。

 あの広範囲をカバーできる炎魔法のせいで、試合が開始してからこれまで一度もまともに向き合う事すらできていない。あれだけの火力と範囲なのに出力を長時間維持できてるんだから恐ろしいよ。こうやって場に設置された木々で身を隠しながらじゃないと一瞬で丸焦げだろう。今回の地形が「樹海」モチーフで命拾いをしたかも。これが平坦で遮蔽物が無い地形だったら、私たちの勝ちの目は限りなくゼロに近かったんだと思う。


「こらー! 隠れてないで出てきなさいよっ!」

「リリィ、もうちょっと落ち着いて。乱発すると居場所がバレる。徐々にポイントを絞りつつ追い詰めていこう」


 加えて天才少女の隣にずっとついてるあの少年。確かリリィちゃんの弟くんだっけ? ライト・レーデ・パトリアくん。あの子がいるせいで彼女の大雑把な動きがある程度封じられてる。私たちにとって非常な厄介な存在。他の子との連携を支持してるのもあの子みたいだし、まるで子供っぽくないというか嫌に戦い慣れているというか。団体としての戦いに慣れている、明らかに他の子とは異なる動きを見せている。

 相手の数は全部で七。その中で真っ先に潰しておくべきなのは……やっぱりあの子かな。


 だけどリリィちゃんが側にいる以上、生半可な攻撃はその広すぎる防衛範囲に阻まれてしまう。

 だとしたらまずは彼をリリィちゃんから少しでも引き離すことが先決だ。


「……! ヴィオさん、左から二人ほど近づいてますよ」


 来たね……二人組のチーム!

 シオンちゃんの聴覚による索敵が有効に働いている今、ここが劣勢をひっくり返す好機だ。加えてこの視界の悪さ。地形の利も私たちにある。このチャンスを活かして押し切ってやる……!


「ん、了解だよ」

「可能なら先に倒しちゃいたいですね……。左側は割と入り組んでますから隠れて行動するのに最適ですし、無傷で倒せると思います」

「ふふ、気が合うね。じゃあサクッと行っちゃおっか!」


 近づいてきたのが私の耳にも聞こえてきた。やや遅れて目視でも確認。男女の一組か。快活そうな少年と育ちのよさそうな少女が互いに間を開けず歩いている。様子を見る限り周囲に警戒してるから、まだ私たちの居場所を把握しているわけじゃなさそうだね。

 数人で組めば各個撃破が難しいと考えての二人一組なのだろう。七人いるチームを二、二、三の小隊に分けて個別で探索するのは、今回の地形下においては悪くない作戦だと思う。互いに位置を伝え合えば、誰か一人の連絡が途絶えたとき敵を探しやすいし。二名と数の少ない私たちのようなチームはこれをされるだけでかなり不利になると言ってもいい。

 ……もっともこの作戦は小隊単位で撃破できない相手に対して有効なだけだけど。

 私とシオンちゃんなら時間差なしで同時撃破できる。そして離脱の報告が彼女たちに届く前に次の襲撃態勢を整えることも可能だ。この二人には悪いけれど、パトリア姉弟を誘き寄せるための囮になってもらおう。


「私は男の子の方を狙撃するから、隙を突いて女の子の方をお願いできるかな?」

「任されました。一撃で気絶させますっ」

 

 ふふ、頼もしいねっ! シオンちゃんの準備が終わったのを確認してからトリガーを引き絞る。

 こそこそと移動しつつ打っておいた布石。各所に設置しておいた風魔法による複雑跳弾。木々で埋もれた視界と言えど、ここら一体で私に狙えない的は無いっ!

 少年とは全く別の方向に放たれた魔法の弾丸は、風魔法に当たる度に数度の加速と方向転換を経て、少年の横っ腹に着弾。

 彼の小さいうめき声によって緊張の糸が切れた女の子は、足が地を離れ後方の木へ吹っ飛ばされていく彼の方を見てしまった。

 

 その一瞬。

 シオンちゃんは女の子が警戒を解いた一瞬を見逃さなかった。宣言通り、高速で距離を詰め視覚外からの一撃で相手を気絶させ、音も立てず私の元へと戻ってくる。多分女の子からしたら一体何に攻撃をされたかすらもわからなかっただろう。

 

『ジョシュア・マクファーレン、シャルロッタ・エグゼス。気絶ノックアウト。規定により戦闘区域より離脱させます』


 光が気絶した二人を包み込み、空間転移魔法が起動する。これであの二人は無事医務室行きだ。


「よしっ。これで後五人だね!」

「ふぅ……。何とかうまくいきました……」

「今の二人が退場したのは直ぐに知られるから居場所が割れる前に仕掛けるよ!」

 

 彼等はあくまで頭が切れるあの少年、ライトくんを釣る為の囮に過ぎない。絶えず連絡をしていた仲間の状態が分からないとなれば、すぐさまその場を離れるか、反応途絶地点へと向かってくるはず。

 隙を見せたなら万々歳。離脱ならそれでもいい。リリィちゃんの攻撃範囲が広すぎる以上、こちらもまともに動けない。距離をとった瞬間に標的を残る三人組に切り替えて数的優位を対等にまで持ち込める。


 木陰からパトリア姉弟を捉え、動向を見守る。動け……、動け……っ!

 

 ……僅かに無音の状態が続き、ライトくんが味方の異変に気付きこちら側へと動いた数秒後。

 息を殺す。

 ピッタリくっついていたリリィちゃんの元から、逸る気持ちで一歩分離れてしまう――、


「――ここっ!」


 先ほどの跳弾狙撃と同じ要領。

 だけど今回は明確に狙いをつけた。複数回空中で軌道を変化させた弾丸が最終的に行きつくのは、こちらへと向かってるくる彼の後頭部。視覚外からの完全なる不意打ち。付近にいるリリィちゃんからも、あらかじめ弾道が分かっていなければ反応できない角度で魔法弾を撃ち込んだ。

 

 ――のだが。 

 

「さ、せるかぁ!」

「ヴィオさんっ!」

「――くぅっ!」

 

 突如巻き起こった爆炎が魔法弾を薙ぎ払うだけでは飽き足らず、私の元まで伸びてくる。シオンちゃんが声をかけてくれたおかげで、なんとか回避に成功する。とは言っても足をケガしちゃったみたいだけど。


「ヴィオさん……足が……」

「だいじょうぶ、火傷しちゃっただけだからすぐに直してもらえるよ。ほら、ちゃんと立てるし」


 どこからどう見ても強がりだったが、それでもまだ戦えるとシオンちゃんへ見せつける。

 それよりも……どうして今の攻撃に反応できたんだろう……? タイミングは完璧だったはずなのに。

 さっきの爆炎、こちらの居場所は完全に把握されてた。もしかしたらさっきの少年少女のペアを狙った時点でこの展開は織り込み済みだったのかもしれない。悔しいことに、まんまと攻撃を誘導されて位置を割り出されたと考えたほうが辻褄が合う。

 いや、そんな事は重要じゃない。今優先すべきは……。


「ライトに手ぇ出してんじゃないわよ……っ!」


 炭となり、ぼろぼろと崩れ行く木々のカーテンの向こうから姿を現す、赤眼の少女。

 少女が纏う感情は怒りそのもの。ライトくんを狙ったことが余程琴線に触れたのか、火が灯った様に揺らめく深紅の髪をゆらゆらとなびかせている。


「『起源魔法』……使えるんだね」


 さっきの炎魔法は直接私を狙ってきた。本来できないはずの魔法による攻撃。私みたいに空間に魔法を撃ち、それを誘導して標的へと叩きこむ疑似的な直接攻撃とは異なる本当の意味での・・・・・・・直接攻撃。

 ブロードくんから話を聞いてた時から薄々感づいてたけど、やっぱりこの子私と同じ起源魔法持ちだった。ただでさえ強力な魔法持ちかつ高い魔力量だってのに……!


「へぇ、やっぱ知ってるんだ。じゃあ噂通り『花標』の先輩も魔法に愛されてるのね」


 私が気がついたのと同様にこの子も私が同類だってことを知っていたみたい。


「魔法に愛されている、ね」


 確かに起源魔法は誰にでも扱える魔法じゃない。使用者が限られているんだから彼女がそう言うのも案外的を射ているのかも。

 魔術に携わる者なら喉から手が出るほど欲しい力の一つだろうし、そもそも使用者の数が少すぎる。世界各地を旅して回る私でさえ、水の起源魔法を使える人と光の起源魔法を使えた人しか出会ったことがない。それ程に希少な存在。幾ら魔法の祭典であるフェスタといえど、起源魔法所有者同士の対戦だなんて奇跡に等しい巡り合わせだろう。


 ……でも。


「……私はそんなんじゃないよ。リリィちゃんみたいに純粋な由来じゃないから」


 魔法に愛されているだなんてとてもじゃないけど思えない。眼の前の少女が望むべくして手に入れた逸材ならば、私はおこぼれを貰った一般人に過ぎないんだから。

 少なくとも……私の方は魔法を愛してなんていない。もちろん色んな繋がりを生んでくれた存在として感謝はしているし、魔法で色んな事をするのは好きだしまだ見ぬ様々な魔法の知識は取り入れたい。でもそれとは話が違う。きっとこの子と私の魔法に対する向き合い方は根底から異なるだろう。


「ごめんね、ライトくんを狙っちゃって。嫌だったんだよね?」

「出してよ。持ってるんでしょ? 風の起源魔法を」


 目の前の少女は私の話など聞いてはくれなかった。

 有無を言わさぬ圧力。彼女が纏う豪炎がまるで私の肌を焦がさんと急かしてくるかのよう。


「んと、そう言われてもな……。リリィちゃんだって発動の条件はわかってるでしょ?」


 そう簡単には特例の魔法である起源魔法は発動しない。使用者の心の中で無意識に課している制御装置が外れるような、そんなきっかけが無いと――。


「もちろんどんなときに発動するかなんてわかってるわよ。こう・・すればいいんでしょう?」

「なっ――!?」

「やめろリリ――!」


 ライトくんが制止するも遅かった。

 彼女は天に伸ばした手のひらをゆっくりとシオンちゃんに向け、かざして――。


 爆風が巻き起こる。


「……っ。はぁ……っ、はぁ……っ! このやろぉ……っ!」

「痛ったぁ……。なんだ。出せるじゃない、起源魔法」


 気が付くとリリィちゃんの手を私の風魔法が弾いていた。およそ少女らしい彼女の細腕からは血が滴っている。行き場を失った炎魔法は樹海の隙間を縫って戦闘区域外まで到達し、強固な障壁に阻まれ消滅した。暫し遅れて歓声とは別の声が森の向こう側から聞こえてくる。

 

 本気かこの子……! 当たってたらシオンちゃんは無事じゃ済まなかった……! 


 私もライトくんを狙ったけど、それはこの試合に勝つためであって彼を身体的に傷つけようという意思があってのものじゃない。だけど今、この子はただ私の起源魔法を見たいからという理由でシオンちゃんに危害を及ぼそうと魔法を振りかざしたんだ。


「……リリィちゃんは……何のためにその魔法があると思ってるの?」

「愚問ね。そんなのあたしとライトを邪魔するやつを倒すために決まってるわ」

「そっか……」


 ……そこはライトくんを護る為って言って欲しかったな。この魔法は強力な守りを備えていると同時にとても危険なものだから。私みたいに起源魔法を使う度に心の奥底に溜まった記憶の汚泥に塗れ、後悔するようなことにはなって欲しくない。

 これは乱暴な後輩に、少し……お仕置きが必要みたいだ。


「シオンちゃん! 残りの子は任せたよ。ちょっとここからはカバーできそうにないかも!」

「は、はいっ……! 分かりました!」


 のっぴきならない事態と判断したか、彼女は普段に増して聞き分けが良かった。後ろ髪を引かれることもなくすぐさま私に背を向け、残る三人がいるであろう方向へと駆け走る。

 私は一対三をシオンちゃんに押し付けた。ううん、それがこの状況では最善。足を負傷したこの状態で、さっきみたいにシオンちゃんを狙われたら、確実に守りきれるとは言い難い。

 どちらにせよこの子はここで私が止めなきゃいけないんだ。でなきゃ……私たちに待っているのは敗退だろうから。


 シオンちゃんを安全圏へと逃がし、正面に炎を纏う少女を捉える。

 起源魔法使いとの戦いに闘争本能が疼いてるのだろう。リリィちゃんの目にはもう私しか映っていない。

 目の前の少女は魔法おもちゃを得た子供だ。悪意のない、純粋な興味だけで魔法を振るう

 ……この子と戦ってあげよう。戦って解らせてあげる。


「おいリリィ、やりすぎだ! もうその辺にしておけ! その魔法は――んぐっ!?」

「ライト、ちょっとの間黙ってて。あたし今回ばかりは本気なの」


 リリィちゃんはそう言うと炎のロープを生み出し、それでライトくんを近くの木に縛り付けてしまった。幸い殺傷能力はなく、動きを封じられただけみたい。


「あは、ようやくやる気になってくれたのね」

「ごめんね、待たせちゃって。お望みの通り本気でやろっか」


 ここからは原初の戦いが始まる。かつて人々が互いに殺し合った、魔法による戦い。

 この時代においてはもう見ることが敵わない、命を扱う魔法の戦いが。


「悪いけど殺す気で行くわ。あんたと当たるためだけに参加したんだから」

「そう簡単には負けないよ。この力の使い方、教えてあげる」


 先に動いたのはリリィちゃんの方だった。元より先程の被弾で機動力をもぎ取られた私に取れる策はあまりない。そうと理解していても、彼女相手に初手で様子を見たのはあまりにも愚策だったと直後に思い知らされることとなる。


 天に描かれる極大の魔方陣。今まで見たこともない規模の魔法陣から生み出された、流星群のように降りかかる火球が私の周囲を焼き尽くしていく。咄嗟に危機を感じ一歩遅れての魔法の発動。後手に回った私がとれるのは、風魔法で軌道を逸らし続ける徹底防戦のみだった。反撃の機会すら与えてもらえない強力な炎魔法の連射。まるで炎の嵐の中にいるのかと錯覚させられる。


 それ以外にもあのどれもが致死性を持ってると、そう考えただけで反撃の意志が削がれていた。殺し合いをするつもりでこの舞台に立っているわけじゃなかったから、目の前の危機にどうしても足が竦んでしまう。

 反撃の手が伸びないまま、じわりじわりと追い詰められていく。彼女の方にはまるで衰える気配はなく、ただただ私の集中力だけが徐々に、だけども確実に削り取られていく。

 

「なかなか当たらないわね。もっと狙いをすませて――ほらほら! 当たっちゃうわよ!?」


 段々と数が増えて集弾率が上がってきてる……。周囲に展開した風魔法で騙し騙しいなし続けるのも大変だっていうのに!


「くぅっ……! くそ……。キリがない……っ!」

「ふーん。その足で上手に躱すと思ったら、風魔法で見えない壁を張ってるみたいね。 ならその壁、圧倒的な力で破らせてもらうわ」


 パチン、と少女が指を鳴らすと同時に上空の魔方陣から樹海の半分を飲み込めるほどの炎の球が現れる。


「なっ――!?」


 規格外の大きさの火焔球。あれは……とても躱し切れない。

 下手に軌道を逸らしでもしたら私やライトくん、森の中にいるシオンちゃん含めた四人だけじゃなく、安全のために張られた魔法障壁を破って観客まで被害が及ぶかもしれない……!

 打ち消す……? いや、風魔法じゃダメだ。あの規模の炎魔法は相殺しきれない……!


「……っ。……リリィちゃんはまだ知らないんだよね? どうして私が『花標』なんて呼ばれてるか」


 ――覚悟を決めた。

 この魔法だけはフェスタで使いたくなかった。だけどこうなってしまったら使わざるを得ない。

 使わなきゃ誰かが傷つくのなら……。


「お喋りで時間稼ぎ? まあ先輩のありがたいお言葉だしちょっとくらいは付き合ってあげるわ」

「あはは、ありがと」

「あたしが入ってくる頃にはもう先輩はいなかったから知らないわ。随分と可愛らしい名前よね」

「だよね。私、あんまりこの呼ばれ方好きじゃないんだ」


 名前負けしてるというか。そんな大それたものじゃないから好きじゃない。

 浄化なんて名ばかりの……私から大切なものを沢山奪ってきた魔法を表す名前だから。

 

「ふーん、そ。聞きたいことはそれだけ?」

「それだけだよ。そしてこれから私がそう呼ばれている理由を見せてあげる」

「ふん、虚勢を張るのは自由だけどね」


 銃を天へと掲げる。

 太陽のように燦々と燃える炎の球へと一発だけ弾丸を撃ち込んだ。


「はっ、何かと思えば光属性の魔法弾?そんなちっぽけな弾じゃどうにもならないわよ!」

「ちっぽけなんかじゃないよ。リリィちゃん風に言うならこれも『愛された魔法』だから」


 着弾した瞬間、凝縮された炎魔法がみるみる光る花弁へと変化し、形を失い散っていく。


「なっ!? あたしの魔法が消えて……っ!?」

「リリィちゃんには教えてあげるね。私の起源魔法は風と光の二属性。もっとも、光属性こっちは貰い物だけどね」

「二属性? 嘘でしょ……。一属性持っているだけで奇跡なのに……! そんな奴がいるわけないっ!」


 私もそう思う。私なんかに二属性も起源魔法が宿っているのは、巡り合いの奇跡に他ならない。

 さっきも言ったようにこの魔法は貰い物。魔法は想いを具現化するけれど、もしかしたら私の意志はこの魔法にこれっぽっちも宿っていないのかもしれない。だけど、それでも前の所有者の願いを叶えなきゃいけない。それがこの魔法を託された者の仕事だから。


「これからリリィちゃんがシオンちゃんを狙おうと、観客のみんなを狙おうと、ライトくんやチームの仲間を狙おうと全部私の魔法で消してあげる。絶対に誰も怪我させないっ!」


 これが私が「花標」と言われ続ける所以。私の歩く跡には咲き乱れた花の道が出来るからって、そんな由来。

 見た目的に風の起源魔法よりこっちの方がインパクトあるし……、行く先々でこの魔法を使ってたらまあそう言われてもしょうがないよね。


「な、なによそれっ! 魔法消滅なんてどうしようもないじゃない!」

「そうだね、ずるいもん。出来ることなら私も使いたくなかったよ」


 リリィちゃんが激昂しつつも魔法での攻撃の手を休める。もうこれ以上は無駄と判断してくれたみたい。

 

 そう、今彼女が追撃を止めたように、この魔法は魔法の存在を真っ向から否定する。

 少なくともこのフェスタでは、ううん、この地ではそんな行為はもうしたくはなかった。どれだけいい思い出がなくても、この地は、ここの人たちは私にとってとても大切だから。彼等を踏みにじるようなこの魔法は、もう二度とこの地で使わないと決めていた。


「綺麗事はやめてよ! 最初っからその魔法を使えば楽に私に勝てたじゃない!」

「この魔法は私のものじゃないから……これで勝っても嬉しくないし」


 それに、だ。


「それに……どうしてもこの魔法を使わなきゃいけなかった。今の炎魔法だって君は無事かもしれないけど、ライトくんや他の人はどうだったの? 私が光の起源魔法を使わなきゃ多くの人がケガしてたかもしれないよ?」

「ぐ……っ」

「それを教えなきゃって思って……」


 彼女は恐らく力さえ正しく使えば、今世紀でも五本の指にはいる魔道士へと成長するだろう。それ程の才覚をこの試合で感じ取った。


「折角リリィちゃんのことを想ってくれる弟くんがいるんだから、ちゃんと守ってあげなきゃだめだよ。起源魔法は誰かを護る為にある優しい魔法なんだから」


 この魔法が使える者だからこそ、善悪を隔てる最後の一線を踏み超えてはいけないと思うから。どうか彼女には真っ当に、真っ直ぐ成長して欲しい。

 私がそう言い終わると、リリィちゃんはバツが悪そうにそっぽを向き、ライトくんの拘束を解いた。

 

「……っ! …………ふんっ、負けたわ。完全にあたしの負けよ。『降参宣言』っ!!」


 ツンとした態度で降参を告げるリリィちゃん。


「え? まだ試合自体は終わってないけど……良いの?」

「う、うっさいわね! あたしが『負け』って言ったんだからありがたく受け取りなさい!」

「……違うだろぉ、リリィ……」

「ひぅっ!?」


 私でさえ臆してしまいそうな低い、低い声色。ライトくんが鬼のような形相でリリィちゃんを見据えている。そんな視線に対して、あの向かう所敵なしといった感じの天才少女が完全に萎縮してしまっている。


「僕も言ったよな? その魔法は危ないから考えて使えって」

「うぅ……っ。で、でも……。先輩が起源魔法持ってたから――」

「言い訳しない!」

「ひゃいっ!!」


 ピシャリと放たれた叱責の言葉に、正座体制となり、背筋を正すリリィちゃん。

 あぁ……いっつも叱られてるんだろうなぁ……。


「ほら、ちゃんとヴィオラ先輩に誤るんだ」

「ご、ごめんなさい……」


 さっきまでの勢いはどこへ行ったのやら。しゅんとして小さくなったリリィちゃんが深々と頭を下げる。

 やっぱり根はいい子でした。

 

「いいよ。私は大したことないから大丈夫。ライトくんもそのへんにしてあげよ? リリィちゃんも悪気があったわけじゃないのは分かったから、ね?」

「ん、まあそうですね。僕からも、本当にごめんなさい」

「でも……本当に良かったの? 私達の勝ちにしちゃって。完全に作戦負けしちゃったし、正直あのまま続けてても勝てる可能性はあったと思うけど」


 起源魔法は自然界から魔力を供給し、形にする。実質消費魔力ゼロでも放つことができるが、何分精神の消耗が激しい。あそこから純粋な魔法勝負を再開した場合、真っ先にやられていたのは私だったかもしれない。仮にシオンちゃんが一人奮闘し頑張っても五分五分だったと言わざるを得ない。


「や、その評価は嬉しいですけど、元々ヴィオラ先輩と当たった時点で僕たちのチームの目的は達成されてたんです。このフェスタへの参加はこいつリリィが言い出したことでしたから、僕たちはこいつの意思に従うだけです」

「い、言うなぁ……っ!」


 主導権を握られ、立場が弱いリリィちゃん。ちょっとかわいいと思ってしまう。


「それに皆も他の級友を差し置いてまで進級するつもりもないみたいだし、これで良いんです」


 確かにフェスタで進級しちゃった場合、チームメンバー以外の同階級の子とは離れ離れになっちゃうけど……。そんな子たちは初めて見たかも。この大会に出るって事はそれだけで「自分は他の奴らとは違います」って宣言するようなものだから。プライドが高く、打算的な人が多いと思ってた。


「リリィが精神的にちょっと成長しただけでも、十分ここまで勝ち上がった意味がありました。本当にありがとうございました!」

「ラ、ライトくん……っ! 君、めっちゃいい子だねっ!!」

「え、ええ? そうですかね? って、ヴィオラ先輩ちょっと近いですよ!?」


 私には弟はいないけど、いたらこんな感じなのかな。だとしたらめっちゃ欲しい。姉想いで優しい弟なんてリリィちゃんが羨ましいよっ!


「私の弟にならない?」

「え? 良いんですか? 喜んでっ!!」


 お、以外にノリが良いねー。よしよししてあげよう!


「ヴィオさん……?」

「ライトぉ……?」

 

 あ、やばっ……。

 試合終了を聞き、こちらへと駆けつけたはいいが、目の前の奇異な状況を見て、訝しみ眉を顰めるシオンちゃん。

 そしてこっちはこっちで大切な弟が取られそうになり、涙で目をうるわせる子犬のようなリリィちゃん。

 私もライトくんも咄嗟に、ほぼ同時に距離を取る。


「あ、あはは……! 冗談、じょうだんだって。本当に取ったりしないからっ!」

「むぅ、にわかには信じがたいです……」

「ホントだよ? ……だから、リリィちゃん。しっかりと守ってあげてね」

「~っ! うっさいわよ、バカ!」



 こうして波乱のフェスタ第三回戦は私達の勝利によって幕を閉じた。

 リリィちゃんに頼まれ、手合わせの約束を交わし会場を後にする。懐かれちゃった……のかな? ライトくんは「リリィが誰かに何かをお願いするなんて滅多に無いんですよ」って言ってたけど。


「それにしてもよくあれに勝てましたね……。こっちからも大体様子は見えてましたけど、火傷以降お怪我がなくて良かったです……」


 そりゃあれだけの規模の魔法なんて滅多に見ないもんねぇ。自分でもあれ以降ノーダメージだったのには驚きだよ。


「かなりギリギリだったけどね。『浄化』も使っちゃったからちょっと疲れちゃったかも」

「……使ったんですね、あの魔法……。あのあの、次戦はわたしが頑張りますからっ! ヴィオさんは休んでても大丈夫ですよっ!」


 光の起源魔法に纏わる一連の事情をよく知るシオンちゃんが気を遣ってくれてるのは直ぐに分かった。

 あの魔法を一番目の前で見ているのはこの子だからなぁ……。使う度に毎回弱音を吐いちゃう私のせいなんだけど。


「あはは、期待してるよ。決勝まで一緒に行こうね!」

「はいっ!」


 私は大丈夫と、そう告げることにした。彼女も安心したようで不安そうな顔を一変させ明るい笑みを返してくれる。


「じゃあ、医務室まで行こっか。あそこの先生は変わってるけど治癒魔法のスペシャリストだから」

「変わってるんですね……。まあ治るに越したことはないです」


 そんなこんなで医務室へと向かう通路の途中。

 別会場で行われた試合は既に終わったらしく、対戦結果が通路に張り出されていた。

 一つ頭が抜けてるのは――。

 

「――あは。やっぱり順調に上がってきてるみたいだね」

 あとがきのコーナー。

 実はフェスタ編はもう書き終えてます。長いからね。舞台が同じ話を長期に渡ってやるのは性に合わないので数日に渡って一気に投稿しちゃいます。

 

 このフェスタ編のテーマは成長です。まあ全編を通して成長の物語なんですけど、今回は特にそんな感じになってます。「温泉街」が物語のスタートって書いた気がしますが、この魔法学園はチュートリアルのような位置づけとなってます。

 

 

 ここからはちょっとしたお知らせです。

 この本編ストーリーの番外編「ウィッチーズ・トラべログ ~花標の少女の備忘録~」が本日から始まります。時系列が無い(つもり)のお話達は今後こちらの方に上げるようにしますので、彼女たちの心温まる(はずの)日常編もよろしくおねがいします!

 (こっちでこっそり消しちゃったお話もそのうち「備忘録」の方で上げます。)



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