Page.0 ありふれた、とある一日の切り抜き
はいどうも!
初めましての方、また会いましたねの方、なにはともあれ新作です!
今回は導入部分。
あ、はいはいこんな感じねって分かっていただけたら幸いです。
「う~んっ! 天気良し! 南西に向かう風良し! 準備良しっ! 今日も良い旅びより!! 今日こそは次の国にたどり着きたいよねぇー!」
焚き火の痕を消しつつ、大きく伸び伸びと空を見上げる。
澄み渡るような快晴! 空が綺麗だと、一日の始まりが最高に思えちゃうなぁ。
いい天気だから地平線まで見えちゃいそう。……肝心の建造物が見えないのは残念だけど。
「食料がそろそろ尽きちゃいそうですし、少なくともあと二日の間には……」
どうやら旅の同伴者は、私と違って本格的に危機感を覚えているみたい。獣人特有の可愛らしいお耳をピコピコさせながら悩ましげにそう呟く様子はつい抱き締めたくなるほど可愛らしい。
「あははー! 相変わらずしっかりさんだねぇ。一応私のほうがお姉さんなんだけどなあ……」
「あ、すみません……。癖でつい……」
「いや、いいんだよ……。私が抜けてるのはもうよく分かってるから……」
実際彼女には世話になりっぱなしだし。
「あ、だめだめ。せっかくのお天気なのに気分が沈んでちゃもったいないよね! 旅は楽しく、全力で! 笑顔で行こー!」
「はい、そうですねっ!」
可愛らしくはにかむ彼女。出会った頃と比べたらずいぶんと表情豊かになったものだ。
「うんうん、やっぱりそうやって笑ってたほうが似合ってるよ。かわいんだからー。うりうりー!」
「あぅ……やめてくださいよ、もう……」
ふかふかな頭をナデナデすると、今度は恥ずかしさで目を伏せてしまった。
ではでは、彼女の元気も出たみたいだし私も気合を入れなおそう。
「さー! 行くぞー、待っててねお風呂ー!」
「どうしてそんなにお風呂には目がないんですか! その前に日用品の補充ですよっ。お風呂はその後ですっ」
旅をはじめて、この子と出会ってから、幾度となく繰り返したやり取り。
あと何度繰り返すのだろう。あと何度繰り返せるのだろう。
そんなことを考えながら気合を入れ直して若草の道を往く。
小気味良い足音が、二人分。目を閉じてても彼女が少し後ろをついてきているのがよく分かる。
さて。次の土地ではどんな出会いがあるんだろう。
そんなことを考えるだけで、胸のわくわくがはちきれそうになった。
――待っててね、絶対に追いつくから。
とまあこんな感じでのーんびりした世界をのーんびりと綴っていきたいと思ってます。よろしくね!
あ、一話(Page.1)も同時に上げたのでもしよかったら見てくださいね!