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1、閉園メドレー


 最初に、メリーゴーラウンドの話をしよう。

 

 私が何者かと言うとね、何のことはない、ドリームランドの管理をしていた、もう七十歳になるおじいさんだ。


 私たちが子供のころは、山や川が遊び相手だったから、日本には遊園地なんて場所はなかったし、そういう言葉も知らなかった。だから、「遊園地に行きたい」なんて言う子は一人もいなかった。

 

 それから時代が変わって、クリスマスのような外国の風習が入って来るようになると、夏休みになると遊園地に行って遊ぶという文化が広まり始めたんだ。

 

 それはさておき、君たちは、遊園地に行ったらメリーゴーラウンドって、最初に乗るかな?

 

 それとも、最初はスリルのある乗り物で遊んで、ちょっと疲れてきたら乗るかな?

 

 おじいさんが見る限りでは、あとから乗る子のほうが多いんだな。

 

 それも、子供が一人で乗ることが多い。

 

 やっぱり、大人がおもちゃの馬にまたがるのは恥ずかしいのか、


「俺はいいよ……」

 

 なんて言って、見ているだけだったりする。


 でもね、メリーゴーラウンドはなかなかいいものだよ。


 目を瞑って、揺られてごらん。


 嫌なことを忘れるし、またちょっと、頑張ろうって思えるから。

 

 ドリームランドのメリーゴーラウンドはね、元々は別の遊園地から引き取ったものなんだ。その遊園地も廃園になるというから、交渉して、安く買い取ったものなんだ。

 

 ここのメリーゴーラウンドの面白い話を教えてあげようか。

 

 遊園地が閉まって、誰もいなくなるとね、人間じゃないものが、乗っていることがあるんだよ。


 なんだか分からないような姿をしたお化けや、蛇みたいに長いもの。

 

 もちろん、人の形をしたものもいるよ。


 大体は子供かな。

 

 首が無かったり、頭が割れていたりするけどね。


 そんなに怖くないんだよ。

 

 裏野ドリームランドの遊具はね、いわくつきで、よそから引き取ってきたものだから、これから色んなことが起きると思うよ。

 

 それでは裏野ドリームランド、これにて閉園いたします。

  1997年 7月4日

 



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