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楽しい転生  作者: ぱにこ
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5話

 「ふんふんふふふ~♪ひるさがり~ふんふ~ふふふ♪……ドナドナ……♪」

 ルイーズもうすぐ2歳です。馬車に乗ってます。

 けっして、ドナドナされてる訳ではありませんが、お約束なので歌ってみました。


 あれから、父様に「おともでゃち(お友達)がほしいです(ついでに滑舌も欲しい)」と言ったら、同じ年の子供がいるからと、伯爵家にお邪魔する事になりました。

 

 父様は「しかし、ルイーズに男の子の友達は……早すぎないか……悪い虫……」とか、ぶつぶつ言い、母様が、まだ淑女教育もやっていないお転婆娘には、男の子の方が安全だと言う事で決まりました。

 ご令嬢に、怪我でもさせたら大変だもんね。


 『マスティフ伯爵』は、父様の御学友だそうです。

 馬車で半日ほど行った所に、伯爵家の領地があります。

 特産は<葡萄>で、ワイナリーもたくさんあるそうです。幼女の内は飲めませんが、もう少し大きくなったら、<ワインゼリー>でも作ってみたいと思います。

 林檎とワインで作った、<コンポート>もいいですね♪温かいコンポートに、アイスクリームをのせて♪…(じゅるり)です。

 ◇

 ◇

 ◇

 長閑な葡萄畑を抜けると、レンガ造りのお屋敷が見えてきました。

 もうすぐ『フェオドール』に会えます。


 馬車が屋敷に着き、父様が扉を開け、私の手を取りエスコートしてくれます。

 屋敷の門の前には、執事さんと緑の髪の色に青い瞳のイケメンが……。

『フェオドール』と同じ色なので、きっと『マスティフ伯爵』様でしょう。


 執事さんが「ようこそ、おいで下さいました。ハウンド侯爵様、ルイーズ様」と言いながら恭しく礼をします。

 伯爵様は一歩前へ出て父様とハグを、それから私と目を合わせると、頭をわしゃわしゃと撫でました。


「よく来てくれたね、アベル。そちらの小さなレディを、紹介してくれるかい?」

 爽やかです、ガムのCMに出てきそうなくらい、爽やかイケメンです。

「ルイーズ、ご挨拶をしなさい」

 父様に促され「はじめまして、あべる・はうんどがちょうし、るいーず・はうんど、ともうします。このたびはおみゃねきいただき、ありがとうございます」少し噛んでしまった……恥ずかしい。

「初めまして、ルイーズ。中で、息子が待っているから紹介しよう」


 屋敷の中に案内され、客間に行くと、一人の男の子が立っていました。

 伯爵様と同じ髪色、瞳の色、幼いけれど間違いなく『フェオドール』です。ゲームの画面越しでしか見ていないけれど、懐かしい気持ちが蘇ります。


「フェオドール、お客様だよ。挨拶をしなさい」

 伯爵様に促され、男の子は、

「はじめまして、ふぇおどーる・ますてぃふともうします」

 私は 拙いながらもカーテシーをして「はじめまして、るいーず・はうんどともうします。なかよくしてください」と挨拶をしました。

 

 それぞれが挨拶した後、父様たちはお話があるそうで、私とフェオドールはお庭のベンチでお話をすることにしました。

「るいーずさまは いつもなにをしてあそんでるのですか?」

「ふぇおどーるさま、るいーずでいいですよ。もうすこし、ふつうのおともだちみたいな、はなしかたのほうがうれしいです」と言うと、フェオドールは「じゃあ、ぼくもふぇおどーるでいいよ」と優しく微笑んでくれました。ゲーム以上に 優しくて素敵な男の子の様で、嬉しくなりました。


「わたしは、さいきんまほうをべんきょうしてるの」

「まほう?るいーずはすごいね。ぼくにもできるかな?」

「まほうは、()とそうぞうりょくがだいじだから ふぇおどーるにもかんたんにできるとおもう。さいきんは、ちゆまほうができるようになったの」

「ちゆまほう?」

「びょうきやけがをなおすの」

「ぼくのかあさまは……おからだがよわいんだ……だから、げんきになるようにかあさまがすきな、はなをおみまいにもっていくのだけど……」

「わたしも、ふぇおどーるのおかあさまの、はくしゃくふじんにおみまいしたらだめ?」


 駄目って言わないで、治るかどうかはわからないけれど、その為に来たのだから……。

 効くかどうかはわからないけれど、上目使いでおねだりです。

「う~ん、とうさまにきいてみないとわからないから、ききにいく?」

 ◇

 ◇

 ◇

 フェオドールと一緒に屋敷の中に入り、伯爵様と父様にお伺いします。

 まずは、フェオドールが「とうさま、るいーずが、かあさまにおみまいしたいそうですが、よろしいですか?」

「はくしゃくさま、とうさま。すこしのじかんでいいので、おみまいするきょかをください」

 必殺・上目使いです。

 困った顔をした父様は、伯爵様の方へ向きます。


「う~ん、長居しないと約束できるのだったらいいかな」

「ありがとうござます。はくしゃくさま♪」

 普通の治癒魔法に関しては、伯爵様もお試しになったはず。

 私自身も細かな病気の診断は出来ないけれど……。

 病原菌が特定できないのを考慮して、光と水と闇の複合魔法アンチドートの後に、普通の治癒魔法を試してみる事にします。


 伯爵夫人の部屋へと案内され、まずはご挨拶をしましす。

「はじめまして、るいーず・はうんどともうします。よろしくおねがいします」

 伯爵夫人は、ベッドの隣のゆったりしたソファに腰かけておいででした。

「こんな格好で申し訳ありません。キャロル・マスティフともうします。お見舞いに来てくださってありがとうございますね」

 銀色の美しい髪に紺色の瞳で、病気で痩せてはいらっしゃるけど、凄く美しい方です。

 コンコンと乾いた咳をしています。

 結核の様な病気でしょうか?

「はくしゃくふじんは、よくせきがでるのですか?」

「ええ、乾いた咳がよく出ますね」

けったん(血痰)などもでますか?あと、やせてきたとか、いきぎれがしやすいとかありますか?」

「ええ」伯爵夫人が、不思議そうな顔をして、伯爵様や父様を見ています。


 私は部屋に居る皆の顔を見渡し、告げました。

「とうさま、はくしゃくさま、はくしゃくふじん、やまいにこころあたりがあります。ちゆまほうをかけるきょかをいただけますか?」

 父様達は、互いの顔を見合わせて、困った表情をされました。

 その様子を見兼ねた伯爵夫人が、

「いいわよ。お願いします」

「なっ!キャロルっ!━━」

「大丈夫よ、他に治療法もないのだし、ものは試しです」と、微笑んでいらっしゃいます。

 なかなかに剛毅な方の様ですね。


「では、しつれいします」

 肺の辺りを中心に、体全体に行きわたる様に、アンチドートをかけます。

 その後、弱った体を癒す様に、治癒魔法をかけます。

 これで治ったとしても、結核だったら、他にも感染してるかもしれませんが、今は様子見ですね。


「どうでしょうか?」

「あら?胸の苦しさが和らいだわ。今のところ、咳も大丈夫みたい」

「また、くるしくなったら、すぐにおうかがいしますので、ほんじつはこれでようすをみてもらえますか?」

「ええ、本当にありがとう。咳が出たら、小さな可愛いお医者様に来てもらうわね」

「はい」

 伯爵夫人と笑みをかわし、父様にかけよりました。

「キャロル、すまないね。家の娘の願いを聞いてくれてありがとう」

「いいえ、こちらこそありがとうございます。小さなレディにお見舞いに来ていただいて、治癒魔法までかけてもらって。幸せな気分ですわ」

 ◇

 ◇

 ◇

 とりあえず、当初の予定は完了し、帰宅しました。

 伯爵夫人の御様子は、お手紙で知らせてくれるそうなので、一安心です。

 初めは不安そうに見ていたフェオドールも、帰りは笑顔でお礼を言ってくれましたし。


 父様は「可愛くて、頼りになって、益々、結婚はさせられない……」と ぶつぶつ言っておりました。


 次は、第二の目標<ルイーズ健康計画と弟を可愛がろう>です。


 

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