3話
あれから、自分にできることを考えました。
まずは、異世界転生でのお約束、≪マヨネーズ≫作りや≪味噌&醤油≫作り、≪スイーツ≫作りなど。
快適に暮らす為、馬車の乗り心地を左右する≪サスペンション≫とか、思いつく日用雑貨等々。
ふむ、さすが日本のゲームです。
≪スイーツ≫は、マカロンを始め、パイ、ティラミス、プリン、ショートケーキにフルーツタルトなど、なんでもありました。
≪マヨネーズ≫もありました。庶民には、瓶詰めのものが販売されているようですが、わが家の食卓にのぼるのは料理長のお手製です。
≪味噌&醤油≫も輸入品として、多少高価ですが、あります。
≪サスペンション≫?なにそれ必要?魔法で乗心地最高じゃん!……です。庶民が使う荷車にさえも標準装備です。
人生計画が、初っ端から詰みました。
なので、魔法の試し打ち♪
……ならぬ検証をしたいと思います。
ルイーズ1歳半、まだ一人で外には出してもらえません。
早寝する風を装ってからの、寝室での検証になります。
まず、ゲームでの設定を思いだします。この世界は、マナに溢れていて、人は誰もが魔法を使える。
ただ、魔法に必要なマナを体に取り込み、イメージして放出する過程が難しいとの事。
火傷した、溺れた等の経験者は、トラウマを持ち、その魔法が苦手となって使えないということもあるそうです。
異世界人が、魔法を巧く扱えるのは、ゲームやアニメ、漫画、教育課程で学ぶ、理科や化学の知識なども要因だと思います。
なので、巫女召喚が必要になってくるのでしょう。
この世界には『火、水、風、土、光、闇』の魔法があり、複合魔法が一般的です。
火は、火を出すだけになるので『ファイヤー・ボール』は、火+風の複合。
風のみが単体で使える魔法になります。
水+土で氷、水+光で治癒魔法、火+風で雷、組み合わせ次第でゲーム上では実現できなかった魔法も出来るかも知れません。
『光と闇』について、光はその名前の通り灯りにもなるし、浄化にも使えます。
闇は停滞、静寂が基本で、怪我をした時の止血や、音を遮断するので内緒話などにも使い様があります。
細かい実験は追々やっていくとして……。
魔法を使うためには、体にマナを取り込まなくてはなりません。
そこで、私は『太極拳』をやってみる事にしました。
『ヨガ』と、どっちが良いかなと悩みに悩んだ末……。
この小さな手足の幼女には『ヨガ』は敷居が高かった……。
すぐに、ごろんってなるの……。
深~く息を吸って~「すぅ~」気が体を巡るように意識しつつ「はぁー」じんわり体が温まってきたら、気を手の平に集めるようにして~
≪〇~め~は~め~波っっ!≫
ヒューン!ドッカンッ!ガチャン!
「あっ……」
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階下から、バタバタと騒ぎ声がする。バタンッとドアを開ける音と共に父様が入ってきた。
「ルイーズっ無事かっ!」泥棒でも入ったのかと思ったのか、剣を持ち殺気を放つ父様。
「ルイーズ、大丈夫?……」身重の母様が、続いてやってきて、部屋の惨状を見て絶句しております。
よし!観念するか。
「ごめんなしゃい、るいーずがしっぱいしました」
この後、何故この様な事になったのか、深夜に寝ずに何をしているのかと、懇々とお説教されてしまいました。
前世の記憶を持ち、何があっても動じぬ心もあると思っていたのに、叱られて泣くとは……。
父様、怖かった。母様、怖かった。イケメンと美女は迫力があります。